2015年7月18日土曜日

Carpaccio di Cavallo プーリア風 馬肉のカルパッチョ

桜色をした新鮮な馬のロース肉をカルパッチョ仕立てにした、馬肉料理が名物のプーリア地方ならではの郷土料理。
にんにくを利かせたオリーブオイルに胡麻の香りのルッコラを添えた、ちょっと馬刺しの食べ方を思わせる一皿です。

日本では馬肉食文化は全国区でこそないものの、九州の熊本をはじめ、青森、福島、信州などで郷土料理として食べられてきました。
しゃぶしゃぶやすき焼き、桜鍋など地域によってはいろいろな食べ方がありますが、新鮮な馬肉ならやはり馬刺しでいただきたいですね。
にんにくや生姜をたっぷりと利かせて、甘口で濃い九州さしみ醤油で、それか牛レバ刺し風に塩と胡麻油なんてのもいいですよねぇ。
焼酎でも日本酒でも進みまくること間違いないです。

郷土色の強い馬肉は牛や豚など一般的な食肉と比べるとクセが強そうなイメージがありますよね。
羊などはそこそこクセがあるけど、馬肉はクセがあるかないかでいえばほとんどなく、風味の強い牛肉よりむしろ淡白。
とくに赤身のフィレやロースといった部位は、"桜肉"の呼び名のとおり桜の花のような綺麗なピンク色で、あっさりしているけど噛みしめると旨みがしっかりあって、食肉として普通に美味しいです。
さらには食中毒を引き起こす類の雑菌が繁殖しづらい特異な性質のため生食に向いていて、牛のユッケやレバ刺しが禁止されてしまった今でも馬刺しだけは安全に提供することができます。
そういえば日本の馬肉料理ってあくまで馬刺しがメイン。
桜鍋やすき焼きのように加熱して食べる他の料理は、どちらかといえばコース料理のバリエーションの一部に過ぎない感もあります。
肉なのに最も代表的な料理が刺身というのは他の食肉にはないことで、日本の馬肉食文化の特徴でもあります。

一方、世界的には馬肉を食用にすることについては賛否両論あります。
イルカやクジラをどうこう言うのと似てますが、それぞれの国や民族の伝統的な食文化を無視して自分達が一番正しいみたいに押し付けようとするからもめるんです、じゃなんで牛や豚はいいのかって話です。
ちなみに馬肉を食べないのはイギリスやアメリカなど主に英語圏の国、でもカナダは例外だしイギリスの海を隔てたお隣フランスやベルギー、そしてイタリアも馬肉を食べる国として知られています。
イタリアでは北から南まで普通にスーパーで買えるぐらい一般的。
とくに南イタリアのプーリア地方は馬肉料理が名物になっています。
ぶ厚いビステッカや煮込み料理、ブラーチェと呼ばれる炙り焼きのほかタルタルやカルパッチョなどの生肉料理も定番です。

ちなみにカルパッチョとは魚の刺身料理のことだと思ってる方も少なくないと思いますが、本来は生肉を薄切りにしてチプリアーニ風ソースやオリーブオイルをまわした料理のこと。
魚介のカルパッチョは日本の刺身料理をアレンジした和製イタリアンが世界的な和食ブームや寿司文化の流行に乗ってイタリアに逆輸入されたもので、考案したのはあの落合シェフだと言われています。

さて、馬刺しは霜降り肉に限るという風潮はいまだにありますが、牛肉でもそうですが、最近は噛みごたえがあって肉本来の味がする赤身肉の人気が上昇、グルメ系雑誌などでもよく特集が組まれたりしています。
オリーブオイルを全体にまわすカルパッチョのような料理ではなおさら脂身の多いサシの入った肉は合わないので、淡白でヘルシーな赤身肉を使います。

プーリア州は秀逸なワインの産地としても有名。
馬肉のカルパッチョに何を合わせるか迷ったら、地元の土着品種の定番ネグロアマーロあたりが間違いないです。
赤ワインですが夏ならご当地風に軽く冷やしてもいいですよ。

Ingredienti (per 4 persone)

馬刺し用ロース肉200g
にんにく2片
レモン1/4個
ルッコラ1/2束
オリーブオイル適量
塩胡椒適量

※分量は一応の目安なので味見しながら作ってください

Preparazione

まず馬肉を薄切りにします、素人が肉を包丁で薄く切るのは難しいので 5mmほどの厚さに切ってラップで包み 木製の麺棒のようなもので軽く叩いてのばします。

にんにくをカットした面を皿に擦りつけて香りを移し、オリーブオイルを少量垂らして指で全体にまわします。
そこに薄切りの馬肉を隙間がなるべくないように並べます。
粗塩で味を決めて黒胡椒を挽き、オリーブオイルを全体にまわします。
このとき指の腹で肉を軽くぺたぺたと押してオイルを馴染ませます。

にんにくのスライスを散らして、真ん中にルッコラをこんもりと盛り、レモンを全体に搾りかければ出来上がり。

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