2019年11月3日日曜日

Gnocchi di Patate Dolce al Burro e Salvia さつま芋のニョッキ セージとバターのソース

パスタ生地にさつまいもを練り込んでフォークの腹でくるんと成形し、もっちり茹で上げてソースを絡めた自家製さつま芋のニョッキ。
ソースは溶かしバターにセージの香りを移した定番ブッロエサルビア、チーズをたっぷり削っていただく深まる秋の一皿です。

めっきり秋めいてきて朝晩はだいぶ冷え込むようになってきましたね。
食欲の秋というぐらいなので今年の秋も魚介や果物など美味しいものをひととおり満喫したところかと思いますが、いつのまにか季節も進み、カラフルな秋色に染まっていたスーパーの食糧品売場も少しづつ地味な色合いに変化し、晩秋といった趣きを感じるようになりました。
華やかなりし秋の食材に混じってそんな地味な雰囲気を醸し出しているもののひとつが、今日の主役さつま芋。
いかにも根菜といったいびつでひなびた姿形に、春や夏の野菜のようなみずみすしさもなけらばカラフルさもない。
肌はかさかさに乾いてくすんだ赤茶色、土もついてたりします。
季節が冬に向かう時期のどんよりしたイメージと重なるんですよね。

そんな地味な見た目とは裏腹に、さつま芋は近年人気急上昇中。
その名のとおり、薩摩=鹿児島県が一大産地の温暖な気候で育つ芋で、同じ芋類のじゃが芋と比べると甘みが強いのが特徴。
英語でさつま芋のことはスィートポテト、イタリア語でも甘いじゃが芋という意味のパターテドルチェと呼ばれるほどです。
その甘いという特徴を生かし、昨今では糖度の高さを競うように新しい品種が次々と開発されています。
苺やトマトやとうもろこし、梨に葡萄なども甘みの強い品種がどんどん開発されていますが、盛んに品種改良が行われるということはそれだけ生産者も力を入れている注目の食材だということ。
従来のほくほくしたタイプに加え、しっとり系とかねっとり系といったグルーピングもされるようになり、安納芋のような甘さが際立つ品種はブランドとして高い知名度と人気を誇りますしスィーツの原料としても脚光を浴びていますよねぇ。

そんな今をときめくさつま芋ですが、日本では太平洋戦争のさなかから戦後にかけての食糧難で米がまったく足りない状況のなか、主食代わりとして食べられてきました。
痩せた土地でもよく育ち、土中に埋まってるため天候にも左右されず、手間がかからないわりに収穫量が多いなどいいことづくめ。
少ない米にさつま芋を混ぜて量増しした芋粥やさつま芋ご飯は、そんな貧しく苦しい時代の食事の象徴だったわけです。
当時を生き抜いてきた高齢者にとってはこれがトラウマになり、今でも芋粥やさつま芋ご飯なんて見たくも食べたくもないそうです。
さつま芋に地味でネガティブなイメージがつきまとうのは、見た目だけではなくそういった歴史があることも要因のひとつになっていますが、若い世代にそのような先入観はなく、スィーツという異なる価値観から受け入れられているんですね。

さて、さつま芋のいちばん美味しい食べ方はやはり焼き芋。
ほくほく系やねっとり系などで向き不向きがあるかと思いきや、どんな品種でもやっぱり焼き芋がいちばん美味しい食べ方なんだとか。
あまり高くない温度でじっくり時間をかけて火を入れると甘みが増して美味しい焼き芋ができるそうです。
熱した小石でじっくり焼く石焼き芋がまさにお手本てことですね。

そんなさつま芋で作る今日のイタリア料理はニョッキです。
通常は茹でたじゃが芋を潰して小麦粉と混ぜた生地で作るニョッキを、じゃが芋ではなくじっくり時間をかけてふかしたさつま芋を練り込んで作りました。
いつものニョッキより色がやや黄色で噛み締めると甘みも感じます。
ニョッキが甘いのでソースは塩気のきいたバターとチーズがたっぷりの定番セージバターソース。
秋もぐっと深まってくる頃に食べたくなる晩秋のスペシャリテです。
乳製品の芳醇な香りがたまらないですよ。

Ingredienti (per 2 persone)

per gli Gnocchi
さつま芋250g
強力粉100g
1個
小さじ1
ぬるま湯必要に応じて
per Condire
バター100g
セージの葉8枚
パルミジャーノ20g
適量
黒胡椒適量
パスタの茹で汁レードル1杯

※分量は一応の目安なので味見しながら作ってください

Preparazione

さつま芋は水で洗って水気を拭きとり、アルミホイルに包んで160℃で60分ローストします。
竹串がすっと通るようならそのまま粗熱をとり、アルミホイルを外して皮を剥き、ボウルに移してマッシャーなどで潰します。

ボウルに強力粉、卵、塩を加え、必要に応じてぬるま湯も少しづつ加えながら手で練っていきます。
生地がまとまってきたら、まな板に打ち粉をして千歳飴のように棒状に成形し、包丁で等幅にカットしていきます。
左手にフォークを持って腹側を上に向け、切り落とした生地をフォークの手前から先端に向かって右手の親指で押しつぶすように転がします。
打ち立てのニョッキには打ち粉をしておきます。

フライパンを中火にかけてバターを溶かし、セージの葉を加えます。
セージの葉の色が変わる前に飾りに使う分を取り出し、弱火にします。
深鍋に湯を沸かして、ニョッキをくっつかないように少しづつ投入し、茹で汁をフライパンに加えて小刻みに揺すってソースを乳化させてから塩胡椒で味を調えます。
ニョッキが浮いてきたら穴あきレードルですくってフライパンに移し、ソースを吸わせながらマンテカーレします。

火を止めてニョッキを皿に盛りフライパンに残ったソースをレードルですくってまわしかけます。
黒胡椒を挽いてセージのソフリットを乗せ、パルミジャーノをたっぷり削りかければ出来上がり。

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