2019年11月17日日曜日

Risotto alle Castagne 和栗とパルミジャーノのリゾット

端正な粒立ちの笠間産の国産栗を米と一緒にことこと炊いて、仕上げにチーズをたっぷり削りかけた和栗とパルミジャーノのリゾット。
鶏のブロードで乾燥マッシュルームを煮出して旨みを重ね、その出汁で炊いたお米に大粒の栗もごろごろ入ったちょっと贅沢な一皿です。

代表的な秋の味覚のひとつ、栗。
甘くてほくほくして美味しいですよねえ。
料理に使うなら栗ご飯や栗おこわ、栗の渋皮煮などがおなじみ。
甘いのでスィーツの原料にも使われ、ジェラートやモンブラン、マロングラッセ、栗きんとんに栗羊かんに栗最中など、和洋を問わずいろんな定番品があります。
もちろんそのまま茹でたり蒸したりしただけでも美味。
包丁で半分に切ったのをスプーンで中身をかき出して食べるんですが、これがまた食べだすと止まらなくなるんですよねぇ。
買うとそこそこお高いので栗林で栗拾いをするのがおすすめ。
厚底の長靴で落ちた栗のイガを踏んで割り開き、中の栗を火ばさみ等で拾い集めます。
それを洗ってしばらく水につけて浮いたものを取り除き、虫食いの穴がないものを選り分ければ、売ってるものと同じ品質になりますよ。

アウトドアで焼き栗なんてのも風情があって美味。
昔は住宅街の道端でも普通に落ち葉焚きなどをしてたので、そこに栗を放り込んで焼いて食べたりなんてこともできました。
焼き芋もそんな風に焚き火のついでに焼いて食べたりしたもんです。
栗とさつま芋は似てるというかいろいろ共通点があります。
適度な甘みとほくほくしてるところや、食べたときに鼻に抜ける風味がよく似てる気がしますよね。
それもそのはずで、あのほっこりした風味はメチオナールという香りの成分で、栗にもさつま芋にも同じ成分が含まれているそうです。
調理法や食べ方もちょっと似ていて、栗ご飯に対してサツマイモご飯、栗の渋皮煮に対してさつま芋は甘露煮、スィーツの原料というところも同じで、さつま芋のスィーツだとスイートポテトにさつま芋チップスに大学芋、いも羊かん、ペーストにすればモンブランにだってできます。
熱した小石でじっくりローストする石焼き芋は、栗でいえば天津甘栗。
どこまでもよく似てます。

さて、栗の原産地は中国、北アメリカ、地中海沿岸など。
そして、品種としてはニホングリ、チュウゴクグリ、ヨーロッパグリ、アメリカグリの大きく四種類が知られているそうです。
ニホングリは野性の芝栗を品種改良したもので、果実が大きくて風味がいいのですが、渋皮が剥きにくいのが難点だとか。
確かに。。。
ただし、栗の香りがしっかりあるので、栗ご飯を作るなら断然国産栗、外国産の栗で作っても香りが弱くて美味しくできないそうですよ。
一方、天津甘栗でおなじみのチュウゴクグリやヨーロッパグリは果実は小さめですが、甘くて渋皮も剥きやすいのが特徴とのことです。
日本で栗の生産量が最も多い産地は国内シェア三割を占める茨城県で、陶器で有名な笠間がその中心。
知名度では京都の丹波栗が有名ですが、生産量が少なく市場のシェアは1%もありません。
関東にお住まいなら、是非とも茨城に栗拾いに出かけたいですね。

今日はそんな茨城は笠間産の和栗がごろごろ入ったリゾット。
日本の炊き込みご飯と同様、出汁(ブロード)でお米を炊くのですが、栗そのものは出汁にはならないので、通常は鶏や野菜のスープで炊いてバターで香りづけします。
今日は鶏がらと香味野菜でとったスープに乾燥マッシュルームを加え、ことこと煮出した秋の香りいっぱいのスープ。
乾燥マッシュルームは、以前にもきのこのクレーマという記事で使った山形県の舟形マッシュルームという企業が製造する商品。
干し椎茸やドライポルチーニなど乾燥きのこは旨みが凝縮されていて、とにかく出汁がよく出るのでイタリア料理にも積極的に使っていきたい魅力的な素材だとそのときも書いています。

今日は、三大旨み成分のグルタミン酸(香味野菜とパルミジャーノ)、イノシン酸(鶏)、グアニル酸(乾燥マッシュルーム)が揃い踏み。
旨み成分は単一で使うよりも、合わせ出汁のように複数の成分を混ぜて使うことで旨み効果が何倍にもなると言われています。
お米が美味しい出汁を吸ってふっくら艶々。
大粒の栗もごろごろ入って何気に贅沢な一皿ですね。

Ingredienti (per 2 persone)

お米1合
栗(殻付き)250g
玉ねぎ1/4個
オリーブオイル大さじ2
鶏のブロード1l
乾燥マッシュルーム4g
適量
黒胡椒適量
バター20g
パルミジャーノ適量

※分量は一応の目安なので味見しながら作ってください

Preparazione

栗はさっと洗ってから塩水に1時間ほど浸します。
お尻を包丁で切り落とし、切れ目に包丁を入れて上にめくるようにして鬼皮を剥き、さらに渋皮も剥きます。
剥いた栗は大きいものは半分に切り蒸し器で40分ほど蒸します。

鶏のブロードは丸鶏と香味野菜でとりますが、この季節なので鍋物用に多めにとった鶏がらスープを流用すればいいです。
スープが冷めている状態で乾燥マッシュルームを加えて戻し、ふっくらしてきたら火にかけて10分ほど煮出します。

鍋にオリーブオイルをしいて玉ねぎのみじん切りをソフリットします。
玉ねぎがしんなりしたら米を洗わずに加えて木べらで混ぜながら炒め、ちりちり音がして米が透き通ってきたら鶏とマッシュルームのスープをひたひたに注ぎ、弱火で煮ていきます。

頻繁にかき混ぜるとお米に粘りが出るので、鍋の底が焦げ付かないようときどきかき混ぜ、スープを継ぎ足しながら15分ほど煮ます。
お米に若干芯があるぐらいの状態で火を止め、削ったパルミジャーノと栗を加えて混ぜあわせ、塩胡椒で味を調整します。
味が整ったらバターを落とし入れてさっと混ぜ合わせます。

数分休ませてから皿に盛って、黒胡椒とパルミジャーノを挽きかければ出来上がり。

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