2019年2月23日土曜日
Insalata di Riso alla Pescatora お米の漁師風サラダ
刺身水準の鮮度の魚がどこでも普通に買える日本で作るペスカトーラはもはやちらし寿司そのものといった雰囲気、きらきらと宝石箱のように輝いて春のお祝い膳に添えてもしっくりくる一品です。
瑞穂の国という言葉を聞いたことがあるでしょうか。
ちょっと古めかしくも聞こえますがとても美しい響きがします。
実はとある国の食文化を象徴的に表現した呼称で、みずみずしい稲穂が垂れる国という意味なんですが、どこの国のことかわかりますか。
答えはもちろん私たちが暮らすこの美しき日本国のことですよね。
日本は四季折々の野山や海の幸に恵まれ、そこに日本人の繊細な知恵や丁寧な手仕事が加えられて生まれたのが和食文化です。
新鮮で多彩な食材はもちろんですが、調理法、食器、盛りつけ、配膳、食事作法、おもてなしの気配りまで含めたすべてが和食の構成要素。
つまり和食とは心と物の総和で成り立っているんですねぇ。
そして、一汁三菜をおかずに白飯を食べることを基本としている和食に欠かせないのがお米というわけです。
米は日本のみならず中国やタイやインドといったアジア圏で主食として食べられています。
主食という概念は、先の一汁三菜をおかずに白飯を食べるという言葉が示すとおり、ご飯を食べるためにおかずを食べるという食事スタイルにおけるご飯に相当する炭水化物主体の食物のこと。
うどんなどの麺類も炭水化物なのでご飯の代わりにお腹を満たすこともできますが、お昼ならまだしも夕食が麺類だとなんとなくもの足りない気がしますし、そういう食事が続くとちょっと飽きてしまいます。
それは日本人の主食がラーメンやうどんではなくご飯だから。
最近は炭水化物とりわけお米のご飯が諸悪の根源であるかのように扱う風潮があり、ダイエットマニアはまだしも医者や栄養士まで口を揃えて炭水化物を控えるよう健康指導したりしています。
でも唐揚げや生姜焼き、魚の照り焼きなど味の濃いおかずを食べてるとどうしても白いご飯が欲しくなりますし、ちゃんとご飯を食べてないとなんだか力が沸いてこないような気にもなります。
縄文時代からずっと主食としてきたお米は日本人のソウルフード。
ご飯を食べたいという欲求というか食べなきゃいけないという義務感が日本人のDNAに刷り込まれているんですよね。
世界的にみるとお米だけでなく小麦、とうもろこし、じゃがいもなどが主食として食べられています。
なかでも小麦を粉に挽いて捏ねた生地を焼いて作るパンは日本のご飯に相当する西洋の主食のような感じがしますよね。
じゃあちらではパンが主食なのかというと実はちょっと違います。
あちらでは別にパンを食べるためにおかずを食べてるわけじゃないし、そもそもそういう概念もないんです。
レストランでは食事の最中は常にテーブルにパンが置かれ、なくなれば勝手に補充してくれますし、客は料理の合間にパンを食べます。
日本人がおかずをつつきながら合間にご飯を食べるのと似ていますが、目的というか位置づけが違うんですね。
主食ではないものの、実はイタリアはヨーロッパ最大の米の生産国で、消費量でもパエリアのスペインなどを抑え欧州一を誇ります。
イタリアといえばパスタが国民食と言われるぐらいパスタのイメージが強いですが、リゾットをはじめお米のコロッケや今日のようなサラダ、お米のデザートまで実に多様な食べ方をされています。
お米のサラダは蒸し厚い夏に冷たくして食べる冷菜の定番なんですよ。
さて、来週3月3日は桃の節句=ひな祭りですね。
お祝いの膳の定番は蛤のお吸物やちらし寿司ですが、洋風ちらし寿司のような今日のライスサラダもしっくりきそう。
お寿司にはオリーブオイルは使いませんが、やや甘くしたヴィネガーとオリーブオイルのドレッシングはすし酢と言われても違和感がなくマリネしたご飯も寿司めしのよう。
ちらし寿司なのに洋風にお洒落に盛り付けたのかと思わせ、それでいて口に運ぶと仄かにヴァージンオイルが香り二度びっくりさせるなんて演出もできますね。
Ingredienti (per 4 persone)
お米 | 1 1/2合 | ||
お刺身ぶつ切り | 100g | ||
塩 | 適量 | ||
黒胡椒 | 適量 | ||
オリーブオイル | 適量 | ||
レモン | 1/4個 | ||
per i Condimenti | |||
オリーブオイル | 大さじ1 | ||
ワインビネガー | 大さじ2 | ||
塩 | 小さじ1/2 | ||
砂糖 | 大さじ2 |
※分量は一応の目安なので味見しながら作ってください
Preparazione
使ったお刺身は赤身のマグロと白っぽいビンチョウマグロ、サーモン、タイ、アジ、イカなどごくありきたりの取り合わせ。ぎらぎらした銀皮が入ってると漁師町の賄い飯っぽい庶民的な雰囲気がでますので、漁師風を謳うならアジは必須です。
刺身はそれぞれ小さな賽の目に切り、塩をふって手で優しく塩揉みして流水で洗い、キッチンペーパーなどで水気を切ってから軽く塩をふり、オリーブオイルをかけてマリネしておきます。
ご飯をやや硬めのアルデンテに炊き、バットなどに広げます。
ワインヴィネガーに塩、砂糖を加えてよく混ぜてからオリーブオイルも加えて乳化するまでよく攪拌し、ご飯が熱いうちにまわしかけ杓文字で切るようにして混ぜ合わせます。
ご飯の粗熱がとれたらマリネした刺身と混ぜ合わせ、平皿にセルクルを乗せて優しく詰めます。
セルクルを外して黒胡椒を挽き、レモンを添えれば出来上がり。
そのままでも、冷蔵庫で冷やしても美味しく食べられます。
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