2019年3月3日日曜日
Fasolari al Vino Bianco 蛤の白ワイン蒸し
麗かな陽気とともに今年もやってきた二枚貝の季節、やっぱり貝料理はあれこれ手をかけずに素材そのものをシンプルに味わうに限ります。
3月に入ると季節は名実ともに春ですね。
ぽかぽかして過ごしやすいのはもちろんですが、空気の色まで心なしかモノトーンからパステルカラーへと変わってきた気がします。
そして毎年なぜかこの時期になるとなんとなくむずむずしてじっとしていられなくなるんですよね。
花粉症の話ではありませんよぉ。笑
そわそわして落ち着かなくなるという意味です。
そう、冬は暖かい室内に引きこもってる方が楽なのでついつい出不精になったり体を動かすとか何かをするというのが億劫になりがちですが、春は誰かを誘ってどこかにお出かけしたくなったり、何か新しいことを始めたくなったりする季節。
新年度の始まりでもあるので、春から大学生や社会人になるという人や転勤で職場が変わるなど、環境が新しくなる人もいますが、そうでなく自分から心機一転新しい趣味を作ろうとかダイエットを頑張ろうとか、新しい服を買うなんて人もいます。
人間にとって春とはそういう季節なんですよね。
動物たちにとっても春は活発に活動を開始するシーズン。
例えば冬眠から目覚めたクマは、まずは空腹を満たすために摂餌活動に勤しみます。
空腹が十分に満たされると次はお約束の恋愛行動。
本能で行動する動物たちにとって春はこんな感じの季節。
春が旬とされる魚介類もだいたいこれと同じパターンで行動します。
冬は深場でじっとしていたのが水温の上昇とともに動きが活発になり、餌を求めてあちこち泳ぎまわります。
そしてお次は産卵シーズンというわけですね。
旬とは身が太り脂が乗って一年で最も美味しくなる時期のこと。
春が旬の魚たちはこの時期は大概産卵期を控えてるので、餌をたっぷり摂って栄養をため込もうとするし、太ってるわりに運動量も豊富。
もちろん脂もばっちり乗ってます。
貝類とりわけ二枚貝もその多くが春に旬を迎えます。
というより春=貝の季節といった方がいいぐらい、貝がお好きな方にはお待ちかねの季節ではないでしょうか。
浅場に生息するアサリやハマグリなどの二枚貝は水温もさることながら実際には日照時間の長さで春の訪れを感じとります。
活発といっても貝なので魚のように遠くまで泳いだり素早く移動したりできませんが、彼らなりにせっせと動きまわり餌をとります。
ほどなくして繁殖シーズンがやってくるため、産卵に備えて急ピッチで身を肥やそうとしているようにもとれますし、逆に冬の間はろくに餌をとらずにじっとしていたので、空腹に任せて盛んに摂餌し、結果として太った状態で産卵期を迎えるともとれます。
いずれにせよ貝好きにとっては嬉しい季節ですね。
さて、そんな二枚貝のなかでもわりと早くに旬を迎えるのがハマグリ。
国内でも有数の産地として知られる三重県の桑名は春は貝がまだ深場にいるため食べ頃はかなり先になるそうですが、千葉県の九十九里浜では遠浅の地形で貝が春を感じるのが早いため、ちょうど桃の節句の頃にはお待ちかねの旬を迎えます。
握りこぶしのように大粒のものは値がはるので今日はひとまわり小さなものにしましたが、貝殻の内側いっぱいに身が詰まって食べ応え十分。
ここはやはりシンプルに浜焼きや酒蒸しなどで食べたいところですが、今日の白ワイン蒸しならオリーブオイルの香りもきいて最高です。
貝類は実はイカやタコと同じ軟体類の仲間。
軟体類はにんにくの香りやオリーブオイルとの相性がとにかく抜群で、地中海料理で持ち味が活きます。
フランス料理のようにクリーミーで味の濃いソースで仕立ててしまうとせっかくの旬の素材が台無しになってしまいますが、オリーブオイルは素材の味を邪魔したり喧嘩したりすることなく、素材の味を引き立ててくれるのが特徴、ちょっと和食の味つけと考え方が似ていますね。
旬の時期の貝はいわゆる貝類特有の旨み成分=コハク酸が通常の時期の何倍も含まれるため、身も大きいうえに旨みが濃く出汁もよく出ます。
せっかくなので皿に残った貝の旨みたっぷりのスープもパンで拭って、残らず味わいたいですね。
Ingredienti (per 2 persone)
ハマグリ | 200g | ||
にんにく | 1/2片 | ||
オリーブオイル | 大さじ1 1/2 | ||
白ワイン | 1/2カップ | ||
レモン | 1/2個 | ||
塩 | 適量 | ||
黒胡椒 | 適量 | ||
プレッツェーモロ | 5枝 |
※分量は一応の目安なので味見しながら作ってください
Preparazione
ハマグリは砂抜きして流水で殻をこすり合わせるように洗います。にんにくとプレッツェーモロ(イタリアンパセリ)は粗みじん切りに、レモンは短冊切りにします。
深さのあるフライパンにオリーブオイルをしき、ごく弱火でにんにくをふつふつさせます。
にんにくの香りがしてきたらハマグリを静かに鍋に置き入れ、ワインとパセリを加えて蓋をして中強火で蒸し焼きにします。
前後にフライパンを揺すって貝に熱を行きわたらせていくと、早ければ1分もしないうちに殻が開きます。
身が固く小さくならないよう長くても3分ぐらいで火を止めます。
貝から塩気が出ますが味を見て必要なら塩で調整します。
ハマグリと旨みたっぷりの煮汁をスープ皿に盛り、黒胡椒を少量挽いてパセリを散らし、レモンを搾りかければ出来上がり。
皿に残ったスープも残らず拭って食べたいので、バゲットを添えるのがお勧めです。
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