2018年3月24日土曜日

Linguine alle Vongole e Bottarga di Muggine 春浅蜊とカラスミのリングイーネ

春の食材がどんどん出てくるこの時期の楽しみのひとつ、アサリで作るイタリア料理の定番といえばヴォンゴレですよねぇ。
もっちりしたリングイーネがぷくぷくの春浅蜊の出汁をしっとり吸って貝好きにはたまらない逸品、仕上げに削ったカラスミの黄色がより一層春らしさを添えてくれます。

春分の日も過ぎいよいよ昼の方が夜よりも長くなって、本格的に気温が上昇してくる時期になりました。
今年の冬はとくに寒かったというのもあり、家から外に出るのが億劫で引きこもりを決め込んでいたなんて人も、気温が緩んでくるとなんだかそわそわしてじっとしていられない気分になりますよね。
お出掛けするならやっぱり花見、今年は開花が早く東京でもこの週末が見頃だなどと言われていますが、桜だけでなく菜の花やチューリップのお花畑を見に行くというのもいいし、いちご狩りや、春の海を見に行くついでにシラス丼を食べてくるなんてのもいいですね。
春はどこかに出掛けたくなるだけでなく、何か新しいことを始めるとか何かを変えてみたくなる季節でもあります。
ダイエットや体力づくりのためヨガやジムに通い始めるとか、習い事を始めてみようとか、髪型を変えてみたくなるのも春。
重いコート脱いで薄着になるからお洒落したい、今年もまた新しい服が欲しくなる、服を買ったら今度はそれを人に見せたいから誰かを誘って出掛けたくなる、なんてのが毎年繰り返される春の乙女心の連鎖。
春は何か行動を起こしたいという活力がみなぎる季節なんですよね。

春に活性が高まるのは人間だけでなく動物たちも同じです。
長い冬眠から目覚めるとまず空腹を癒やすため餌をとろうとしますし、お腹が満たされたら次は繁殖行動です。
そう、春は恋の季節でもあるので。
海に暮らす魚たちも冬は深場でじっとしていたのが水温の上昇とともに餌の豊富な浅場に寄りつきます。
とくに繁殖期が近い魚たちは乗っ込みと呼ばれる活発な摂餌行動をとり身体に栄養を蓄えるため、結果としてまるまる太って脂が乗った状態のいわゆる旬を迎えます。
例えば魚編に春と書く鰆=サワラ、春告魚の別名があり目春という字をあてるメバル、同じく春告魚でも北海道で春告魚といえば鰊=ニシン、桜が咲く頃に桜色の婚姻色に染まる桜鯛(真鯛の季節名)など春らしい名前を持つ魚たちは大抵、春にこのような行動をとります。

魚のように俊敏に移動することができない貝類、とくに砂浜など浅場に生息する浅蜊や蛤などの二枚貝も、水温や日照時間の変化をいちはやく感じとり繁殖の準備を始めます。
二枚貝たちの餌となるのが水中を漂うプランクトンで、水管をのばして海水を吸い込み餌を濾し取って摂餌します。
海水温が上昇すると餌のプランクトンの絶対量がそもそも増えるため、魚のように移動しなくても居ながらにしてたっぷり餌をとることができ産卵に必要な栄養を蓄えることができます。
冬場や夏場の痩せた時期と比べると春の貝は殻も身もふっくらと太り、コハク酸と呼ばれる旨み成分が何倍にも増えるので貝類特有の味が濃く出汁もよく出ます。

浅蜊の濃厚な出汁で作る味噌汁や炊き込みご飯(深川めし)が旨いのはもちろんですが、貝の旨味成分は小麦の香りと抜群に相性がいいため、パスタにアサリのスープをしっとりと吸わせたヴォンゴレは毎年春には必ず食べたくなる一皿。
白ワインで蒸して殻を開けるので最初はしゃばしゃばしますが、乳化剤の役目をしてくれるパスタの茹で汁は規定量加え、煮詰めながらオイルと水分をしっかり乳化させるのが美味しく作るポイント。
食べている間もパスタがどんどん水分を吸うので、パスタがぱさぱさにならないようソースの水分は多めで仕上げます。

Ingredienti (per 2 persone)

リングイネ250g
アサリ250g
にんにく2片
新玉ねぎ1/2個
白ワイン1/2カップ
オリーブオイル大さじ4
カラスミ適量
プレッツェーモロ10枝
レモン1/4個
適量
黒胡椒適量
パスタの茹で汁レードル2杯

※分量は一応の目安なので味見しながら作ってください

Preparazione

新玉ねぎとプレッツェーモロ(イタリアンパセリ)は粗みじん切りに、にんにくはスライス、レモンは櫛形に切っておきます。

鍋に海水程度の濃さの塩水を作って浅く張り、アサリを重ならないよう置き入れて蓋で暗くして2時間ほど砂抜きをします。
砂抜き後は流水で殻をこすり合わせて洗い、ザルに上げておきます。
旬の時期はすべての栄養が身を太らせるために使われ、殻が割れやすくなっているので優しく扱います。

フライパンを弱火にかけてオリーブオイルをたっぷりしき、にんにくと新玉ねぎをソフリットして香りを出します。
香味野菜がくったりしたらアサリを静かに置き入れ、白ワインを注いで蓋をし、貝が開くまで中火から強火で蒸していきます。
殻を開けるための時間は早ければ1分、長くても3分程度にします。
身が硬くなるのと、パスタをマンテカーレするときに邪魔になるので、開いたアサリは一旦取り出しておきます。

アサリから出た水分とワインとでそこそこ汁気が多くなっているので、少し煮詰めてからパスタの茹で汁を加えフライパンを小刻みに揺すってソースを乳化させます。
パスタを表示より短かめに茹で上げてフライパンに移し入れ、ソースの旨みをパスタに吸わせながらマンテカーレします。
アサリから結構塩気が出ますが、味が足りないようなら調整します。

取り出しておいたアサリを戻してもう一度さっと和えます。
皿に盛ってさっとオリーブオイルをまわしかけ、カラスミを削りかけてプレッツェーモロを散らし、レモンを添えれば出来上がり。

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