2015年3月28日土曜日
Calamari alla Brace 春ヤリイカのブラーチェ
味付けはいつものようにシンプルにして、半生に焼き上げたヤリイカの上品な甘みと歯切れのよいぷりっとした食感を味わいます。
ヤリイカはイタリア語で "Calamaro"(複数形 "Calamari" )、魚介系のパスタやフリットなどには欠かせないお馴染みのイカです。
日本でお馴染のイカはスルメイカですよね。
ヤリイカは寒い時期にしか出回らないため季節が限られるのと、食味が抜群に良く、高級料亭などからの引き合いが多いちょっと格上のイカ。
このためスーパーなどではなかなか目にすることのない希少品ですが、春になると産卵のため浅場に寄りつき漁獲量が増えるので、手頃な値段で店頭に並ぶ機会も多くなります。
ヤリイカの寿命は春を起点とした一年。
打上げ花火のフィナーレのごとく最後に市場を賑わせた後は、店頭からぱったりと姿を消し、秋口まで入荷がなくなります。
旬のヤリイカはもちろん刺身で絶品なんですが、スルメイカと違うのは加熱しても硬くならず甘みがぐっと増すため、煮ても焼いても美味しく料理の幅が広いのが特徴。
ペスカトーレでもアクアパッツァでも、ヤリイカの代わりにスルメイカを使って作ると美味しくできないのはこのためで、イカに対する価値観を大きく変えてくれるイカでもあります。
通年入手しやすい食材でないところが難点ですが、秋口には子ヤリイカが流通し始めるのと、輸入品や冷凍品でも秀逸なものがありますので、イタリア料理には是非ともヤリイカを使ってくださいね。
さて、ヤリイカの表面をさっと炙って甘みを引き出すというのは寿司屋などでもよく見かける技法です。
伝統的なイタリア料理では半生になるよう炙った料理というのはあまり聞きませんが、マグロのたたきのようにまわりだけ焼き目をつけた料理に使われる "Scottato" が意味的にやや近いかもしれません。
半生という意味の "Semicrudo" という単語もあります。
しかし、直火で炙るのであればいちばんしっくりくるのがプーリア料理で出される炭火焼きという意味の "Brace"=ブラーチェ。
半生に焼き上げるところも魚介の生食文化があるプーリアならではで、タコやイカなどがさっとブラーチェされて提供されます。
ブラーチェを日本の家庭でやるなら魚焼きグリルが便利。
半透明の身がほんのりと乳白色になり、薄っすらと焼き目がつくぐらいが目安。
刺身でもなくグリルでもない、表面をさっと炙ったヤリイカならではのねっとりとした甘みにオリーブオイルとレモンの香りがよく合います。
Ingredienti (per 4 persone)
刺身用ヤリイカ | 2杯 | ||
オリーブオイル | 適量 | ||
イタリアンパセリ | 3枝 | ||
レモン | 1/2個 | ||
自然塩 | 適量 | ||
黒胡椒 | 適量 |
※分量は一応の目安なので味見しながら作ってください
Preparazione
ヤリイカの軟骨を外し、脚をワタごと引き抜いて目から上を切り落とし胴と脚を流水でよく洗います。エンペラの付け根がとれないよう注意して胴の薄皮を剥きます。
薄皮がついたまま焼くと、イタリア料理というよりも露店の焼きイカのような赤茶色になるので、下処理をしてぷりっと白く焼き上げます。
バーナーがあれば焼き網やグリルパンなどにイカを乗せて上から直火で炙ります、道具がなければ魚グリルでもうまく焼けます。
半生に焼き上がるよう短時間に焼き目だけつけるイメージです。
焼き上がったらまな板にとり、すぐに両面に塩をふって味を決めます。
平皿に乗せてオリーブオイルをまわしかけ、軽く黒胡椒を挽き、レモンをたっぷりと搾りかけます。
イタリアンパセリの粗みじん切りを散らせば出来上がり。
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