2018年12月9日日曜日

Carpaccio di Orata con Corona di Erbe e Fiori 天然真鯛のカルパッチョ 三種のハーブとともに

カレンダーも残すところあと一枚、名実ともに冬に入り味が乗ってきた白身魚を三種のハーブの香りでいただく真鯛のカルパッチョ仕立て。
クリスマスシーズンにちなんでグリーンリーフをリース風にあしらい、エディブルフラワーで華やかな色味も添えた見映えのする一皿です。

街がすっかりクリスマス色に染まってきていますね。
人通りの多い駅前広場にはひときわ大きなツリーが往く人の目を惹き、花屋の店先に並んだ真っ赤なポインセチアたちがいちばんを競い合い、葉が落ちて殺風景だった街路樹の欅にはシャンパンゴールドのシックなイルミネーションが灯され、昨年もその前の年も流れていたおなじみのクリスマスキャロルが今年もまたどこからともなく聞こえてきます。

年末の忙しさに感けてとくに気にしてなかったけど、ふとそんな光景に気がついてあたりを見まわしてみると、クリスマス色に染まった景色がほら、あっちにも、こっちにも見つかります。
子どもたちは目をきらきらさせておもちゃのショーウィンドウに釘付けになり、年頃の娘たちは可愛らしく着飾って足早に誰かの待つ広場へと向かい、両手にプレゼントを抱えたお父さんたちは家路を急ぎます。
年齢や性別は違っても人それぞれの過ごし方があるクリスマス。
街も人もクリスマスの魔法にかかってきらきら輝いています。
寒さも一段と増してくる頃ですが、寒ければ寒いほど、ついでに雪でも散らつこうものならなお一層盛り上がるのもこの時期ならではですね。

この、もうすぐ訪れるクリスマスを待ちわびる期間のことを、西欧ではアドベントと呼んでいます。
期間が終わる日はもちろんクリスマスイブなんですが、起点となる日は毎年同じではなく、11月30日に最も近い日曜日とされています。
今年だと12月2日に始まり12月24日までの23日間となります。
この期間はヨーロッパ各地でクリスマスマーケットが開かれます。
聖なる夜には商取引を行わないという慣習から、その前に必要なものを広場に持ち寄って物々交換したりしていたのが起源。
マーケットではお菓子やオーナメント、アドベントリース、アドベントカレンダー、クリスマスキャンドルなどが売られていて、ぐるりと見てまわるだけでも楽しくなります。

このなかで少し聞きなれないのがアドベントカレンダーでしょうか。
アドベントカレンダーとはクリスマスまでの日数をカウントするための日めくりカレンダーのようなもので、日の部分が小窓になっていて毎日一つづつ窓を開けてカウントダウンするというもの。
窓の中にはキャンディやチョコレートなどが入っていて、子どもたちは毎朝これを開けるのを楽しみにしているというわけです。

アドベントリースというのもあまりなじみがないですよね。
アドベントリースは玄関などにぶら下げたりするクリスマスリースとは違い、テーブルなどに置いて4本のキャンドルを立てて使います。
アドベントの最初の日曜日に設置し、聖書を読んだりお祈りしたりして一本目のキャンドルに火を灯し、クリスマスイブまでには日曜日が四回訪れるのでこれを毎週日曜日に繰り返します。
四本のキャンドルはそれぞれ希望、平和、喜び、愛というキリスト教の概念を表しているそうですよ。
そもそも輪の形には始まりも終わりもないことから、リースには永遠に続くという意味が込められています。
永遠の輪の上で順に灯される希望、平和、喜び、愛のキャンドルたち。
キリスト教徒でない私たちはついムードだけで盛り上がりがちですが、そこに込められた尊い意味や願いなどをちゃんと知り、噛みしめながらクリスマスをお祝いしたいものですね。

さて、寒くなって味が乗ってきた真鯛などの白身魚が旬を迎えています。
冬の素材は無理に季節を先取りしたりせず、十分に寒くなってから満を持して食べるのが和食の世界などでも暗黙の了解。
鮮度よく艶々に透き通った天然真鯛の初物、それならばシンプルにカルパッチョ仕立てでいただくのがいちばんですね。

今日は香りがわりとマイルドなプレッツェーモロ(イタリアンパセリ)にオレガノにタイムという三種のフレッシュハーブをグリーンのリースのようにあしらい、エディブルフラワーで彩りも添えた、見栄えのするクリスマスシーズン限定仕立て。
聖なる夜にはまずこんな一皿で乾杯したいですね。




Ingredienti (per 2 persone)

天然真鯛(刺身用)150g
にんにく1/2片
プレッツェーモロ5枝
オレガノひとつまみ
タイムひとつまみ
エディブルフラワー適量
オリーブオイル大さじ2
レモン1/2個
適量
黒胡椒適量

※分量は一応の目安なので味見しながら作ってください

Preparazione

プレッツェーモロ(イタリアンパセリ)を粗みじん切りにし、タイムとオレガノはひとつまみほどの量の葉を手でちぎって少量加え、ボウルに移してオリーブオイルを満たし少し馴染ませます。
にんにくは芽をとって皿に断面を擦りつけて香りを移します。

鯛は柵取りして刺身包丁で尾の方から薄く削ぎ切りにしていきます。
皿に鯛の刺身を並べていきますが、同じ向きに整然と並べるのではなく皿の外側からパズルをはめるように隙間なく並べていきます。
刺身に岩塩を挽きかけますが、塩が少ないと味がぼけるので、ちょっと多いかなぐらいでちょうどいいはずです。

オイルにひたしておいたハーブをスプーンですくい刺身の上にリースのようにあしらいます。
残りのオリーブオイルの上澄みを刺身全体にまわしかけ、指の腹で軽く押すようにぺたぺたと馴染ませます。
エディブルフラワーを手でちぎってリースの上に適当に配置します。
黒胡椒を挽きかけ食べる直前にレモンを搾りかければ出来上がり。

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