2018年12月1日土曜日

Risotto al Parmigiano 黒胡椒とパルミジャーノのリゾット

バターでちりちり炒めたぴかぴかの新米と香味野菜を熱々の鶏スープでことこと煮て、チーズと黒胡椒で仕上げたパルミジャーノのリゾット。
鶏出汁に野菜の香味にバターとチーズの芳醇さが奏でる旨みの三重奏はこの季節ならでは、リゾットに不向きとされる国産のしかも新米ですがちょっとしたコツでちゃんと上手に炊けますよ。

ぽかぽかの陽気と木枯らしが交互にやってくる過渡期の季節も束の間、12月に入ると冬型の気圧配置が列島を包んで居座り始めます。
西高東低の気圧配置ともいいますよね。
太平洋側では天気はいいものの乾いた北風が吹く寒い日が何日も続き、逆に日本海側では毎日のように雪が降ります。
スキーなどのウインタースポーツを楽しみにされている方はともかく、そうでない普通の人にとっては歓迎されざる季節がやってきます。

西高東低の気圧配置とは、天気図でいうと日本の西の大陸に高気圧が、北海道の遥か東沖に台風並みに発達した低気圧が位置し、その間に日本列島が挟まれているような気圧配置のこと。
低気圧と高気圧の間に大きな気圧の差が生じるため、何本もの等圧線が日本列島の上を狭い間隔で縦にずらりと並びます。
空気は気圧が高い方から低い方へと流れるので天気図を見る限り西風が強く吹くようにも見えますが、実際には高気圧の周りでは時計回りに、逆に低気圧の周りでは反時計回りに渦を巻くように空気が流れるため、北寄りの風が強く吹くというわけです。

大陸の高気圧とはシベリア高気圧と呼ばれる寒気団のこと。
気圧が高いと普通は温度も上昇するので、高気圧は春や秋の晴天や夏の暑さをもたらす暖かい空気のかたまりというイメージだったんですが、冷たい高気圧というのもあるんですねぇ。
これが発生する仕組みはエアコンの冷たい風が床にたまるのと同じで、ロシアの内陸部では冬は夜間の放射冷却により冷たい空気が地上付近に降りてきて下降気流ができ、気圧が高い状態になります。
こうして冷たい高気圧が形成されるわけです。

一方、北海道の東、というよりオホーツク海のさらに東のベーリング海あたりに停滞する低気圧がアリューシャン低気圧。
よく冬に雨が降ると気温が緩むのは湿った暖かい空気の移動性低気圧が日本を通過するからなんですが、この低気圧はその後シベリア高気圧の縁を沿うように北東へ向かいベーリング海付近に吸い寄せられるように集まってきます。
張り出したシベリア高気圧の影響で、相対的にこのあたりの気圧が低く空気が流れ込むためですが、ちょうどロシアとアラスカが海峡を隔てて袋小路を形成し、そこにすっぽり収まるようにも見えますね。
行き場がなくなった移動性低気圧の暖かく湿った空気と大陸の高気圧の寒気がぶつかり合うと、その境目で渦が生じてアリューシャン低気圧が発生し、その後猛烈に発達するというわけです。
実は、ハワイのノースショアの波はこのアリューシャン低気圧によってもたらされるものなんです。
台風並みに発達した低気圧が長時間同じ場所で風を吹かせ続けることで海は荒れ、海面にできたさざ波は干渉しあいより波長が長く大きな波に呑み込まれながらうねりを形成、やがて巨大なうねりとなって太平洋を渡り遠くハワイはオアフ島のノースショアへと到達します。
地球規模の天気の話ってほんと面白いし興味深いですね。

さて、12月に入ると献立の方も本格的に冬仕様に衣替えしてきます。
温かいスープや汁物、鍋料理や煮込み料理なんかが恋しくなりますが、料理の温度もさることながら、冬は使う具材や味付けも脂っこいものやこってりした濃い味付けのものが多くなってきます。
真冬の寒さで体温や体力を奪われるため、本能的に高カロリーなものを身体が欲するからなんですね。
リゾットはとくに冬の料理というわけでもないですが、鶏出汁で炊いてバターやチーズで仕立てたものはやはり冬に食べたい一皿ですよね。

一般的にリゾットに向くとされる米はイタリアのカルナローリのように粘り気が少なめでさらっとしているタイプの米。
国産米ではかつて一斉を風靡したササニシキなどが比較的リゾット向きとされていますが、今日はあえて宮城のひとめぼれを使っています。
コシヒカリを親に持つひとめぼれはご飯で美味しいお米の代表。
これを上手にリゾットに仕立てるには米をちりちり音がするまで炒めて米粒の表面にしっかり油の膜をつくり、米粒どうしがくっついたりせず煮汁の中を泳ぐような状態を保つため常に多めのブロードで早め早めに注ぎ足しながら煮て、粘りが出ないようほとんどかき混ぜないこと。
間違っても炊いてる途中で目を離したりしてはいけません。

Ingredienti (per 2 persone)

米(ひとめぼれ)1合
にんにく1/2片
玉ねぎ1/2個
鶏のブロード1l
バター40g
パルミジャーノ40g
適量
黒胡椒適量

※分量は一応の目安なので味見しながら作ってください

Preparazione

にんにくと玉ねぎはみじん切りにします。
チーズは粉状に削っておきます。
鶏のブロードはきちんととってもいいのですが、水炊きなどの鍋料理をする際にとった鶏がらスープを流用すると一石二鳥です。
(※ 鶏がらスープの素みたいなのは全然香りがないので使えません)

深鍋を中火にかけてバターを溶かし香味野菜をソフリットします。
隣で鶏スープをことこと沸騰した状態に保ちます。
玉ねぎがしんなりしたら米を洗わずに加えて木べらで混ぜながら炒め、米の表面にしっかり油の幕をつくります。
米が透き通ってきたら鶏スープをいつもより多めに注ぎ入れ、スープの中を米が泳ぐような状態を維持しながら早め早めにスープを注ぎ足し、15分ほど炊いていきます。

焦げ付かないようにときどきはかき混ぜますが、米から粘りが出るのでなるべく混ぜるのを控えるようにします。
米に芯が結構あるぐらいの状態で火を止め、バターとパルミジャーノを加えてさっくり混ぜてから塩胡椒で味を調整します。

通常のリゾットはこの時点で汁気がほとんどなくなってるはずですが、国産米ではどうしても最後までスープが多めに残ってしまいます。
でもこのあとも米が汁気をどんどん吸うので大丈夫です。
数分休ませてからスープ皿に盛り、パルミジャーノを削りかけ黒胡椒を挽きかければ出来上がり。

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