2017年3月18日土曜日
Risotto con le Vongole e Piselli 春浅蜊とピゼッリのリゾット
貝なのでバターやチーズは使わないしブロードを足すこともなくアサリの出汁だけで炊いた、ラグーナをわたる春風の香り漂う一皿です。
春の食材がどんどん出てくるこの時期はなにかと楽しみですが、貝類はそんな春の食材を代表するもののひとつ。
アサリは一年を通して目にしますが、産卵期を控えたこの時期のものは栄養分を蓄えるために身が太って食べごたえがあるし、なんといってもあの貝類特有の出汁=旨み成分が産卵後の痩せたアサリと比べて数倍に達するそうなので美味しくないわけがありません。
定番だけどもまずは味噌汁でいただきたいし、晩酌のお供なら酒蒸しやワイン蒸しもいい、もちろんパスタも美味しいですよねぇ。
そのヴォンゴレ=アサリのスパゲッティは数あるパスタ料理のなかでも傑作の部類に入るほど秀逸で完成された料理。
アサリの出汁はパスタの小麦の風味との相性が抜群でオイルとの乳化がばっちり決まったソースはシンプルなのに極上、こんなに旨いパスタが生まれたのはイタリアのどこなのか気になります。
初めて作ったのはローマのレストランだという説、魚介とスパゲッティの組合せなら当然ナポリに決まってるでしょという説、いやいや海の幸なら水の都ヴェネチアの方が豊富だという意見など諸説あります。
ヴェネチアはイカ墨スパゲッティなんかも有名ですが、これはイタリアに来たら真っ先に旨いスパゲッティを食べたいという観光客のニーズにヴェネチアの商人気質が応えて産まれた名物料理。
硬質小麦と水から作られる乾燥スパゲッティはナポリなど南イタリアの食文化で、北のヴェネチアの郷土料理ではありません。
軟質小麦と卵で作るビーゴリというご当地パスタもありますが、これは玉ねぎとアンチョビのソースと和えたり肉のラグーで食べるのが定番で魚介と合せたりはしないようなので、それよりも米どころのヴェネチアとしてはイカ墨のリゾットこそが郷土料理と呼べるもの。
今日のアサリのリゾットもまさにヴェネチアらしい一品と言えます。
でも、米を使った料理のことなら日本も黙ってませんよね。笑
一汁三菜をおかずに白米を食べるのを常としてきた日本人にとって米はソウルフード、さすがにイカ墨ご飯というのはないですがアサリと米の料理なら江戸前の深川めしがありますよね。
深川は日本橋や八丁堀から東に隅田川を越えた先の界隈で、埋め立てで今は海まで遠くなりましたがかつては砂州が広がる漁場でした。
アサリやハマグリ、牡蠣、アオヤギなどが豊富に獲れていたそうです。
深川めしには大きく分けると二種類のレシピがあり、ひとつはアサリやアオヤギの剥き身とネギを味噌で煮込んで丼飯にぶっかけたもの。
もうひとつは弁当としても持たせられるよう考えられたアサリの炊き込みご飯で、駅弁やデパ地下のお弁当のイメージもあり現代では深川めしといえばこの炊き込みご飯の方。
イタリアのリゾットも具材の出汁で米を炊くところが基本的に同じ。
お米がアサリの出汁を吸ってふっくら艶々、日本人も大好きな味のリゾットです。
Ingredienti (per 2 persone)
米 | 1合 | ||
アサリ | 200g | ||
冷凍グリーンピース | 60g | ||
にんにく | 1/2片 | ||
玉ねぎ | 小1/2個 | ||
オリーブオイル | 大さじ4 | ||
白ワイン | 1/2カップ | ||
塩 | 適量 | ||
黒胡椒 | 適量 | ||
プレッツェーモロ | 5枝 |
※分量は一応の目安なので味見しながら作ってください
Preparazione
アサリは海水程度の塩水に浸して蓋で暗くして砂抜きをします。砂抜き後は流水で殻をこすり合わせて洗い、ザルに上げておきます。
旬の時期のアサリは栄養がすべて身を太らせるために使われ、殻が割れやすくなっているので、扱いに注意します。
フライパンにオリーブオイルをしいて強火にかけ、アサリを静かに置き入れてワインを注いで煮立たせ、蓋をして中火で蒸し煮にします。
殻が開いたら身が小さく硬くならないよう一旦取り出し、フライパンに残ったスープは鍋に移してごく弱火にかけ沸騰状態を保っておきます。
深鍋にオリーブオイルをしいて中火にかけ、みじん切りにした玉ねぎとにんにくを加えてソフリットします。
玉ねぎがしんなりしたら米を洗わずに加えて木べらで混ぜながら炒め、米が透き通ってきたらアサリの煮汁をひたひたになるまで注ぎ、さらにグリーンピースも加えて炊いていきます。
頻繁にかき混ぜると粘りが出てしまうので、鍋底が焦げ付かない程度にときどきかき混ぜ、スープを継ぎ足しながら15分ほど炊いていきます。
スープがなくなったら熱湯を継ぎ足します。
お米に若干芯があるぐらいの状態で火を止め塩胡椒で味を調整します。
数分休ませてからスープ皿に盛り付け、オリーブオイルをまわしかけて粗みじん切りのプレッツェーモロ(イタリアンパセリ)を散らし、胡椒を挽きかければ出来上がり。
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