2018年3月10日土曜日
Calamaretti in Zimino 蛍烏賊のインツィミーノ
彩りは地味だけどイカの旨みを青菜が吸ってほっこり滋味深い味わい、ブルスケッタに乗っけてカラスミを散らしパンにソースが少ししみたら食べ頃です。
ホタルイカの季節がやってきましたねぇ。
春の訪れを告げる食材という印象があるのは、総じて国内のどの産地も3月1日をホタルイカ漁の解禁日としているから。
そのため3月に入ると一斉に新物のホタルイカが店頭を賑わせます。
ただ、ホタルイカの旬のピークは実際にはもう少し先で、ホタルイカの産地として名高い富山では以前は漁の解禁は4月からでした。
その頃まで待った方がワタの味が濃くてサイズもしっかり大きめ。
なにより、湾内で産卵を済ませたホタルイカが沖に戻っていくところを定置網で獲るので資源保護にも配慮していたというわけです。
でも他の産地で底引網で獲ったものがもっと早い時期から出回るため、旬の到来を待ちわびた消費者の初物買いの需要を持っていかれないよう富山でも漁期を早めざるをえなかったのが背景のようです。
初物はやっぱり一日でも早く食べたいですもんねぇ。
ふっくらと釜茹でにされたホタルイカはまずは山葵醤油で一杯、そして次は酢味噌でもう一杯と、ぬる燗の酒が確実に止まらなくなります。
日本のイタリアンレストランでも春になるとホタルイカに菜の花などを合わせたパスタやピッツァが看板メニューになりますよね。
ホタルイカは地中海にはいませんが、その土地その季節の素材を使ってシンプルな調理法で素材の味そのものを味わうのがイタリア料理。
イタリア料理のそういうところは和食と考え方がよく似ています。
なので日本でこの季節にホタルイカを使って作られたイタリア料理は、本場とは食材こそ違えど正統なイタリア料理だと言えます。
そんなホタルイカをどんな料理に仕立てるかですが、パスタもいいけどちょっと定番過ぎてありきたりな感じもあるのでインツィミーノという料理に仕立ててみました。
インツィミーノって聞きなれない料理かもしれませんが、ほうれん草やふだん草などの季節の青菜と魚介をくたくたに煮込んだ料理のことで、トスカーナ地方やリグーリア地方の郷土料理。
一緒に煮込む魚介は鱈やタコなんかもありますが定番はイカ、というかほぼイカで作る料理だと思って間違いないです。
軽めのトマトソースで煮込んだり、ワインビネガーで酸味を加えたり、家庭料理なのでレシピのバリエーションは様々です。
でも、イカの旨みが青菜にしっかりしみこんで渾然一体となった感じに作るというところはどのレシピも同じです。
熱々である必要はなく冷めても美味しくいただけます。
日本だと野菜の炒め物などは彩りよくしゃきっとした食感が残る程度に火を入れたものが好まれますが、イタリアの場合はもうご存知のとおりくたくたになるまでしっかり火を入れるのが常識。
鮮緑色だった青菜も黒っぽく変色して変わり果てた姿になります。
そういうのがイタリア料理っぽいとはいえそのまま皿にどさっと盛るとあまりにも地味で彩りが悪すぎるので、どうせパンと一緒に食べるならあらかじめクロスティーニやブルスケッタにするとホームパーティーのような雰囲気になって見た目も華やかになります。
仕上げにはカラスミを削りかけて春らしい黄色もプラス。
ソースが少しパンにしみてきたら食べ頃ですよ。
Ingredienti (per 4 persone)
ホタルイカ(釜揚げ) | 150g | ||
寒締めほうれん草 | 1束 | ||
にんにく | 1/2片 | ||
唐辛子 | 1本 | ||
オリーブオイル | 適量 | ||
白ワイン | 大さじ2 | ||
トマトペースト | 10g | ||
カラスミ | 少々 | ||
田舎パン | 1本 | ||
塩 | 適量 | ||
黒胡椒 | 適量 |
※分量は一応の目安なので味見しながら作ってください
Preparazione
にんにくはスライスし、唐辛子はヘタをとって中の種を捨て輪切りに、ほうれん草は三等分ぐらいのざく切りにします。田舎パンは厚めにスライスし半分にカットしておきます。
フライパンを弱火にかけてオリーブオイルをしき、にんにくと唐辛子を加えてふつふつさせて香りと辛みをオイルに移します。
ホタルイカを加えて弱火でじっくり炒めたら中火にして白ワインを注ぎフランベさせてからホタルイカは一旦取り出します。
イカの旨みが出たフライパンにほうれん草を加えて中火で炒め、さらに水を加えてしんなりしたらトマトペーストも加えて、くったりするまで10分ほど煮含めていきます。
まだ水分が残っているうちにホタルイカを戻し入れ、全体を混ぜ返して塩胡椒で味を調整したらインツィミーノは出来上がり。
グリルパンをかんかんに熱してやや押し付けるようにしてパンを置き、斜めに筋状の焦げ目がつくようかりっと焼きます。
パンが熱いうちににんにくの断面を擦りつけます。
パンにインツィミーノをこんもりと盛りオリーブオイルをたらしかけ、カラスミをすりおろして散らしかければ出来上がり。
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