2015年9月20日日曜日
Calamaretti Saltati alla Coque 小ヤリイカのソテー
小さくてもやはりヤリイカですね、軟らかいのに歯切れのよいぷりっとした食感と淡泊で上品な甘みがたまりません。
"Caramaretti"=カラマレッティは "Calamari"=カラマーリ(複数形)に小さなという意味の接尾語をつけた単語で小ヤリイカのこと。
イタリア料理ではイカといえば甲イカかこのヤリイカで、魚介のパスタやピッツァ、フリットなどに欠かせない庶民的な食材です。
でも日本ではちょっと事情が違っていて、スーパーなどで通年よく目にするイカはヤリイカではなくスルメイカ。
ヤリイカは主に割烹や料亭などから引き合いのあるちょっと高級で格上のイカで、店頭で見かけることはなかなかありません。
冬場の寒い時期にしか出回らないという点も、希少性に拍車をかけてるかもしれませんね。
ヤリイカの素晴らしいところは、加熱してもゴムみたいに噛み切れなくなったり、もそもそと硬くなったりしないところ。
身は軟らかいのにぱつんとした歯切れの良さがあって、他の食べものに例えるならアルデンテに茹でたパスタみたいな感じです。
刺身で旨いのはもちろんなんですが、煮ても焼いても揚げても美味しさが引き立つので、料理の幅が広いのも特徴です。
ペスカトーレなどのイタリア料理で、ヤリイカの代わりにスルメイカを使って作ると美味しくできないのはこのためで、イカに対する価値観を大きく変えてくれるイカでもあります。
ヤリイカの寿命は春を起点とした一年なので、成長した大人のヤリイカは冬場にしか出回りませんが、春に孵化したばかりの小ヤリイカがちょうど晩夏から秋口にかけて出回り始めます。
ひと口でぱくっといけるほど小振りですが、小さくても食味は抜群だしお好きな方には小ヤリイカはこの時期しか出会えない秋を告げる味。
本格的なシーズンを前にちょっとつまみ食いといった走りの味ですが、出来たての新酒を味見して今年の出来を占うような感じにも似ていて、わくわく感が止まらないですね。笑
さて、タイトルにある "Coque"はここでは半生という意味ですが、本来は殻やシェル、カバーという意味のフランス語。
半熟の茹で卵の殻の上の部分をかちかちと割って、細長く切ったパンをどぼんとつけて食べる "Oeuf a la Coque"というフランスの有名な料理がありますが、殻付きのまま提供されることからついた名前のはずが、半熟(半生)で提供される料理の名前にも派生したんでしょう。
日本では刺身で食べられる新鮮な魚介がいつでもどこでも普通に店頭に並んでいるわけですが、そんな国は世界中で日本しかありません。
魚介を半生にソテーするなんて調理法も日本ならではの贅沢。
新鮮な小ヤリイカならさっと火を入れるだけにとどめて、アルデンテな歯ごたえと刺身のような淡泊で上品な甘みを一緒に味わいます。
Ingredienti (per 4 persone)
小ヤリイカ | 12杯 | ||
オリーブオイル | 大さじ3 | ||
にんにく | 1片 | ||
レモン | 1個 | ||
白ワイン | 1/2カップ | ||
塩胡椒 | 適量 | ||
タイム | 5枝 |
※分量は一応の目安なので味見しながら作ってください
Preparazione
小ヤリイカは胴体から足とわたを引き抜いて背骨を外し、胴体の薄皮を丁寧に剥いて水洗いします。皮を剥くことで加熱しても赤くならず白っぽく仕上がります。
引き抜いた足とわたは目の下に包丁を入れて切り離し、わた側は捨てて足を水洗いし、胴体とともに水気を切っておきます。
にんにくはみじん切りに、レモンは搾ってレモン汁にしておきます。
フライパンをごく弱火にかけてオリーブオイルを注ぎ入れ、みじん切りにしたにんにくを加えてじっくり香りを出します。
タイムとレモン汁を加え、さらに白ワインを注いで煮立てます。
ヤリイカはさっとソテーして半生に仕上げたいので、先にソースの味を塩胡椒で調えておきます。
火を中火にしてヤリイカを数杯づつフライパンに加えて何回かに分けてソテーし、木べらで上下を返しながら数秒間づつ、色が透明から乳白色に変わるぐらいを目途に取り出します。
ソテーしたヤリイカを皿に盛り、フライパンに残った煮汁を少し煮詰めてソースにします。
短冊に切ったレモンを添えれば出来上がり。
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