2015年11月2日月曜日

Vongole al Vino Bianco 北海道厚岸産 天然北海浅蜊のワイン蒸し

ワインのコルクほどの大きさでハマグリと見間違えてしまうほど大きな北海道厚岸産の天然アサリ、都内でもめったに見かけないこんな特別な食材が入ったらシンプルにワイン蒸しでいただくに限ります。
冷涼な気候のもと歳月をかけてゆっくり育った北海アサリは食べごたえ十分にぷっくりと肉厚で、濃厚な貝の旨みに溢れていました。

本土ではスーパーの店頭に並ぶアサリの産地は愛知産、熊本産、千葉産などが多いですよね。
まぁ、実際には中国や韓国から輸入された稚貝を一定期間生育させれば国産と表記することが認められているため、大半のアサリは外国生まれ日本育ちだったりするんですよねぇ。
どこ産であってもアサリである以上は外見は一様で、横に長い楕円形で白や茶色や青などの不規則な色柄模様があり大きさは3cm前後。
アサリの特徴を説明するとだいたいこんな感じになるかと思います。
しかし、北海道で獲れるアサリは本土のものとはまるで別物。
殻の形こそ確かにアサリなんですが、普通のアサリよりふたまわりほど大きく、殻の色は茶褐色で模様はなく地味な感じ、蝶番から同心円状と放射状にわりとはっきりした溝があって、これがアサリだと言われても俄かには信じがたいほどです。

分類上は同じ種の生物であっても、生息する地域によって気候や天敵の有無、食べている餌などの環境が異なるなどして、独自の進化を遂げるという例は結構あります。
北海道にはキタキツネやエゾフクロウといった地域亜種が多く存在していますので、北海アサリも独自の進化を遂げてきた可能性はあります。
生物学的には、独立の種とは言えないが同種とも言い難い明確な相違点がある場合には亜種として位置付けるのが通例。
でもアサリの場合、本土のものと北海道のものとではこれだけの違いがあるにもかかわらず、現在もなんとなく同種として扱われています。
ただ小売や飲食関係の業界では、エゾアサリや北海アサリなどと呼んで本土のアサリとは区別しています。

本土のアサリは春と秋に二度の産卵期がありますが、水温が低く寒冷な気候で暮らす北海アサリは夏に一度しか産卵せず、極寒の真冬の時期はほとんど成長しません。
このため産卵期にあたる夏は禁漁期間で秋には漁が解禁になりますが、解禁後すぐよりも身が太ってくる晩秋と、冬を越して成長を開始し産卵に向けて身が入ってくる初夏が旬となります。

北海アサリの特徴でもある成長脈=殻に刻まれる同心円状の深い溝は、成長が止まる冬に形成されるもので樹木の年輪にあたります。
もうひとつの特徴である大きさに関しては、北海道だからというわけではなく成長がゆっくりなことに配慮して漁獲対象は5年もの=殻長 4cm以上と決められているからだそうです。
本土のアサリが 2年程度と幼くして出荷されるのに対し、その 2-3倍も年季を重ねた成貝だから、身も肥えて味も濃厚なんですね。

さて、いずれにせよ関東ではなかなかお目にかかれない希少なアサリ、これはもう余計な味付けや凝ったソースなんて不要で、最もシンプルで美味しいワイン蒸しにするのが最良の選択。
貝の味だけでなく塩気も濃いので味付けも必要ないほどです。
皿に残った旨みたっぷりのスープも残らずパンで拭いたいですね。笑


Ingredienti (per 4 persone)

北海アサリ400g
オリーブオイル大さじ3
にんにく1片
レモン1/2個
白ワイン1カップ
胡椒少量
プレッツェーモロ3枝

※分量は一応の目安なので味見しながら作ってください

Preparazione

アサリは砂抜きして、流水で殻をこすり合わせるように洗います。
にんにくとプレッツェーモロ(イタリアンパセリ)は粗みじん切りに、レモンは短冊切りにします。

深鍋にオリーブオイルとにんにくを入れて弱火にかけます。
にんにくの香りが立ってきたらアサリを静かに鍋に置き入れ、ワインとパセリを加えて蓋をして中強火で蒸し焼きにします。
早ければ1分程度で殻が開きますが、身が固く小さくならないよう長くても3分ぐらいで火を止めます。

旨みたっぷりのスープと一緒にアサリを深皿に盛り、胡椒を少量挽いてレモンを搾れば出来上がり。
皿に残ったスープも残らず拭って食べたいので、バゲットを添えるのがお勧めです。

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