2016年8月27日土曜日
Spaghetti alla Crudaiora ミニトマトとバジリコの冷製スパゲッティ
暑さ寒さも彼岸までといいますが、残暑のなかにも微かに秋の気配漂う今の季節にテラスで風に吹かれて食べれば立派に涼を感じる一皿です。
夏にキッチンに立って料理していると、コンロの火で周囲の温度が結構上がって料理しているだけで汗だくになりますよね。
なるべく火を使わないですむ時短系のレシピがいいんだけど、サラダやサンドイッチみたいなものばかりじゃ余計に夏バテしそうで、ちゃんと食事っぽいものが食べたい。
その点、冷製パスタなら火を使うのはパスタを茹でるときだけ、極細のカペッリーニなんて茹で時間も短いし冷水でじゃぶじゃぶ洗ったりしてわりと涼しく料理できますね。
おもてなしの心と繊細な感性で、世界中の食べものを美味しくアレンジしてしまうのが得意な日本人。
イタリア料理では魚介のカルパッチョがその最たる例で、本来は生肉を薄切りにして皿に並べる料理を魚介の刺身でアレンジしたもの。
寿司などの世界的な和食ブームに乗ってイタリア本国にも逆輸入され、今ではすっかり定着しましたよねぇ。
そして夏の定番冷製カペッリーニも細いパスタを素麺や冷し中華などの冷たい麺料理に見立てた和製イタリアン。
日本の夏はじっとり蒸し暑く温かい料理はなかなか喉を通らないので、冷たくしたパスタを涼しげに盛り付けて、目と舌で涼を感じてもらおうというわけです。
でもこちらは、魚のカルパッチョと違ってイタリア本国に逆輸入というところまではいっていません。
日本の冷製パスタがイタリアに受け入れられないのは二つ理由があり、ひとつはイタリアでは冷たい料理を食べるという習慣がそもそもなく、調理したての温かい料理を温かいまま提供するか作り置きした惣菜などを常温で提供するかのどちらかなんです。
イタリア料理では前菜メニューが "Caldo"=温製 と "Freddo"=冷製にわかれて書かれていることがありますが、ここでいう冷製とは文字通り冷たい前菜ということではなく温かくない=常温という意味。
(日本のイタリア料理店だと冷たい前菜が出てくるかもしれません)
もうひとつの理由は茹でたパスタを水にさらすのがイタリア人にとってありえないことだから。
パスタ料理とは、茹で上がったパスタにソースをかけて終わりではなく火を入れながらソースの旨みをパスタに吸わせて、パスタとソースとが渾然一体となった料理のこと。
喫茶店などでよくあるミートソースを上からかけただけのようなものはパスタ料理とは呼べないんですね。
水にさらしてしまうとソースを吸わなくなるだけでなくパスタの表面のざらざらも洗い流してしまってソースがまるで絡まないし、グルテンのとろみや小麦の風味もなくなってしまいます。
このちょっとぬるい冷製パスタは熱々のパスタが自身の余熱でソースを吸った、れっきとしたパスタ料理と呼べる一皿。
冷製カペッリーニのようにきんきんに冷たくはないですが、ベランダやテラスで風に吹かれながら食べれば涼しくいただけますよ。
Ingredienti (per 2 persone)
スパゲッティ | 250g | ||
ミニトマト | 20個 | ||
にんにく | 1/2片 | ||
レモン | 1/2個 | ||
バジリコ | 20枚 | ||
オリーブオイル | 大さじ3 | ||
塩胡椒 | 適量 |
※分量は一応の目安なので味見しながら作ってください
Preparazione
にんにくはスライス、ミニトマトは半分にカットして、断面が上を向くようにボウルに並べ塩をふってしばらく置いておきます。トマトから果汁が出てくるのでフォークの背で軽く潰し、手でちぎったバジリコの葉とオリーブオイル、胡椒少々も加え、フレッシュトマトの酸味が足りないようならレモン汁も加えてよく攪拌し冷蔵庫で冷やしておきます。
ソースがよく冷えたらパスタを茹で始めます。
パスタはカペッリーニのような細いものではなくむしろむっちりとした太めのスパゲッティを使い、表示時間通りに茹でます。
パスタが茹で上がったらザルにとってよく湯を切り、ソースを吸い易くするためパスタの表面が少し乾くぐらいまでひと呼吸おきます。
その間にボウルのソースをもう一度よく攪拌し乳化させます。
熱々のパスタをボウルに移してよくかき混ぜ、余熱でパスタにソースをしっかり吸わせてから皿に盛り、フレッシュなエキストラヴァージンをまわしかけて黒胡椒を軽く挽けば出来上がり。
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