2017年10月1日日曜日
Pasta alla Norma 秋茄子とトマトのスパゲッティ ノルマ風
シチリアの夏を彩る郷土料理として知られていますが、秋茄子が奏でるアンサンブルなら芸術の秋に味わってこその一品です。
秋茄子が美味しい季節ですね。
日本ではほとんどの野菜が季節に関係なく一年中店頭に並びますので、野菜の旬なんて気にしたことがない、なんて方も結構いらっしゃるかもしれません。
もちろんナスは言わずと知れた夏野菜。
本来は夏野菜なのに秋茄子、そういう品種のことを指すとかではなく、普通の茄子を秋にもう一度収穫したものが秋茄子です。
ナスに限らずトマトなど他の野菜もそうですが、夏野菜だからといって暑ければ暑いほどよく育つかといえば、極端な猛暑の下ではどうしても成長が緩やかになったり止まったりしてしまうんですね。
それに、地球温暖化の影響もあり、高温多湿で不快な日本の夏は今では亜熱帯に分類されるほど世界的に見ても相当に過酷な気候。
茄子も猛暑の時期には養分を自身の呼吸のために使って、生きることにいっぱいいっぱいで実の成長に必要な養分をまわせなくなります。
そのまま放っておくと小さな実をたくさんつけたまま株が弱ってしまうため、盛夏の頃に思い切って切り戻しを行い株元の根も切って再び根を伸長させる余地を与えてあげます。
余計な実や枝葉が選定され身軽になったことで、厳しい暑さのもとでも再び成長が始まるというわけです。
そして暑さが落ち着く9月頃には美味しい秋茄子が収穫できます。
みずみずしい夏の茄子に比べて秋茄子は水分が少ないので糖度が高く、皮が薄くて果肉が締まり、夏とはまた違った美味しさが味わえます。
さて、茄子にトマトにバジリコといったシチリアの夏を彩る夏野菜たちの名物パスタ料理といえばこのノルマ風パスタ。
イタリアに星の数ほどあるパスタ料理のなかでも傑作のひとつとされ、ベルカントオペラの名作の名を冠してノルマ風パスタという名をつけてもらったという果報者です。
ノルマとはオペラ作曲家ベッリーニの代表作で、紀元前のイタリア北部ドルイドの森を舞台に祖国を支配下に置く敵国の将とヒロインノルマの禁断の関係を描いた愛と涙と修羅場のお話。
ノルマ役を演じる歌手が歌い上げる清らかな女神=カスタディーヴァがとりわけ有名ですよね。
ベッリーニはイタリア全土でも紙幣の肖像画に描かれるほどの歴史的な著名人ですが、実はシチリアの東部カターニャが出身。
カターニャの人たちにとって彼は地元の誇りで、カターニャの郷土料理だったこの名物パスタにノルマの名をつけたというわけです。
日本と違って基本的にその季節のものだけが市場に並ぶイタリアでは、ノルマ風パスタは夏のものというイメージが強いわけですが、日本の秋茄子を使った秋のノルマ風パスタもなかなか趣があります。
夏には夏の、秋には秋の茄子の味わいの違いを楽しむのはいかにも日本的で繊細な感覚。
それに、オペラを楽しむのに相応しい季節といえばやはり芸術の秋ですもんねぇ。
Ingredienti (per 2 persone)
スパゲッティ | 250g | ||
ナス | 3本 | ||
ホールトマト | 2缶 | ||
にんにく | 2片 | ||
玉ねぎ | 大1/2個 | ||
バジリコ | 20枚 | ||
オリーブオイル | 大さじ4 | ||
ローリエ | 2枚 | ||
リコッタ | 50g | ||
塩 | 適量 | ||
黒胡椒 | 適量 | ||
パスタの茹で汁 | レードル2杯 |
※分量は一応の目安なので味見しながら作ってください
Preparazione
ナスは輪切りにして水にさらしておき、キッチンペーパーで水気を拭き取ってサラダ油などでかりっと素揚げしておきます。ホールトマトはザルで漉して皮や種を取り除きます。
にんにくと玉ねぎは粗みじん切りにしておきます。
リコッタチーズ(手作りしたものでも可)はちょっとしょっぱく感じるぐらいの塩を加えて馴染ませてから冷蔵庫で寝かせておきます。
フライパンにオリーブオイルをしいて弱火にかけ、にんにくと玉ねぎをソフリットします。
ホールトマトとローリエを加えて中火で10分ほど煮込みます。
途中でナスと手でちぎったバジリコを加えます。
隣でパスタも茹で始め、数分が経過したら茹で汁をレードルですくってフライパンに加え、しゃばしゃばの状態にして塩胡椒で味をつけます。
アルデンテより一歩手前まで茹で上がったパスタをフライパンに移し、ソースをパスタに吸わせながらマンテカーレします。
皿に盛って茄子を乗せ、リコッタを散らしてバジリコを飾ります。
黒胡椒を挽いてエキストラヴァージンをまわしかければ出来上がり。
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