2015年8月22日土曜日

Pasta Fredda con Pomodorini e Origano トマトとフレッシュオレガノの冷製パスタ

たっぷりのフルーツトマトをヴィネガーとオイルで冷たくマリネして、漬け汁ごとソースにした夏にぴったりの冷製パスタフレッダ。
茹でたパスタを冷水にさらしたりしない、れっきとした "パスタ料理" と呼べる一品です。

冷製パスタの話になるといつも避けて通れないのが、日本とイタリアの食文化の違いについて。
寒い冬に温かい汁物や鍋料理を食べるのは万国共通なんですが、暑い夏に冷たい麺を食べる習慣は世界的には珍しいんだそうです。
茹でた素麺やうどんや蕎麦を冷水で〆めて、さっぱりした薬味と冷たいつゆを添えるかぶっかけるかすれば、暑さで食欲がなくてもつるつるといけるし、火照った身体もひんやり冷ましてくれます。
和食には皿の上に四季を表現するという考え方がベースにありますが、料理の温度はもちろん、喉ごし、香り、盛り付けなどを工夫することで五感で季節を(夏なら涼を)感じるように考えられた、おもてなしの国ならではの美しい食習慣といえます。

一方で、イタリア人は冷たいジェラートは大好きなくせに冷たい食事は基本的に好まないし、身体によくないと考えているようです。
日本で定番の冷製カペッリーニも極細のパスタを冷たい素麺に見立てた和製イタリアン。
イタリアで冷製パスタといえば普通は茹で上げた熱々のパスタを冷たいソースで和えた生ぬるいものが出てきます。
せっかくソースが冷たいのにそれじゃぬるくなって当然、なんで冷水で〆めてからソースと合わせないのかと日本人なら思ってしまいますが、それはパスタをただの麺類のひとつととらえているから。
パスタ料理として完成されたものを作ろうとするイタリアとは考え方が違います。

例えばちょっと懐かしい日本の洋食スタイルのミートソースは、茹でた麺を皿に盛って上からミートソースをかけるだけですが、イタリアではパスタをこういうふうに提供することは普通はありえません。
なぜならパスタ料理とは、麺をソースと混ぜて味付けするだけではなくパスタとソースが渾然一体となった料理だから。
ちょっとわかりにくいのでもっと具体的にいうと、茹で上げたパスタをソースの入ったフライパンに移して火を入れていくとパスタがソースの旨みを吸い、パスタ(または茹で汁)からはグルテンが溶け出てソースをとろりと乳化させて、僅かですが小麦の香りもソースに移る、これが渾然一体となった状態です。
ソースが冷たくても茹でたての熱々と和えれば余熱でパスタがソースを吸いますが、パスタを冷水にさらしてしまうとソースを吸わなくなり、さらに表面のざらつきもごしごし洗い流してしまうとソースが絡まなくなってしまいます。
つまり日本の冷製カペッリーニは、イタリア的にいえばパスタ料理とは呼び難いものというわけです。

さて、出来たての生ぬるい半冷製パスタはクルダイオーラとも呼ばれ、木陰のテラスで風に吹かれながら食べれば立派に涼を感じる夏の一皿。
でもやっぱり冷たくして食べたいという場合は、粗熱をとってボウルに移して冷蔵庫で冷やせばいいのですが、これが冷たいパスタという意味のパスタフレッダ。
カペッリーニなどロングパスタはのびて味が落ちてしまうので、パスタフレッダにするならショートパスタを使うのがお約束です。

ドライで使うのが一般的なオレガノですがあえてフレッシュを使って、ヴィネガーの酸味も利かせた夏らしい爽やかな味に仕上げています。

Ingredienti (per 4 persone)

リガトーニ500g
フルーツミニトマト4パック
にんにく2片
フレッシュオレガノ20枝
白ワインヴィネガー50ml
オリーブオイル50ml
塩胡椒適量

※分量は一応の目安なので味見しながら作ってください

Preparazione

ボウルにワインヴィネガーを注いで塩胡椒を馴染ませてから、スライスしたにんにくとオリーブオイルを加えてよくかき混ぜ乳化させます。
フレッシュオレガノは葉をちぎって、指の腹で揉んで香りを出してからボウルに加えます。
1/2 か 1/4にカットしたフルーツトマトをボウルに加えて混ぜ合わせ、前日から冷蔵庫で冷やして馴染ませておきます。

リガトーニなどのショートパスタをアルデンテに茹で上げ、きんきんに冷えたソースと合わせてよくマンテカーレします。
このままクルダイオーラとして食べてもいいですが、もう一度冷蔵庫でしばらく冷やしてパスタフレッダにします。

皿に盛ってオレガノの枝を飾り、黒胡椒を挽きかけ、オリーブオイルをひとまわしすれば出来上がり。

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