2015年8月29日土曜日

Moscardini Grigliati al Salmoriglio イイダコのグリル サルモリッリオ添え

手のひらサイズの可愛らしいイイダコを香ばしく網焼きにして、レモンベースのサルモリッリオをまわしかけたイイダコのグリル。
冬から春が旬と言われるイイダコですが、タコはやはり身に味が乗る夏の方が美味、さっと炙ってさっぱりした酸味のサルサを添えた夏っぽい一皿に仕立てました。

小さくて愛くるしい姿のイイダコですが、タコの赤ちゃんなどではなく成長してもこれぐらいの大きさにしかならない小型のタコ。
漢字では飯蛸、冬から春先にかけて頭(頭に見えるのは実際は胴体)の中にぎっしりと米粒ほどの大きさの卵を抱くためそう呼ばれます。
この飯が詰まった雌のイイダコは煮付けなどで絶品で、漁期も抱卵時期にあわせて冬から春が中心となります。
そのため夏場に流通しているのは主にタイなどからの輸入品が中心。
でも沿岸部の浅い砂地なら日本中どこにでもいるので、釣りをされる方なら通年自己調達できますね。

さて、イイダコは東アジア近海の固有種なのでイタリアにはいません。
そのためイイダコにあたるイタリア語の単語はないのですが、代わりにこれとよく似た小型の "Moscardini" = モスカルディーニというタコが地中海やアドリア海に生息していて食材としてもわりと一般的なので、イイダコの料理をイタリア語で書くなら "Moscardini" を使います。
もちろん本来は別種ですが、その方が通じやすくてしっくりきます。

今日はそのモスカルディーニに似たイイダコのシチリア風グリル。
どのへんがシチリア風なのかというと、サルモリッリオというシチリアの伝統的なソースを添えているから。
伝統といっても別に大袈裟なものではなく作り方はいたってシンプル。
オリーブオイルにレモン汁、にんにく、塩、プレッツェーモロ(イタリアンパセリ)、オレガノをよく混ぜて乳化させるだけです。
ここにオレンジなど他の柑橘類やケイパーなどが入る場合もあります。
普段よくマリネやカルパッチョに使うドレッシングと似たようなレシピですが、レモンの一大産地シチリアらしく、酸味の尖ったヴィネガーの代わりにフルーティなレモンを使うのと、同じシチリア特産のオレガノが入るのが特徴といえば特徴です。

イイダコはトマト煮込みなどにしても美味しいですが、煮込み過ぎるとウィンナーのタコみたいに小さくなり身も硬くなってしまいますので、あまり煮込み過ぎないようにします。
グリルの場合もあまりしっかり火を通そうとせず、軽く焦げ目がついてこりこりした食感があるぐらいの方が美味しく仕上がります。

イイダコは店頭で普段よく目にする食材ではないので、なければ右の写真のように普通のマダコで作ってもいいですよ。
マダコは火が通った状態で売っているので、足をぶつ切りにして七輪などの上でころころ転がしながら、香ばしい焦げ目だけつければ十分です。


Ingredienti (per 4 persone)

イイダコ500g
オリーブオイル大さじ3
レモン1個
にんにく1/4片
適量
乾燥オレガノ少々
プレッツェーモロ5枝

※分量は一応の目安なので味見しながら作ってください

Preparazione

まずはイイダコの下処理をします。
後頭部(目がついてない方)に下から指を入れて、薄い膜を指で破って中の墨袋を破れないように優しく取り出します。
クチバシが足の付け根にあるので、胴体を指で強く握って押し出すようにして、取り除きます。
全体を塩揉みしてぬめりを取り、流水でよく洗います。

次にサルモリッリオを作ります。
レモンを搾ってレモン汁にしたら塩を加えてよく馴染ませます。
(塩はオイルには溶けないため)
にんにくとプレッツェーモロのみじん切り、オレガノ、オリーブオイルを加えてよく混ぜ合わせ、とろりと乳化させてソースにします。

イイダコを焦げ目がつくようグリルします。
庭やベランダがあれば、バーベキューコンロや七輪などを使って炭火で炙りたいですが、難しい場合は魚焼きグリルを使うか、鉄のフライパンをかんかんに熱してしりしり焼いてもそこそこいい感じにできます。

タコは足側から加熱すると足が形よくくるんとなります。
焼けたタコを皿に盛ってサルモリッリオをまわしかければ出来上がり。

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