2015年10月10日土曜日
Sarde Marinate 2015 秋の大羽鰯のマリネ
肉厚でとろけるほどに脂が乗った秋のイワシは軽くヴィネガーで締めたマリネが絶品、冷えた白ワインとの相性も抜群です。
秋刀魚や鰹と違ってスーパーの店頭でも一年中目にするイワシですが、夏場にたっぷりと餌を食べてまるまると太り、冬から春先にかけて産卵シーズンを控えた秋が最も美味しい旬の時期。
冬に備えて皮下脂肪をつけるので脂の乗りも申し分ないです。
イワシの寿命は5-6年とわりと長く、3年ほどかけて20cm超のいわゆる大羽イワシと呼ばれる立派なサイズに成長します。
とはいえ他の大型魚に捕食されるベイトフィッシュという側面もあり、そこまで大きく成長したものはわりと希少なんですねぇ。
そんな旬の秋の大羽イワシが手に入ったら、手開きなどという雑な扱いではなく是非とも包丁を使って丁寧に捌いてあげたいものです。
身に包丁を入れていくと刃が脂で白くなってきますが、とろけるほどに脂がのっているというのはまさにこういう状態のこと。
お値段は庶民的なのに高級魚にも引けをとらないほどです。
はちきれんばかりにぱんぱんに太った身は開いた片身だけ見ても相当に肉厚で、背骨に沿ったセンターラインが隆起して見事な筋肉美。
これはもう完全に女子がきゃぁきゃぁ言うレベルですよぉ。笑
さて、江戸前寿司では青魚=光ものは大概酢締めにしますよね。
冷蔵庫もなく流通も発達していなかった時代に屋台から発祥した江戸前寿司では、当然ながら生ものは扱えないので、目の前の東京湾で揚がる穴子や海老や貝類などを煮たり蒸したりそれぞれのネタに合った方法であらかじめ加熱調理して提供していたそうです。
そしてアジやコハダやイワシなどは酢で〆めるのが定番でした。
〆めるとは身に含まれる水分を抜いて腐敗の進行を遅らせること、干物や乾物にすると日保ちするのと理屈は同じです。
酢で〆めるとよく言いますが、脱水工程は塩が担っているので実際には〆めているのは塩で、水分と一緒に生臭さも抜いてしまいます。
これをさっと洗って生姜の入った酢に漬ければ光ものの出来上がり。
塩も酢も生姜も強力な殺菌作用があり、当時の寿司ネタとしてはとても理にかなった調理法だったわけですね。
イタリア料理のマリネも考え方は同じで、"Sotto Sale" ソット サーレ=まずは塩漬けにして次に "Sott'Aceto" ソット アチェート=酢漬け、そして "Sott'Olio" ソット オーリオ=オイル漬けにします。
オイルは食材を空気に触れさせないことで保存性を高めてくれるので、日本の酢締めよりもさらに理にかなっているかも。
魚を生で食べる習慣がなかったイタリアでは、身の中まで酸で真っ白になるほど漬け込むのが一般的でしたが、現在はさっとマリネするだけで刺身に近い半生(ほぼ生)仕上げの方が好まれます。
マリネは素材の味が活きるシンプルな味付けが基本でアレンジもいろいろです、オレガノとケイパーが入るとちょっとシチリアっぽい感じに仕上がります。(写真右)
今日のマリネと比べてみると、使っている皿と魚の盛り方は同じなのにイワシの大きさも厚みも全然違うのがよくわかりますねぇ。
Ingredienti (per 4 persone)
マイワシ(大) | 4尾 | ||
白ワインヴィネガー | 大さじ3 | ||
オリーブオイル | 大さじ3 | ||
ローリエ | 1枚 | ||
レモン | 1/4個 | ||
にんにく | 1/2片 | ||
塩胡椒 | 適量 | ||
タイム | 3枝 |
※分量は一応の目安なので味見しながら作ってください
Preparazione
イワシは頭を落として腹を開きワタを取り除いて流水で洗います。小ぶりのものは手開きでもいいですが、大羽鰯のように大きいサイズのものは包丁を使ってていねいに開きます。
薄皮を剥いて両面にたっぷりの塩をふり30分ほど冷蔵庫で〆めます。
イワシから水分が出てきますが、そのとき魚臭さも一緒に抜けるので、水でよく洗い流してから水気をふきとります。
スライスしたにんにくとワインヴィネガー、オリーブオイルをボウルに入れて混ぜ合わせ、マリネ用のドレッシングを作ります。
水と油がよく混ざるようにスプーンなどで撹拌し乳化させてください。
ジップロックなどにボウルのドレッシングとイワシ、タイム、ローリエを入れて、軽く揉んでドレッシングを馴染ませてから中の空気を抜いてチャックを締め、冷蔵庫で1時間ほど寝かせます。
塩で締めたイワシから塩分が出るため塩を加えていないので、マリネの漬け汁を味見して足りないようなら塩を加えます。
漬け汁は捨ててイワシだけを皿に盛り、オリーブオイルをまわしかけて黒胡椒を挽き、櫛形に切ったレモンを添えれば出来上がり。
かなり脂がのっているので、胡椒をしっかり挽いた方が美味しいです。
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