2016年8月7日日曜日

Tagliata all'Aceto Balsamico 牛もも肉のタリアータ バルサミコソース

雑味がなく肉本来の風味が薫るアンガス種の赤身肉をレアに焼き上げ、ルコラの上にどさっと盛って煮詰めたバルサミコソースをまわしかけたオーソドックスなタリアータ。
下味をつけずにふっくらと焼いて後塩で味を決め、たっぷりのオリーブオイルでジューシーに仕上げるのがフィレンツェ風です。

タリアータといえば、フィオレンティーナなどと並んでトスカーナ州を代表する華やかでシンプルな肉料理のひとつ。
あちらでは全身真っ白で大柄なキアニーナ種という赤身で噛みごたえのある牛の肉が最高とされているため、日本が世界に誇る霜降り和牛より風味豊かな赤身が美味しいとされるアンガス種などの輸入牛肉を豪快に焼いてわしわし食べるのが美味しい食べ方。
"Tagliata" は切ったという意味なので英語圏ではレアステーキの薄切りと訳されますが、日本語ならステーキとかよりイタリア版牛のたたきと表現した方がしっくりきます。
さっぱりとした酸味のあるバルサミコで風味づけするあたりの感性も、どことなく和食と相通じるものがありますよね。

このバルサミコやルッコラを多用するのは実はわりと近年になってからイタリア料理界で流行した近代イタリアンスタイル。
日本がちょうどバブル景気に沸き、巷にイタリアンレストランが次々とオープンしてイタ飯ブームが世を席巻した頃と重なります。
戦後アメリカ経由で日本に入ってきたイタリア料理のイメージはサラミやコーンのピザにケチャップのスパゲッティ、タバスコもかけちゃうぞみたいな歪んだ感じだったので、この時代にイタリア料理というものが正しく伝わったという点ではよかったと思います。
でも、お洒落でお高い雰囲気ならなんでもよかったのか、イタリアンとフレンチが融合したようなどっちなのかよくわからない料理スタイルでそこそこいい値段をとっていた店も多かったと思います。
ごく普通の、イタリアの家庭料理や定食屋(トラットリア)で出てくるオーソドックスな料理を食べたいのに、シェフの創作料理みたいなものを高い値段で食べさせられたりして残念な気持ちになったもんです。
それならもう自分で作るしかないかってなりますもんね。笑

さて、かたまり肉を焼くのって結構ハードルが高そうなんですが、何がいちばん難しいかって肉の中心部が見えないのにレア=生ではなく火が通った状態だけどロゼ色に焼き上げること。
まず肉のまわりを焼き固めたらゆっくり休ませて、途中指で肉を触って焼け具合を確認しながらオーブンで短時間だけ火入れしてまた休ませるということを繰り返し、肉と対話しながらじっくり焼き上げました。

Ingredienti (per 4 persone)

赤身の牛もも肉800g
にんにく1片
オリーブオイル適量
ルッコラ1束
レモン1/2個
バルサミコ酢1/2カップ
砂糖ひとつまみ
塩胡椒適量
パルミジャーノ(お好みで)適量

※分量は一応の目安なので味見しながら作ってください

Preparazione

肉は焼く1時間ぐらい前に冷蔵庫から出しておきます。
オーブンを180℃に余熱しておきます。

鉄製のフライパンにオリーブオイルをたっぷり注いでごく弱火にかけ、包丁の腹で潰したにんにくを加えてじっくり香りを出します。
にんにくを取り出し、強火にして肉を下味をつけずに置き入れ、トングで転がしたり立てたりしながら全面に焼き目をつけていきます。
この工程では肉のまわりを焼き固めて旨みを閉じ込め、香ばしい焼き目をつけることが目的なので、肉の中心はまだ生の状態です。

肉をしばらく休ませてからオーブンに入れて2分ほど加熱します。
オーブンから出して肉を指で押してみて、水っぽさがなく適度な弾力が感じられたら中まで火が通っていますので、そうなるまで肉を休ませてまたオーブンに入れるということを繰り返します。
レアといっても生ではなく火の通ったピンク色に焼き上げるのが理想。
こうして休ませたりじっくり火を入れることでしっとりとジューシーに焼き上げます。

焼き上がったらすぐに塩胡椒をします。
焼けてすぐは肉の中で肉汁が暴れている状態なので、少し休ませてから5mmほどの厚さにスライスしていきます。

ソースパンにバルサミコ酢と砂糖を入れて半量になるまで煮詰めます。
平皿にルッコラを敷いて軽く塩胡椒とオリーブオイルをふります。
肉をどさっと乗せてオリーブオイルをまわしかけ黒胡椒を挽きます。
お好みで削ったパルミジャーノを散らして煮詰めたバルサミコソースをスプーンでまわしかけ、レモンを搾りかければ出来上がり。

関連記事 - イタリアの肉料理

Coratella in Umido
ローマ風 豚のもつ煮込みコラテッラ
Arrosto di Maiale al Latte
豚肉のロースト ロマーニャ風
Carpaccio di Cavallo
プーリア風 馬肉のカルパッチョ
Arrosticini Abruzzesi
羊肉の串焼き アッロスティチーニ


0 件のコメント:

コメントを投稿