2016年7月30日土曜日

Pasta al Ragu di Spigola e Zuccine 夏スズキとズッキーニのラグーのパスタ

スズキを捌いて柵取りしたあとの骨や皮目についている身をスプーンで削ぎ取り、丼一杯ほどとれたすき身を白ワインと骨でとったブロードで煮込んだスズキとズッキーニのラグーのパスタ。
アドリア海あたりの魚介スープを思わせる旨みの強いソースは日本人も大好きな味、これをしっとりとパスタに吸わせた結構贅沢な一皿です。

オレンジソースのカルパッチョからのスズキ料理の記事が続きます。
知人が浜名湖で釣った立派なシーバスを二尾も送ってくれたためです。
三連休の土曜の夜に釣って血抜き処理し、大きな発泡スチロールの箱に大量の氷を詰めた状態で発送してくれたものが月曜日(海の日)の朝に東京に届きました。
驚いたことにクール便じゃなくて普通の宅配便でですよ。
猛暑のなか、一日半もトラックの荷室に積まれていたにもかかわらず、開梱してみるとまだ氷は溶けきっておらず、魚はきんきんに冷たい氷水に浸かっていて非常に良い状態で着荷しました。
発泡スチロールの保冷効果ってすごいんですねぇ。
魚体はいわゆる死後硬直に入っていますが、このあとの解体作業に少々時間がかかるので、適度に熟成が進んで旨みが乗ってくるはずです。

えっ、魚って釣りたて獲れたての新鮮なものほど美味しいんじゃないの、と思われる方もいるかと思いますが、実はそれだと全然味がしないため美味しくないんです。
魚は時間の経過とともに体内の酵素によってタンパク質が分解され、それがイノシン酸やグルタミン酸といった旨み成分へと変化してようやく美味しい食べ頃を迎えます。
熟成に要する時間は魚種によってまちまちでマグロなんかだと一ヶ月近くも熟成させる場合があるほどです。

さて、夏スズキは高級魚なみに価格が高騰するうえ、割烹や料亭からの需要が高く一般消費者の手元になかなかまわってこない希少品。
それなら頭から尾っぽまで無駄にすることなく味わいたいところです。
まずは鱗を剥いで内臓を取り除いてから三枚におろします。
一尾は背節と腹節に柵取りしてから皮を引いて、刺身やカルパッチョ、昆布締めに、もう一尾は皮付きのまま切身にしてバターでムニエルに、カマとガンバラは塩焼きに、頭や骨などはアラ汁にします。
出汁は主に骨から出るのでアラに身をたくさんつけておく必要はなく、骨や皮目についた身をスプーンで削ぎ取っていくと丼一杯ほどの量にもなったので、解体作業のあとのランチはスズキのラグーのパスタ。
おあつらえ向きにアラ汁用のブロードまであるので、魚介の旨みの強い極上のパスタに仕上がりました。

Ingredienti (per 2 persone)

スパゲッティ250g
スズキのすき身1 1/2カップ
にんにく2片
ズッキーニ1/2本
ミニトマト1カップ
白ワイン1/2カップ
スズキのブロードレードル2杯
タイム2枝
ローリエ1枚
オリーブオイル大さじ4
レモン1/2個
塩胡椒適量

※分量は一応の目安なので味見しながら作ってください

Preparazione

スズキを捌いたときのアラに粗塩をふって冷蔵庫にしばらく置き、水分が出てくるときに魚臭さも一緒に抜けるので水を捨てて流水で洗って、骨やガンバラ、皮目についている身をスプーンで削ぎ取ります。
身をすいたアラは一度熱湯をまわしかけて湯引きしてから鍋に入れて、水から煮て出汁(ブロード)をとります。
にんにくは包丁の腹で潰して、ズッキーニは小角切りにし、ミニトマトは横半分にカット、レモンは櫛形にカットしておきます。

ちなみに使う魚はスズキでなくても他の白身魚でも同様にできますし、すき身でなく普通の切り身を使ってももちろん構いません。
魚のブロードが準備できない場合は魚の身の量を多めにして、パスタの茹で汁を使っても美味しくできます。

フライパンにオリーブオイルとにんにくを入れ弱火にかけます。
オイルに香りが移ったらスズキの身を加えて木べらで炒め、白ワインを注ぎ入れて強火でアルコールを飛ばします。
ズッキーニも加えてさっと炒め合わせ、ブロード、タイム、ローリエ、ミニトマトを加えて中火で10分ほど煮込みます。
結構しゃばしゃばしていても大丈夫、塩胡椒で味を調整します。

パスタを茹で始め、アルデンテよりも硬めで上げてフライパンに移し、ソースをパスタに吸わせながら煮含めていきます。
皿に盛ってエキストラヴァージンをまわしかけ、黒胡椒を挽いてレモンを搾りかければ出来上がり。

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