2017年8月12日土曜日
Insalata di Polpo e Sedano 夏蛸とセロリの冷製
残暑で火照った体にしみる冷菜にはきりっと冷えた白でもいいですが、夏にタコといえばのロゼもなかなか粋で気のきいた選択です。
一年を通してあまり明確な旬がないと言われるタコ。
寒い時期におでんのタネにしたり正月に酢ダコを食べたりもしますが、明石の蛸が有名な関西では半夏生の頃(梅雨の中旬頃)に食べる風習がありますし、土用のタコは親にも食わすなという諺があったり、麦わらダコの呼び名が示すように一般的には夏が美味しいとされています。
おまけに夏ばてを予防し疲労回復に効果のある成分(タウリンなど)が豊富に含まれているそうなので、栄養学的にも夏場にタコを食べるのは理にかなっています。
タコはイタリアやスペイン、ギリシャなど地中海諸国でも定番の食材。
ただ、世界的に見るとタコを食べる地域はそれほど多くありません。
北欧ではまず食べないですし、よく目にする輸入タコの産地モロッコやモーリタリアなど西アフリカ諸国でも獲ったら輸出するだけで自国では戒律上の理由もあり食べたりすることはないようです。
タコの漁獲量世界一の中国ですら四千年の食の歴史の中でタコはさほど食べなかったようで、タコの中華料理というのもあまり聞きません。
つまり日本はタコを食べる数少ない地域(民族)のひとつということになりますが、国別のタコの消費量を調べてみると驚いたことに全世界のタコの7割近くを日本が消費しているそうですよ。
確かにおでんや酢ダコのほか、刺身にタコしゃぶ、たこ飯、明石焼きにタコ焼きと、正餐から家庭料理、お酒のつまみ、ストリートフードまであらゆるシーンでタコを食べてますもんね。
統計上はとくに大阪や香川など関西圏で多く消費されているようです。
もちろん有名な産地のお膝元ということもありますが、やはり粉もんが大好きでタコ焼きの味にもうるさいという土地柄ゆえでしょうか。
そんな無類のタコ好きの日本では長年タコの需要が供給を上回っている状態だそうで、明石や志津川といった名だたる産地の近海ものは非常に高価で一般消費者のもとにはなかなかまわってきません。
近海ものに代わり近年主流になっているのが西アフリカ産の輸入もののタコですが、モロッコやモーリタニアといった産地は実は日本の商社が日本に輸入するために開拓した新興産地なんですね。
豊富に獲れるので安価だし味もなかなかいいということで、今や流通の中心を担っているほどですが、これらの地域でも資源の減少が危惧され輸入もののタコの値段も高騰してきています。
寿司ネタでも特上とか上ではなく並のイメージしかない庶民的な印象のタコですが、気づけば高級魚介の仲間入りというわけです。
さて、日本ではさっと火を通して硬めのしこしこした歯ごたえを楽しむタコですが、イタリアでは軟らかく煮るのが良しとされています。
ワインのコルクと一緒に茹でると軟らかくなるとも言われ、眉唾なので試してみるかどうかは各自の判断にお任せしますが笑、一般的には棒で叩いたり床や壁に叩きつけるなどして筋肉組織を断裂させてから茹でると軟らかくなるようです。
ただし私たちが普通に買えるのはほとんどが蒸してあるタコ。
これを今さら叩いても、筋肉組織が断裂するわけでもなくとくに意味がないので、蒸しタコとか茹でダコを軟らかくするには弱火でじっくりと煮てあげるしかありません。
今日はそのタコを下茹でしたときの煮汁で、タコと相性のいいセロリをくったりと煮含めてからタコと一緒にマリネした冷たい前菜料理。
生のセロリがちょっと苦手な方もこれなら大丈夫、タコの旨みもしみてセロリだけでもいいつまみになります。
Ingredienti (per 4 persone)
マダコ | 300g | ||
粗塩 | 適量 | ||
にんにく | 1/2片 | ||
セロリ | 1/2本 | ||
オリーブオイル | 大さじ2 | ||
ローリエ | 1枚 | ||
レモン | 1個 | ||
プレッツェーモロ | 5枝 | ||
黒胡椒 | 適量 |
※分量は一応の目安なので味見しながら作ってください
Preparazione
生タコが手に入れば塩揉みしてぬめりをとり、麺棒などで何度も叩いて筋肉組織を断裂させて軟らかくしてから作業します。なければスーパーなどで売っている蒸しタコを使います。
深い鍋にたっぷりの水、塩、タコ、皮ごとのレモン 1/2個、ローリエ、 プレッツェーモロ(イタリアンパセリ)の茎を入れて、蓋をして弱火で 1時間ほど茹でます。
茹で上がってもすぐに引き上げずに(皮がめくれてしまうので)鍋ごと冷まして粗熱をとります。
セロリは皮を剥き短冊状にスライスします。
フライパンにタコの煮汁をレードルで数杯加えてセロリを煮含めます。
少しくたっとしたら火を止めてそのまま粗熱をとります。
レモン 1/2個を搾ってボウルに入れます。
みじん切りのにんにく、オリーブオイル、塩胡椒を加えて攪拌します。
軟らかく茹であげたタコをひと口サイズにスライスし、セロリとともに温かいうちにボウルのドレッシングと合わせます。
タコが徐々に冷めていくときに味が染み込んでいきます。
冷蔵庫で冷やし、皿に盛ってプレッツェーモロ(イタリアンパセリ)の粗みじん切りを散らせば出来上がり。
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