2018年5月27日日曜日
Pasta con Ricotta e Zucchine ズッキーニとリコッタのパスタ
これだけでも十分美味しいんですが火を止めてリコッタチーズを手早く絡めれば趣きが一変、初夏らしいさっぱりした仕上がりになります。
食に関しては肉や乳製品が中心の北イタリアに対して、南イタリアでは肉はもちろんのこと野菜もよく食べます。
日本では、葉もの野菜などは火を通しすぎるとしゃきしゃきした食感も栄養価もなくなるし色も悪くなるので適度に火を通すのが常識ですが、イタリアではくたくたになるまで火を通すのが一般的。
例えるなら、冬に鍋料理をひととおり食べた後に煮崩れて鍋底に残った白菜やネギがとろとろに軟らかくなってたりしますよね。
まさにあんな感じで、ほうれん草のような青もののソテーなんかでも、オイルでしゃきっと炒めて終わりではなく、蓋をして蒸し焼きのようにしたりしてくたっと軟らかくしてしまいます。
パスタに使う場合でも、ブロッコリーのプリエージとか先日の新じゃがのパスタエパターテや空豆と海老のパスタもそうですが、野菜が原型をとどめないぐらいくたくたに煮崩してしまい、具というよりもソースにしてしまうのが南イタリア風。
このブログでもそういうのはもうすっかりおなじみですよね。
オリーブオイルはたっぷりと使い、にんにくの香りを出してから野菜をソテーして、パスタの茹で汁などを足して煮含め、茹でたパスタを投入する前にフライパンを揺すってソースをとろりと乳化させるんでした。
パスタはやや硬めに茹で上げてソースを吸わせながらマンテカーレし、また、パスタは皿に盛った後も食べてる間もどんどん水分を吸うので、ソースの水分は多めでしっとり感を保つのがコツでしたよね。
今日のズッキーニのパスタも途中まではまさにそんな感じ。
いい感じに煮崩れた野菜の旨みがソースに溶け出て、それをパスタにもしっかり吸わせて渾然一体となるように作るのがポイント。
これだけでも十分美味しいパスタになってるわけですが、今日はここにもうひと手間かけて、リコッタチーズを絡めます。
リコッタチーズはモッツァレッラなどと同じフレッシュチーズの一種。
チーズの製造では、水牛や牛などの乳にレンネットと呼ばれる凝固剤を加えて沸かしていくとカードと呼ばれる固形物がもろもろと浮いてきて分離しますが、普通はこのカードがチーズの原料となります。
カードを湯の中で練り上げたり引っ張って伸ばしたりして作られるのがモッツァレッラチーズで、牛乳ではなく生クリームを同様に分離させて作られるのがマスカルポーネ、逆にその生クリームを遠心分離し残った脱脂乳から作られるのがカッテージチーズです。
どれも加熱して浮いてきた固形物=カードを原料としていますよね。
一方、カードを取り出したあとの半透明な水分がホエー(乳清)。
ホエーをもう一度(リ)煮詰めて(コッタ)作るのがリコッタです。
出涸らしの産業廃棄物のようなホエーを煮詰めて作られるリコッタは、脂肪分は少なくてほんのり甘みがあってさっぱりした味わい。
イタリアではとても安価なので手軽に料理やデザートに使われますが、日本ではまださほど一般的ではなくその辺のスーパーで見かけることはまずないですし、輸入品を中心に扱う高級スーパーでも目を疑うような価格で売られています。
ただ、輸入されているリコッタの大半は生クリームが添加されていて、脂肪分のコクとかクリーミーさを補い嗜好性を高めた製品が多いので、それならばレンネットの代わりにレモンなどの酸を使い牛乳を沸かして作る自家製なんちゃてリコッタを手作りするのもお勧め。
ちょっとググるとレシピはいくらでも落ちていますし、このブログでも以前に紹介したことがあります。
原料も製法も違うけど食味はよく似ているので代用できます。
さて、リコッタチーズはそもそも南イタリアのチーズということもあり南イタリア風の野菜のパスタと相性が良く、ズッキーニをはじめ空豆やアーティチョーク、ブロッコリー、茄子といった季節の野菜のパスタの仕上げに絡めたものはイタリアでもわりと定番なんですね。
それに旬などないかのようなフレッシュチーズも実はちょうど今が旬。
仕上げにリコッタチーズを絡めた夏野菜のパスタは見た目も涼しげだし味わいもさっぱり。
蒸し暑くなるこれからの季節にぴったりですね。
Ingredienti (per 2 persone)
ショートパスタ | 250g | ||
ズッキーニ | 1本 | ||
にんにく | 1/2片 | ||
玉ねぎ | 1/2個 | ||
オリーブオイル | 大さじ4 | ||
リコッタチーズ | 150g | ||
塩 | 適量 | ||
黒胡椒 | 適量 | ||
パスタの茹で汁 | レードル2杯 |
※分量は一応の目安なので味見しながら作ってください
Preparazione
にんにく、玉ねぎはみじん切りにします。ズッキーニはヘタを落とし幅7mmほどの輪切りにします。
フライパンを中火にかけてオリーブオイルをたっぷりしき、香味野菜のみじん切りをソフリットします。
にんにくの香りが立ち玉ねぎがしんなりしたらズッキーニも加えます。
フライパンの隣で湯を沸かしてパスタを茹で始め、グルテンが溶け出て半透明になってきた頃合いの茹で汁をレードルですくってフライパンに加えて野菜を煮含めていきます。
野菜がいい感じに煮崩れてきたら塩胡椒で一旦味を調えます。
パスタの茹で時間は表示より短め、茹で上がったらフライパンに移してソースをパスタに吸わせながらマンテカーレし、もう一度味を見て塩で味を調整したら火を止めます。
ソースの水分がまだ残っている状態で、リコッタチーズを加えて手早く絡めて全体にいきわたらせます。
パスタを皿に盛って黒胡椒を挽きかければ出来上がり。
関連記事 - 煮崩れた野菜のソースが美味しいパスタ料理
Pasta e Patate alla Napoletana ナポリ風 新じゃがいものパスタエパターテ |
Pasta alla Mimosa 菜の花と釜揚げしらすのリングイーネ ミモザ風 |
Pasta con Polpo e Fave 真蛸とそら豆のパスタ |
Casarecce con Gamberi e Zucchine 海老とズッキーニのカサレッチェ |
0 件のコメント:
コメントを投稿