2014年12月27日土曜日

La Carbonara ローマの下町風 カルボナーラ

じっくりとソフリットした生ベーコンの旨みをパスタに吸わせてから、卵とチーズを絡めて黒胡椒をたっぷり挽いたカルボナーラ。
仕上がりは上品でクリーミー、ではなくむしろオイルたっぷり、日本のものとはだいぶ印象が違う"こてこて"のローマの下町の味です。

イタリアではそもそも卵を生で食べる習慣はなく、生卵を使った伝統的な料理というのはたぶんありません。
ローマのパスタ料理として知られるカルボナーラですが、そういう意味ではイタリア料理のなかでもわりと新顔でかつ異質な存在。
少なくとも古典的な料理ではなく、比較的歴史が浅いと言われていて、ルーツについても諸説あるものの真相はよくわかっていないようです。

私たちがよく知っているカルボナーラとは生クリームや牛乳でアレンジされたもの、料理としての完成度も高いですし、洗練されていてとても美味しいのですが、あまりイタリアンぽくないですよねぇ。
ましてやローマのパスタという感じが全然しません。
でも実際は豚の生ベーコンをかりかり寸前になるまで炒って、滲み出た豚の脂の旨みをソースにするという結構"こてこて"したパスタ。
その点でアマトリチャーナやグリーチャによく似ていますし、チーズを絡めて黒胡椒をたっぷり挽くところはカチョエペペそっくりで、本場のものは紛れもなくローマの香りがします。

いつも書いてますが、パスタ料理とはパスタにソースをかけるだけとか絡めて終わりではありません。
フライパンで火を入れながらソースの旨みをパスタに吸わせることで、パスタとソースが渾然一体となった料理。
カルボナーラの場合、ここでいうソースにあたるのは卵ではなく豚の脂の旨みなので、ベーコンは具材として入れるというより、むしろ旨みを抽出するための出汁の素として使われています。
ソースが脂っこいから仕上げに黒胡椒をたっぷり挽くんですねぇ。
脂の乗ったトロほどわさびが利かないからたくさんつけるのと同じで、たっぷりの黒胡椒を挽くことでようやく脂っこさとのバランスがとれて美味しいパスタになるというわけです。

ところで卵やチーズは、固まらないよう火を止めてから手早く絡めて、とろりと仕上げるのが腕の見せどころですよね。
でもあちらは基本的に生卵を食べない国なので、家庭でこれを作るときはしっかり火を入れて炒り卵のパスタのようにしてしまいます。
本場ローマでもそういうカルボナーラを出す店が結構あります。
それはそれで美味しいので日本でもそのうちウェルダンのカルボナーラが流行るかもしれないですね。


Ingredienti (per 4 persone)

タリアテッレ(生麺)700g
生ベーコン200g
4個
にんにく2片
ペコリーノチーズ1カップ
オリーブオイル適量
適量
黒胡椒大さじ3

※分量は一応の目安なので味見しながら作ってください

Preparazione

にんにくは包丁の腹で潰して、生ベーコンは1cm角の拍子木切り、卵はボウルに割り入れてカラザを除いてよくかき混ぜておきます。
ペコリーノはすりおろして、黒胡椒は粒のままラップに包むなどして、肉叩きで叩いて砕いておきます。

フライパンにオリーブオイルをしき弱火でにんにくの香りを出します。
にんにくを取り出したら生ベーコンを加え、木べらでころころと向きを変えながら、かりかりになる寸前まで時間をかけてじっくりと炒って、豚の脂の旨みを抽出します。

生ベーコンがいい感じにかりっとしてきたらパスタを茹で始めます。
パスタはショートパスタのリガトーニが定番、ロングパスタなら太めのスパゲットーニやブカティーニあたりを使うのがローマ風ですが、今日はもっちり生麺のタリアテッレ。
パスタの茹で汁をレードルで3杯フライパンに加え、焦げ付いたところ=旨みを木べらでこそげとりながら、小刻みに揺すってソースを乳化させます。

パスタは少し硬めに茹で上げ、フライパンに移して生ベーコンのソースの旨みをパスタに吸わせるようにマンテカーレしながら、ちょうどよい歯ごたえになるまで煮含めます。
火を止めて濡れ布巾の上にフライパンを置いて粗熱をとり、そこへ卵を一気に投入して手早く混ぜ合わせます。
さらにすりおろしておいたチーズと胡椒も加えて、フライパンをあおりながら全体に絡めていきます。
味を見てベーコンとチーズの塩気だけで足りない場合は塩を加えます。

皿に盛ってチーズを削りかけ、砕いた黒胡椒を散らせば出来上がり。
パセリはお好みでどちらでも。

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