2016年1月16日土曜日
Arrosto di Maiale al Latte 豚肉のロースト ロマーニャ風
鍋ごと暖炉のそばに置いておけば勝手にできてしまうような料理だったのかなぁ などと想像をめぐらす、素朴な北イタリアの田舎の味です。
グルメバラエティ番組などで肉料理を口にしたコメンテーターが最初に発する称賛の言葉は、かなりの確率で "やわらかっ" ですよねぇ。
料理の評価を決定する要素は、素材そのものの味や鮮度、香り、食感、味付け、季節感、盛付の美しさなどいろいろありますが、こと肉料理に関しては軟らかいかどうかは結構重要な要素です。
とりわけ農耕民族の日本人は欧米人のように顎が発達していないため、分厚くて硬い赤身の肉を噛みちぎってわしわし食べるのが苦手。
軟らかいハンバーグの方がステーキよりも好きという人は多いですし、ステーキを食べるにしてもひとくちサイズに小さく切って箸でつまんでぽいっと口に入れてもぐもぐ食べる文化。
だから軟らかい=美味しい肉の第一条件ってことになっちゃうんです。
今日の料理のイタリア語訳は "豚肉のロースト 牛乳風味" なんですが、煮込んでいる時間の方が長いのでむしろ煮込み料理に近いかも。
そして、肉のまわりをローストしてから煮込むというのは日本の焼豚の作り方に似ているんですが、焼豚も "煮豚" と呼ぶ方が実態に近いのに なぜか "焼豚" って言いますよね。笑
煮豚なら使う部位は肩ロースかバラ肉、肉と脂身の境界あたりにスジがあったりしてやや硬いとされる部位を使います。
軟らかく仕上げたいなら最初から軟らかい部位を使えばよさそうですがフィレやロースなどの軟らかい部位は長時間加熱すると逆に硬くなってしまうし、肉そのものの味が淡白なので煮込むとぱさぱさの出枯らしになってしまい煮込み料理には向かないんですね。
逆に肩ロースやバラ肉は長時間煮込むことでスジの部分のコラーゲンがゼラチン化してとろとろになるのと、肉の風味も濃く、煮込んで旨いし適度に脂身があるのでしっとり仕上がります。
よく煮込まれたものは箸で切れるぐらいほろほろに仕上がりますよ。
さて、肉を牛乳で煮るというのはヨーロッパ内陸部の影響を受けた料理のような感じですが、その起源は古く、白い料理が純潔の象徴とされてもてはやされた中世の時代から食されてきたという伝統的な料理。
クリーミーで濃厚なので暑い時期には到底食欲がわかない料理ですが、寒い季節に家族が揃う食卓の真ん中にあると嬉しい一皿です。
Ingredienti (per 4 persone)
豚肩ロース ブロック | 800g | ||
にんにく | 1片 | ||
ローズマリー | 3枝 | ||
牛乳 | 800ml | ||
ローリエ | 1枚 | ||
塩・胡椒 | 適量 | ||
バター | 適量 | ||
オリーブオイル | 適量 | ||
per Contorno | |||
玉ねぎ | 中2玉 | ||
じゃがいも | 中4個 | ||
にんじん | 大1本 |
※分量は一応の目安なので味見しながら作ってください
Preparazione
豚肉は焼豚を作るときのようにたこ糸で縛り塩胡椒をすりこみます。使う鍋の大きさに合わせて必要なら短く半分にカットします。
玉ねぎは櫛型に切り、じゃがいもとにんじんもカレーを作るときと同じサイズに切りそろえます。
フライパンにオリーブオイルをしいて弱火にかけ、にんにくを包丁の腹で潰して加え、にんにくの香りをオイルに移します。
にんにくは焦げる前に取り出し、豚肉の脂身が下になるように置き入れ強火で少しづつ向きを変えながら全面に焼き目をつけていきます。
トングで肉を掴んで縦にするなどして、両端の断面も焼いて肉の旨みを閉じ込めます。
別の深鍋にオリーブオイルとバターを入れて中火にかけ、カレーを作る要領で玉ねぎ、にんじん、じゃがいもを加えてさっくり炒めます。
フライパンから肉を移し入れて牛乳を注ぎ、ローリエ、ローズマリーを加え、肉がひたひたにならなければ水を足します。
煮汁がぐつぐつしてきたら蓋をして弱火にして、途中何度か肉の上下を返しながら40分ほど煮込みます。
肉を取り出して粗熱をとり、鍋に残ったソースは蓋をしないで煮詰めてとろりとしたソースにしてから塩胡椒で味付けします。
肉をスライスして皿に並べ、ソースをかけて胡椒を挽きます。
一緒に煮た野菜も付け合わせとしていただきます。
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