2016年6月11日土曜日

Gamberi Crudi al Basilico ボタン海老のクルード バジリコのソース

春から初夏にかけて日本海で揚がるボタン海老を殻ごと背開きにして、バジリコをすり潰したピュレをソースに添えた刺身料理クルード。
ボタンエビの濃厚な甘みとバジリコのスパイシーな香りの相性は抜群、身を食べたあとの頭や殻もフリットにすれば一皿で二度楽しめます。

ボタン海老は寿司や刺身でおなじみのちょっと高級な海老。
回転寿司なら黒とか金色の、大トロやウニと同じ値段の皿に一貫だけで乗っかって凛としているイメージがありますよね。
同じ値段だったらトロやウニを食べて、海老は甘エビで我慢するなんて人も多いかもですが、いやいやそんなこと言わずたまにはボタンエビも食べてみてください。
できれば味の濃いトロやウニよりも先に食べるのがお勧め。
ボタンエビは身に水分を多く含みしっとりしているため生で食べてこその海老なんですが、その味は生食用の海老のなかでも別格級。
口に運べば適度にぷりっとした食感があり、ねっとりと舌に絡みつつも上品な甘みが口の中いっぱいに広がります。

ところで、ボタンエビという名前で流通している海老は実は主に二種類あり、カナダなどから冷凍で輸入されるスポットプローンと、北海道や北陸で水揚げされる近海もののトヤマエビがそれ。
季節を問わず安定供給できる前者は寿司チェーンのレギュラーメニューにあるボタンエビで、季節限定や産地を強調した特別メニューのボタンエビだと後者といった感じでしょうか。
あれ、本家のボタンエビはどうしちゃったのかって話ですが、漁獲量が非常に少なくなってしまったため今では希少品として高値で取引され、一般に出回ることはほとんどなくなっているようです。
じゃ、いつも食べているボタンエビは本物じゃなかったのかというと、分類学上は同じ仲間ということもあり食味の良さは甲乙つけがたいのとそれらがボタンエビの名で通用しているのはもはや市場では常識。
ボタンエビの亜種ぐらいの感覚で広く認知されています。

今日のボタンエビも北陸産のトヤマエビ。
やや小振りで抱卵もしていないため雄だと思われますが、ボタンエビの仲間は孵化したときはすべて雄で成長すると性転換することで知られ、春から夏にかけて抱卵した雌は大きく値段も高いので、シンプルに身を味わうイタリア料理なら雄の方が価格的にもお勧めです。

最近はイタリアでもスカンピやガンベロロッソなどはクルード(生)で食べるシーンが増えてきましたね。
盛付けは日本のお造りとはだいぶ趣が違って背開きにされて手足を広げて、皿にべたっと這いつくばったようなちょっと滑稽な感じに盛るのが定番。
箸ではなくナイフとフォークで食べるので、その方が食べやすいのでしょう。
ここになんらかしらのソースを添えますが、お洒落に蜂蜜とバルサミコなんてのもいいしシンプルにサルモリッリオもいいですね。
でも今日は生の海老の甘みとよく合うスパイシーなバジリコのソース。
ペストジェノベーゼでもいいんですが、それだと原料にチーズや松の実が入っているので、にんにくとバジリコだけを潰してオリーブオイルでのばしたシンプルなソースを添えます。
食べるときにレモンを搾って酸味をプラスしていただきます。

Ingredienti (per 4 persone)

ボタンエビ200g
塩胡椒少々
レモン1/2個
per la Salsa al Basilico
バジリコ20枚
にんにく1/2片
オリーブオイル適量
塩胡椒適量

※分量は一応の目安なので味見しながら作ってください

Preparazione

まずバジリコのサルサを作ります。
にんにくを荒く刻んで、手でちぎったバジリコの葉、オリーブオイルとともにすり鉢で緩めのピュレにしていきます。
バジリコは金気を嫌うため包丁で刻むと色が黒ずんでしまいますので、手で適当な大きさにちぎってから、面倒でもフードプロセッサではなくすり鉢とすりこぎで潰していく方が彩りよく鮮緑のソースになります。
塩胡椒を加えて少し濃い目の味に調整します。

ボタンエビは流水で洗ってから水気を拭き、鯵切り(小出刃)包丁などで殻ごと背中から開いて背ワタを取り除きます。
手足を広げて腹這いにして皿に並べ、軽く塩をふります。

バジリコのサルサをまわしかけて黒胡椒を挽き、バジリコの葉を飾り、櫛切りにしたレモンを添えれば出来上がり。

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2 件のコメント:

  1. バジルはあたり鉢で。
    勉強に成ります。ありがとうございます。

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    1. 岡田様
      イタリアでもモルタイオという大理石や木でできた乳鉢を使いますが、もっともお店で業務用となるとちまちまやってられないでしょうから、あくまで家庭で作る場合の話です。
      あたり鉢という呼び方があるのですね、こちらも勉強になりました、ありがとうございます。

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