2017年1月7日土曜日

Scrippelle 'Mbusse alla Teramana テーラモ風ブロード仕立てのクレープ ウブッセ

ふんわりと焼き上げたクレープの生地に削ったパルミジャーノを包んで熱々の鶏のブロードに浮かべた、アブルッツォ州はテーラモ地方伝統の甘くないクレープ料理ウブッセ。
クレープといえば日本ではパフェみたいにデコったスィーツのイメージしかないですが、本来はこんなふうにシンプルにいただきます。

小麦粉を水や牛乳などで溶いてクレープのように薄く焼いた食べものはヨーロッパをはじめ中東、アフリカ、中南米など世界中にありますが、クレープそのものはフランスが発祥。
フランス北西部のブルターニュ地方で古くから食べられていた蕎麦粉のガレットがその原形だそうで、そば粉を小麦粉に代えて、バターや卵や牛乳を加えてリッチにしたものが現代のフランス風クレープ。
もちろんフランスのお隣イタリアでもおなじみの一品です。

今でこそ西洋料理のスタンダードといった感じのフランス料理ですが、そもそもルネサンス期に栄華をきわめたフィレンツェのセレブな食文化をお手本にして発展したというのはよく知られた話ですよね。
当時はまだ野蛮な田舎ものの国だったフランスの王家にフィレンツェの名門メディチ家のカトリーヌ妃が輿入れすることとなり、お抱えコックやスタイリストなど千人規模の付き人や世話係を帯同していったことで煌びやかな宮廷料理やテーブルマナーがフランスに伝わりました。
それ以前のフランスにはまだカトラリーを使う習慣すらなく、食べものを手づかみで食べていたというから驚きです。

さて、クレープはイタリア語で Crispelle=クリスペッレ。
タイトルの Scrippelle=スクリペッレはアブルッツォ州の方言です。
イタリア各州のなかでもちょっと地味な印象のアブルッツォ州ですが、モンテプルチアーノなど良質なワインやサフランの産地として知られ、四角い断面のキタッラのアマトリチャーナや羊肉の料理が有名。
地理的にはイタリア中部に位置しアドリア海に面していますが、平地はほとんどなく雄大な山々と豊かな自然が魅力。
冬はローマからほど近いスキーリゾートとしても人気です。

アブルッツォ風のクレープはイタリア統一の前にこの地に駐留していたナポレオン率いるフランス軍から伝わったそうで、テーラモという街の伝統料理として定着しています。
具材とクレープ生地を交互に重ねてオーブンで焼いたラザニアのようなティンバッロ(=タンバリン)も有名ですが、日本人好みなのはやはり澄んだ鶏のブロードに浮かべたウブッセの方。
出汁を味わうような食べ方はどこか和食に通じる雰囲気があります。
たっぷりあしらうチーズはペコリーノではなくあえてパルミジャーノ。
繊細なブロードには淡白なパルミジャーノの方が断然合います。

ちなみに日本でおなじみのチョコレートやバナナやホイップクリームを包んだパフェみたいなクレープはフランス風でもイタリア風でもなく、東京の原宿が発祥なんだそうですよ。笑





Ingredienti (per 15 Crespelle del Diametro di 15cm)

薄力粉100g
2個
牛乳1カップ
バター20g
小さじ1/2
オリーブオイル適量
パルミジャーノ50g
鶏のブロード適量
黒胡椒適量

※分量は一応の目安なので味見しながら作ってください

Preparazione

ボウルに卵を割り入れて泡立器でよく攪拌し牛乳を少し加えます。
小麦粉と塩を加えてよく混ぜ、溶かしバターと残りの牛乳を加えながらしゃばしゃばぐらいのゆるさになるようにします。
ラップをしてしばらく置いて馴染ませます。

鉄のフライパンをよく熱してオリーブオイルを馴染ませてからペーパーでふきとり、弱火にして生地をレードルですくって流し入れます。
フライパン底面の直径が15cmぐらいならレードル2/3杯。
いい感じに焼き目がついたら裏返して両面を焼きます。

鶏のブロードはきちんととってもいいですが、お正月の雑煮や水炊き用に鶏がらスープをとったらそれを流用するのが楽でいいです。
(※ 鶏がらスープの素みたいなのは全然香りがないので使えません)

クレープ生地をひろげて削ったパルミジャーノを乗せて巻き込みます。
スープ皿にクレープを並べて熱々のブロードを注ぎ、パルミジャーノと黒胡椒を挽きかければできあがり。

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