2016年12月24日土曜日

Filetto di Manzo Scottato con la Mollica 牛フィレ肉のたたき シチリア風ソース

肉本来の風味がしっとり薫るカルネロッサ=赤身の牛フィレ肉の周囲を強火で焼きつけ、噛みごたえのある厚さに切り分けた豪快なイタリア風牛のたたき。
中は血が滴ったりしない火の通った状態でかつピンク色、ぴりっと辛いノンフィルターのオリーブオイルに香草パン粉やすりおろしたレモンの皮の香りのソースでいただきます。

たたきという名前の料理っていろいろありますよね。
文字通り何かで叩いて作る料理もあれば、別に叩いてないのにたたきという名前のものも結構あります。
叩く方では麺棒やすりこ木で潰すように叩くのがたたきゴボウや胡瓜、出刃包丁で薬味と一緒に叩くのが鯵のたたき。
一方でカツオのたたきは皮目やまわりを香ばしく炙って、刺身のように切り分けてたっぷりの薬味を散らした料理。
叩くという工程はどこにもないんです。
牛のたたきも鰹と同じでまわりだけ焼き目をつけて中は生に近い状態、刺身のようにわさび醤油や薬味と一緒にポン酢で、また馬刺しみたいに塩を溶いた胡麻油やにんにく醤油で食べます。

というわけで叩かないたたきとは中まで火は通さずまわりだけ香ばしく炙って、刺身のように切り分けて薬味やタレで食べる料理のこと。
英語では Seared なんちゃら、イタリア語だとなんちゃら Scottato でなんちゃらのたたきという意味になりますが、日本語の発音そのままの "Tataki" でも通じたりして外国人にもわりと人気があります。
海外で断トツに人気がある食材はマグロと牛肉。
ソースも定番の和風や柑橘系のほかマスタードソースやハーブバター、バルサミコ、マヨネーズのディップソースなど様々です。

牛のたたきは日本では霜降り和牛が人気。
サシの融点が低いため中は完全なレアです。
でもイタリア風のたたきでは赤身が美味しいアンガス種などを使って、ローストビーフのように火の通ったロゼ色に仕上げます。
ノンフィルターのオリーブオイルのぴりっとした辛さとモリーカのコクにトマトの酸味が赤身肉と意外なほどいいバランス。

肉が薄過ぎるとソースがクドくなるので噛みごたえのある厚さに切ってわしわし食べるのが美味しい食べ方です。

Ingredienti (per 4 persone)

赤身の牛フィレ肉800g
にんにく1片
オリーブオイル適量
ミニトマト10個
レモン1/2個
プレッツェーモロ5枝
岩塩適量
黒胡椒適量
per la Mollica
パン粉30g
にんにく1/2片
アンチョビ1/2尾
プレッツェーモロ5枝
オリーブオイル大さじ1

※分量は一応の目安なので味見しながら作ってください

Preparazione

まずはモリーカ(香草パン粉)を準備します。
フライパンにオイルをしいて弱火にかけ潰したにんにくの香りを出し、アンチョビを加えて木べらで潰します。
ふるいにかけた粉状のパン粉とプレッツェーモロ(イタリアンパセリ)のみじん切りを加えて、焦げないように絶えず木べらで混ぜてきつね色になったら火を止めてすぐに(焦げるので)容器に移しておきます。

肉は焼く1時間ぐらい前に冷蔵庫から出しておきます。
鉄製のフライパンにオリーブオイルをたっぷり注いでごく弱火にかけ、スライスしたにんにくを軽く色づくまで熱して香りを出します。
にんにくチップを取り出し、強火にして肉を下味をつけずに置き入れ、トングで転がしたり立てたりしながら全面に焼き目をつけていきます。
この工程では肉のまわりを焼き固めて旨みを閉じ込め、香ばしい焼き目をつけることが目的なので、肉の中心はまだ生の状態です。

オーブンを180℃に余熱します。
肉をしばらく休ませてからオーブンに入れて2分ほど加熱します。
オーブンから出して肉を指で押してみて、水っぽさがなく適度な弾力が感じられたら中まで火が通っていますので、そうなるまで肉を休ませてまたオーブンに入れるということを繰り返します。
焼き上がったらすぐに塩胡椒をします。
焼けてすぐは肉の中で肉汁が暴れている状態なので、少し休ませてから8mm-10mmほどの厚さにスライスしていきます。

平皿に肉を並べてノンフィルターのオリーブオイルをまわしかけ、岩塩と黒胡椒をがりがり挽きかけます。
モリーカ、刻んだミニトマト、にんにくチップを乗せ、粗みじん切りのプレッツェーモロとレモンゼストを散らしレモンを搾れば出来上がり。

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