2017年7月15日土曜日

Spaghetti al Ragu di Carne 懐旧の味 スパゲッティミートソース

ミートソースというと手打ちのタリアテッレとかローマ風にリガトーニなんかを合わせるのが正統な感じですが、昭和世代には昔ながらの太いもっちりしたスパゲッティもノスタルジーを感じる嬉しい組合せ。
パスタが汁気を残らず吸うためソースはドライでパスタはジューシー、オールドファッションな佇まいが古き良き時代への郷愁を誘います。

かつて日本中がバブル景気に沸き人々が高揚感に包まれていた時代に、それまでのアメリカ経由で入ってきたイタリアン=ピザとスパゲッティという価値観とは全然違う、本場のイタリア料理というものがようやく日本にも本格的に上陸しました。
英語のミートソースも今風に言えばラグー、もしくはボロネーゼ。
でもミートソースって響きもなんかレトロでいいんですよねぇ。

今や大人も子どもも大好きなミートソースなんですが、昔は今のように市販のレトルト製品が豊富にあるわけでもなく、家庭で出てくる料理も和食が中心だったので、スパゲッティミートソースはたまに外で食べるお楽しみでありちょっとハイカラな味わいでした。
身近なところだと喫茶店の軽食メニューによくありましたよね。
茹で置きの麺をもう一度さっと湯に潜らせて、麺がくっつかないようにサラダ油を絡ませるか、ナポリタンやピザトースト用に仕込んでおいた玉ねぎやピーマン、水煮マッシュルームなどと一緒にかんかんに炒めて上から出来合いの業務用ミートソースをかけたものでした。
本場の味とはほど遠くても、これはこれで旨かった。
これが洋食屋さんになるともうワンランク上のものが出てきてました。
ソースは褐色になるまでよく煮込まれた自家製ソースで、ハンバーグにかけてあるようなデミグラスソース風の味。
洋食はそもそもフランス料理がベースなので、本場のボロネーゼソースとは趣の違う味でしたが、でもこれがまた旨かったんですよね。
そして洋食屋さんのスパゲッティというのがやたらと太くて歯ごたえもむっちりしていましたが、洋食屋でよく使われていたのがボルカノ社の2.2mmもあるスパゲッチ(という製品名)
これがまたミートソースによく合っていたんですよねぇ。
ただ、盛り付けはそれがフランス風だからなのかその方が上品に見えるからなのか、茹でたパスタの上からソースをかけただけ。
これこそが本場イタリアのパスタ料理と違うところなんですね。

イタリアではパスタ料理はフライパンで火を入れながらソースと和えてパスタにソースの旨みを吸わせて完成するもの。
つまりパスタ(小麦)とソースが渾然一体となった料理なんです。
蕎麦や拉麺に例えると麺がスープを吸ってのびた状態とも言えますが、そもそも和食や中華の麺料理とパスタ料理では考え方が違うんです。
だからパスタにソースをかけただけではパスタ料理とは呼べないですしイタリアでは実際にそういう盛り付けはほとんど見かけません。
同じ理由で日本の冷製カペッリーニみたいに茹でたパスタを水にさらすことも(ソースを吸わなくなるので)基本的にはしません。
パスタ=麺類、とは違うという発想の転換がひとまず必要ですね。

さて、今日のミートソースも茹で汁でのばしてパスタに汁気を吸わせた渾然一体となった仕上がりですが、どことなく懐かしい感じがするのはボルカノ社の2.2mmのスパゲッチを使ってるから。
凛とした佇まいが古き良き昭和のハイカラなミートソースを想起させ、ひと口噛めば腰が強くむっちりしていてジューシーな肉汁と小麦の香りがほとばしる感極まる逸品。
このパスタはやはりミートソースとの相性は抜群です。

Ingredienti (per 10 persone)

per il Ragu
牛豚合挽肉1kg
玉ねぎ中玉2個
にんじん中1本
セロリ1本
にんにく2片
赤ワイン1カップ
トマトペースト80g
ローリエ2枚
オリーブオイル大さじ4
ナツメグ適量
適量
黒胡椒適量
per la Pasta
ボルカノ社スパゲッチ(2.2mm)250g(2人分)
適量
黒胡椒適量
パルミジャーノ適量
パスタの茹で汁レードル2杯

※分量は一応の目安なので味見しながら作ってください

Preparazione

最初に香味野菜のソフリットを作ります。
フライパンにオリーブオイルをしきみじん切りにした香味野菜を加えて中火で20分ほど炒めます。
ソフリットを一旦取り出し、フライパンを洗わずに挽肉を加えて強火で焼き目をつけるように炒め、脂が過剰に出るようなら捨てて赤ワインを注いでフランベします。
ソフリット、ローリエ、ナツメグ、トマトペースト、水を加えて煮込み塩胡椒とナツメグで味を整えたらミートソースは出来上がり。
※)駆け足で紹介したので詳細なレシピはこちらをご覧ください

フライパンにミートソースを適量加えて弱火にかけ、パスタの茹で汁でのばしてから硬めに茹でたパスタを加えてソースを吸わせながら和え、もう一度味見をして塩胡椒で調えます。
皿に盛りつけフライパンに残ったミートソースを上からかけ、黒胡椒を挽いてパルミジャーノを削りかければ出来上がり。

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