2017年9月16日土曜日

Pizza Pere e Gorgonzola 和梨とゴルゴンゾーラのピッツァ

果皮ごと薄くカットした梨(幸水)をレモン果汁と溶かしバターで軽くグラティナートして、梨といえばのゴルゴンゾーラをたっぷりと乗せて魚グリルで焼き上げた和梨のピッツァ。
仕上げにかける蜂蜜は青黴チーズと相性抜群、幸水のざらっとした皮としゃりしゃりした果肉の食感も楽しい秋の一皿です。

かつて梨といえば長十郎と二十世紀の二大品種が流通の中心でした。
梨は大きく分けて果皮が茶色でざらっとしたサビのある赤梨系と緑色でつるんとした洋梨のようなタイプの青梨系があり、長十郎と二十世紀がそれぞれを代表する品種だったわけです。
水分が多くみずみずしい長十郎はいかにも赤梨らしい美味しさが特徴の梨でしたが果肉が硬すぎるのが難点でした。
また二十世紀は果肉はやや軟らかく食べやすいものの、晩成品種のためせっかくのみずみずしさを残暑の頃に味わえないのが欠点でした。
品種改良が進んだ現在は、赤梨の美味しさはそのままに果肉が軟らかい青梨を掛け合わせたり、夏の需要期に出荷できる早生種を掛けた品種がたくさん作られています。
さきほどの二十世紀を親に持つ品種も結構たくさんあって、幸水や豊水といった主流を成す銘柄にも二十世紀の血が入っていますが、とりわけ幸水は盛夏の頃から真っ先に出回り始める早生種で、果肉は軟らかくてしゃりしゃりした食感が心地よく、甘くみずみずしい果汁がほとばしる和梨の完成形のような秀逸な品種です。

ところで日本でいちばん梨の生産量が多いのはどこでしょうか。
梨といえばふなっしー、ですよね。笑
そうなんです、実はふなっしーが非公認ながらもご当地キャラを務める船橋がある千葉県が福島や長野といったフレーツ王国を抑え国内一位。
梨園は船橋をはじめ、市川、鎌ヶ谷、柏、白井といった東京に隣接する県北西側の地域に集中、先の二十世紀も千葉県の松戸市が発祥です。
ただしこの地では現在の主力品種はその孫にあたる幸水などに代わり、今や二十世紀の産地といえば鳥取県が有名、国内シェアも幸水、豊水、新高に次いで四位と今でも需要がある息の長い品種なんです。
たくさんの子宝にも恵まれ、自分自身もいまだに現役という絵に描いたような幸せな老後を送っているのが二十世紀なんですね。
一方の長十郎ですが、品種改良の親としては残念ながら目立った成果を出せておらず、また長十郎そのものも幸水などに押されて衰退の一途をたどり、店頭で目にすることもほとんどなくなってしまいました。
あれほど一世を風靡しただけにちょっと寂しくもあり、人気を二分した両雄の違いすぎる結末に切なさが込み上げてきます。

さて、西洋でも梨は人気のフルーツで、実はイタリアは世界第二位の梨の生産国。
あちらの梨とはもちろん西洋種で、そのままフルーツとして食べたり砂糖やワインで煮たコンポートやトルタなどの焼菓子にしたり、塩分のあるチーズや生ハムなどと相性がいいので料理にもよく使われます。
とりわけ梨、ゴルゴンゾーラ、胡桃の相性が良くリゾットやピッツァなどが定番です。
今日は洋梨ではなく和梨の幸水を使っていますが、そのまま料理に使うのではなく、レモンとバターを染み込ませて軽くグラティナートするとピッツァの具材としてぐっとなじみが良くなります。
ざらっとした食感の果皮もあえて剥かずにそのまま使います。

Ingredienti (per 2 Pizze del Diametro di 25cm)

強力粉150g
薄力粉50g
ぬるま湯1/2カップ
ドライイースト3g
3g
オリーブオイル20ml
per Condire
梨(幸水)1個
レモン1/2個
バター30g
ひとつまみ
白ワイン大さじ1
ゴルゴンゾーラ150g
胡椒適量
蜂蜜適量

※分量は一応の目安なので味見しながら作ってください

Preparazione

ボウルに強力粉、薄力粉、塩、ドライイーストを入れて二本指で混ぜ、ぬるま湯(少しづつ)とオリーブオイルを加えて混ぜ合わせます。
最初のうちは手にべたべたつきますがだんだんとまとまってくるので、そうなったら台の上で折りたたんだり捏ねたりを繰り返します。
10分ほど捏ねると生地に張りが出てくるので2等分して丸めます。
深さのあるバットなどに打ち粉をして丸めた生地を間隔をあけて置き、ラップをして室内で夏は1時間、冬は3時間ほど発酵させます。

梨は皮つきのまま薄くスライスし耐熱皿に並べます。
レモンを搾って白ワイン、塩と合わせたものをスプーンでまわしかけてしばらく置いてしみ込ませます。
ソースパンを弱火にかけ溶かしたバターを梨にまわしかけ、オーブンで10分ほどグラティナートします(180℃で予熱)。

打ち粉をした台と麺棒で生地を丸くのばし、縁に少し厚みを残すように手で成型し、グラティナートした梨を並べて手でさいころ大にちぎったゴルゴンゾーラを適当に配置します。
フライパンに薄くオイルを敷いて生地の底面を1分ほど焼き固めます。
フライ返しで持ち上がるようになったらアルミホイルに乗せて予熱しておいた魚グリルで上面最大火力で一気に焼きあげます。
2分もあれば焼けるので絶対に目を離さないように。
チーズが溶けてじゅわじゅわと泡だって縁に焦げめがつけばグリルから取り出し、砕いた胡桃を散らして蜂蜜をたらしかければ出来上がり。

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