2017年11月11日土曜日

Pasta con Pate di Olive Nere ライプドオリーブのパテとチーズのクリームソース ペンネリガーテ

黒く熟したライプドオリーブ、アンチョビ、ケイパーをタプナード風のペーストにして、ペコリーノチーズをとろりと混ぜ込み芳醇なソースに仕立てた黒オリーブのパテとチーズのパスタ。
イタリアではちょうど今頃がオリーブ収穫の最盛期ということもあり、毎年秋が深まってくると食べたくなる晩秋の一皿です。

今年の秋は例年よりもかなり雨が多かったんじゃないかと思います。
秋雨前線が長く停滞したうえ季節外れの大型台風が立て続けに(しかも週末に二週連続で)やってきたりしたので、なおさらそんな印象が強く残ってますよね。
近年は地球温暖化の影響で秋になってもいつまでも暑さが続くイメージでしたが、今年は夏も消化不良に終わり残暑らしい残暑もなくいきなり冬みたいに寒い日が連続したりして、らしくない気候が続きました。
まぁ、それもこれも10月いっぱいまで。
11月に入った途端ようやく秋晴れの日が続くようになりました。
やっぱり秋は清々しい天気が似合いますよね。

イタリアでは11月は一年でいちばん雨の多い月。
ただでさえ天気が悪くてどんよりしてるうえに、昼がどんどん短くなりサマータイムの終了が拍車をかけて日暮れの時間が急速に早まるので、なんとなく気分が乗らないというか沈みがちになっちゃうようです。
でも、この季節ならではのお楽しみもあります。
葡萄の収穫がひと段落したら新ワイン=ノヴェッロの季節。
新ワインといえばフランスのボジョレーヌーヴォーが有名なんですが、イタリアのノヴェッロはひと足早く10月末に解禁になりました。
一般的に年代を重ね熟成されたものほどよいと言われるワインですが、ノヴェッロの場合はフレッシュ感あふれる若い味わいを楽しみ、かつ、今年のワインの出来を占うためのもの。
日本酒のひやおろしと、ある意味同じような位置づけです。

イタリアには "Vino Vecchio, Olio Nuovo" という格言があります。
直訳すると古いワイン、新しいオイルという意味ですが、古い=つまり熟成されたものほどよいというワインと比喩的に新しい=つまり鮮度が大事だと言われるのがオリーブオイル。
イタリアでは葡萄の収穫が終わって、今頃は搾油用のオリーブの収穫が真っ盛りで、まもなくノヴェッロ=新オリーブオイルが出回ります。
ノヴェッロは英語のニュー、フランス語のヌーヴォーと同じで新しいという意味、新ワインも新オリーブオイルもノヴェッロと呼びます。
搾りたてのオリーブオイルはにごりのある濃い緑色が特徴、香りが強く舌にぴりぴりくる辛さがあって、いかにもフレッシュな味わい。
イタリア各地にあるオリーブの産地では収穫祭が開かれ、ワイングラスでノヴェッロを試飲したり、炙った田舎パンにたっぷりのノヴェッロをたらして食べるフェットゥンタなどが振る舞われます。

さて、オリーブは搾油用だけでなく食用の品種もありますよね。
リグーリア州のタジャスカオリーブやラツィオ州のガエータオリーブ、大粒で緑色が鮮やかなシチリア州のノチェラーラ、オリーブに詰め物をしてフリットにするマルケ州のアスコリ風オリーブに使われる軟らかく大きなアスコラーナなどが有名です。
品種によって色がグリーンだったり薄紫色や真っ黒だったりしますが、色の違いは実の成熟度の違いによるもので、品種ごとに最適な収穫時期がだいたい決まっているからなんですね。
夏の終わりに収穫した若い実が緑色、完熟する冬に収穫したものが黒、そして搾油用には完熟の少し前の今頃のものがちょうどいいんです。

通常、オリーブはピクルスのように瓶詰めにされて売られていますが、これは、アクが強く生で食べられないオリーブを塩漬けにするなどして渋抜きしてから商品化されるためです。
未熟なグリーンオリーブは苦みや渋みが強めなのでワインのつまみにはちょうどいいですが、料理に使ったり果実として美味しいと感じるのは熟してまろやかな味になった黒オリーブの方です。
今日のパスタはその完熟オリーブをアンチョビやケイパーなどと一緒にタプナード風のペーストにしたものがソース。
ここにトマトが入るとプッタネスカと同じ味になりそうですが、秋冬は乳製品を使って芳醇な風味に仕上げる方がしっくりきます。


Ingredienti (per 2 persone)

ペンネリガーテ250g
黒オリーブ(タジャスカ種など)100g
アンチョビフィレ2尾
塩漬けケイパー大さじ1
にんにく1片
レモン汁小さじ1
オリーブオイル大さじ3
ペコリーノチーズ30g
生クリーム200ml
適量
黒胡椒適量
プレッツェーモロ5枝
パスタの茹で汁レードル2杯

※分量は一応の目安なので味見しながら作ってください

Preparazione

塩蔵ケイパーはぬるま湯にしばらくつけて塩抜きします。
レモンは搾ってジュースにし、チーズは粉状に削っておきます。
にんにく、オリーブ、アンチョビ、ケイパーをざっくり刻んですり鉢で粗く潰し、オリーブオイルを少しづつ加えてペースト状にします。
黒胡椒とレモン汁を加え、塩気が足りなければ塩も加えます。
オリーブのパテは、多めに作っておいてパンに塗ったりしても美味しく食べられます。

パスタを茹で始めます。
フライパンを弱火にかけオリーブのパテと生クリーム、削ったチーズを加え、パスタの茹で汁でのばしてふつふつさせておきます。
ここでもう一度味を見て塩胡椒で調整します。
パスタは表示よりも少し早く茹で上げてフライパンに加え、ゆるゆるのソースをパスタに吸わせるようにしてソースを絡めていきます。

皿に盛ってチーズを削りかけ、プレッツェーモロ(イタリアンパセリ)の粗みじん切りを散らして軽く黒胡椒を挽けば出来上がり。

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2 件のコメント:

  1. こんにちは。
    いつもとっても美味しそうなレシピをありがとうございます!
    このオリーブ、チーズ、クリームの組合せは本当に美味しそう。
    これまでに紹介されていた秋のレシピも、どれも作ってみたい!(そしてワインものみたい(笑)と思うものばかりです。
    これからも素敵なレシピを楽しみにしています(^_^)
    (以前はHNねころんでしたが、それだとコメントできなくなってしまい、ねこぱんだになりました(^_^;紛らわしくてゴメンなさい)

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    1. チーズやクリームソースのパスタに何度かコメントいただいたねころんさんですね。
      いつもありがとうございます。
      秋冬は乳製品を使ったコクのあるソースが美味しいですね。
      そしてチーズには赤ワイン、どのチーズだとどんなワインが合うかいろいろ試してみるのも楽しいですね。

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