2018年1月14日日曜日
Spaghetti alla Carrettiera Toscana フィレンツェ風 スパゲッティカレッティエッラ
名前の由来どおり冬の冷えた身体をぽかぽか温めてくれるし、パスタが細いので素早く提供できる立食いそば風の一品です。
暦の上では"寒"、つまり一年で最も寒い30日間を迎えています。
今年は1月5日が小寒で寒の入り、寒のなか日=大寒が1月20日。
2月4日の立春の前日=節分でようやく寒明けとなります。
底冷えがするというのはまさにこういう気候のこと。
暖房のきいたビルの中で仕事をしてる分にはいいんですが、寒い屋外に長時間いると身体の芯まで冷え切って、そんなにお腹がすいてなくてもラーメンとかカレーうどんみたいなもので温まりたくなりますよねぇ。
でも考えてみるとそういう温かい麺料理って日本や中国、韓国、台湾、タイやベトナムなど東洋地域にしかないんです。
一説では麺食文化と箸を使う習慣とは密接に関係しているそうです。
確かに麺を食べるのにスプーンは使わないし、フォークで巻くにしてもうどんぐらいの太さだとうまく巻けないし汁がやたら飛び散ったりして食べにくそうですよね。
子どもの頃は二本の棒ではさんで食べるなんて難しいし食べにくいのになんでわざわざ箸を使うんだろうと思ったもんですが、やっぱり和食や麺料理は箸で食べてこそなんですよね。
姿勢を正して箸で食事をする姿は凛々しくもあり清楚で美しい。
あらためてこの国の伝統的な和食文化というものが誇らしく思えます。
ところで、フォークで巻いて食べる麺のようなものといえばパスタ。
西洋にもちゃんと伝統的な麺料理がありました、って話ですよね。
でもパスタ料理は麺料理のようで、麺料理とはちょっと違うんです。
もともと麺食文化に慣れ親しんできた日本ですから、パスタも他の麺類と同じに考えてしまうのも無理ないですが、そう思って料理してる人は申し訳ないですが "パスタ料理のようなもの" を作っているだけ。
パスタ料理を正しく作るには少しだけ考え方を変える必要があります。
通常の麺料理は麺がスープを吸ってのびてしまわないよう熱いスープに麺を入れたら素早く提供し、のびないうちにさっさと食べます。
ざるそばや冷やし中華などに至っては茹でた麺を水にさらし、ごしごしぬめりをとってから器に盛ったりしますよね。
パスタ料理とは、パスタとソースを合わせたら火を入れながらソースの旨みと水分をパスタに吸わせてフライパンの中でちょうどアルデンテになるようにして完成する料理。
つまりパスタとソースが渾然一体となった料理なんです。
パスタの表面はざらざらしていて、茹でたときにぬめりとなりソースが絡みやすい状態になるのですが、茹でたパスタを冷水で洗ってしまうとソースが絡まなくなるうえにもうそれ以上ソースを吸わなくなるので、伝統的なイタリア料理ではまずそんなことはしません。
夏の風物詩のような冷製カペッリーニもイタリアにはなかったもの。
冷や素麺を模して考案された和製イタリアンなんです。
それと、家庭で作るパスタってお店と違って表面の艶や潤い感がなく、いつもぱさぱさした感じになっちゃうと思いませんか。
パスタは皿に盛ってからも食べてる間も余熱でソースの水分をどんどん吸うからで、プロが作るお店のパスタはまるでパスタの表面がとろりとコーティングされてるかのように艶々に潤っているはずです。
つまり、思ってる以上に水分多めでしっとり仕上げなければだめだし、ヘルシーにしたいからオイルを少ししか使わないとかもだめ。
たっぷりのオイルとソースの水分がとろりと乳化されてはじめて本当に美味しいパスタ料理ができるというわけです。
さて、フィレンツェでは厳冬期の屋外で冷え切った身体を温めてくれるラーメンやカレーうどんに代わるのがこのカレッティエッラ。
もともとはファストフードみたいな位置づけだったこのパスタ料理も、今ではちょっとしたご当地名物になっています。
アッラカレッティエッラとは御者風とか馬車引き夫風という意味。
底冷えのする季節に戸外で馬車を引く御者がにんにくと唐辛子のきいたソースで身体を温めることができ、また客待ちや旦那様が食事をとっている合間に御者も立食いそばのように手早く食事を済ませられるよう、細いスパゲッティで作られます。
Ingredienti (per 2 persone)
スパゲッティ(1.4mm) | 250g | ||
にんにく | 2片 | ||
唐辛子 | 2本 | ||
玉ねぎ | 1/2個 | ||
オリーブオイル | 大さじ3 | ||
ホールトマト | 1缶 | ||
ローリエ | 1枚 | ||
塩 | 適量 | ||
黒胡椒 | 適量 | ||
プレッツェーモロ | 15枝 |
※分量は一応の目安なので味見しながら作ってください
Preparazione
にんにくは薄くスライス、玉ねぎはみじん切りにします。唐辛子は手で割いて中の種を取り除きます。
ホールトマトは一旦ボウルにあけて手で潰し、ザルで漉して果皮や種を取り除いておきます。
フライパンにオリーブオイルをしいて弱火でにんにくと唐辛子の香りを出し、玉ねぎを加えて中火でソフリットします。
ホールトマトとローリエも加えて、途中で塩胡椒で下味をつけて中火で15分から30分程度煮込みます。
煮込む時間や調味料、香辛料、ハーブなどはお好みで。
イタリア人のレシピの通りでは大味になりがちなので、隠し味に少量の砂糖か蜂蜜、昆布出汁の素などの旨み調味料を加えると日本人好みの味に仕上がります。
あまりやり過ぎるとイタリア料理じゃなくなるので注意。笑
パスタを茹で始め、ソースに茹で汁をレードル2杯加えます。
フライパンを小刻みに揺すってソースをとろりと乳化させ、やや硬めに茹でたパスタを加えてソースを吸わせるようにマンテカーレします。
もう一度味をみて塩胡椒で調整します。
皿に盛って黒胡椒を挽き香り高いオリーブオイルをまわしかけます。
ざく切りにしたプレッツェーモロ(イタリアンパセリ)を乱雑な感じでどっさり乗せたら出来上がり。
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