2018年5月20日日曜日

Crema Fredda di Patate Novelle 新じゃがいもの冷製ポタージュ

みずみずしい新じゃが芋とソフリットした新玉ねぎをことこと煮崩してハンドブレンダーで撹拌し、牛乳でさらりとのばし冷たくしていただく初夏の冷製ポタージュ。
野菜の粒子がざらざらと舌に心地いいしクロスティーニ(クルトン)の代わりに浮かべた香ばしいポテトチップスも食感に変化を添えてくれる清々しい一皿です。

じゃがいもの冷製スープといえば有名なのがビシソワーズですね。
ポロねぎとじゃがいものポタージュを冷たくして生クリームでのばした夏に嬉しいスープ、蒸し暑くて食欲がないなんてときでもさっぱりして食べやすいし、美味しいだけでなく栄養価も高いので、夏バテ防止にもひと役買ってくれます。
一応フレンチなので、レストランなどでは丁寧に裏漉ししてなめらかで上品なスープに仕立てることが多いですが、野菜の粒々感が適度に残りざらついた素朴な感じに仕立てる方が好みです。
だって所詮はネギとじゃがいものスープ。笑
とりたてて高価な食材を使ってるわけでもないので、あまりお行儀よく作ってもかえってアンバランスな感じがします。

とはいえこのビシソワーズ、名前が何気にお洒落。
フランス語のイントネーションや響きがお洒落に聞こえるんですよね。
それに名前がフランス語だというだけで、その料理の品格が一段上がるような雰囲気すらありますもんねぇ。
例えば、パテドカンパーニュは田舎風のパテという意味なのに、田舎風どころか洗練された都会のビストロやフレンチレストランでスーツ姿でワイン片手に食べたりするイメージすらあります。
ビシソワーズも人によってはきっとそんな感じの位置づけ。
だから由緒あるフランス料理だと思って疑わない人も多いと思います。

ところがビシソワーズは一応フランス料理ではあるけど歴史は新しく、しかもフランスではなくアメリカが発祥なんだそうですよ。
幼少期の頃の夏に母親がポタージュに冷たい牛乳を入れてくれたものをヒントにニューヨークのリッツカールトンのフランス人シェフが開発、それが好評を得て広まり定着したものだとか。
なんとも意外ですが、考えてみればイタリアもそうですがフランスでも夏は暑いけど日本と違って湿度が低くからっとしてるためか、伝統的に料理を冷たくして食べる習慣はないし冷製スープもありません。
レストランのメニューには前菜などで温製と冷製があったりしますが、その場合の冷製とは冷たくした料理という意味ではなく常温で提供する作り置き惣菜のような料理のことを指しています。
夏の風物詩のような冷製カペッリーニだって、素麺やうどんを冷やして食べる日本の習慣に倣い日本で考案されたもので、イタリアにパスタを冷水にさらして冷たくする習慣はなかったわけです。

とはいえ暑い時期に食べる冷たい料理はやっぱり美味しい。
とくにスープや麺類は喉ごしもいいので、夏場に冷製でお出しするのは気の利いた最高のおもてなしのひとつです。
ビシソワーズはそもそもシェフの創作料理だったわけですが、シェフの自己満足ではなく、お客様を心からおもてなしするという発想が根底にあったからこそ高い評価を得たんだと思います。
今ではもう立派に近代フレンチを代表する一品です。

さて、ビシソワーズはフレンチなのでバターと生クリームでこてこてに作りますが、夏の料理としてはやや暑苦しいですよね。
イタリア風に作るならオリーブオイルと牛乳でさっぱりと仕立てるのがお勧めで、蒸し暑い日本の夏にはこちらの方が合います。
ポタージュといえばクロスティーニ(クルトン)を浮かべるのがお約束ですが、代わりに皮ごと薄くスライスしたじゃがいもをかりっと揚げたポテトチップスを浮かべて、香ばしさと食感の変化を楽しみます。

Ingredienti (per 4 persone)

新じゃがいも中3個
新じゃがいも(ポテトチップス用)小1個
新たまねぎ1個
2カップ
牛乳2カップ
オリーブオイル適量
サラダ油(揚げもの用)適量
ローリエ1/2枚
プレッツェーモロ5枝
適量
黒胡椒適量

※分量は一応の目安なので味見しながら作ってください

Preparazione

新じゃがは流水で土を洗い流して沸騰した湯で軽く茹で、薄い皮を指でつまんで剥けるぐらいになったら火を止め、皮を剥いて適当な大きさに切り刻みます。
新玉ねぎはみじん切りにします。

深鍋にオリーブオイルをしいて中火にかけ玉ねぎをソフリットします。
玉ねぎがくったりしてきたら水、じゃがいも、塩胡椒、ローリエを加えことこと30分ほど煮含めていきます。
じゃが芋に串が刺さるようになったら火を止めてローリエを取り出し、牛乳を半量加えて少し冷ましてからハンドブレンダーで攪拌します。
熱いと火傷の原因になるし冷まし過ぎてもじゃがいもの粘りが出るため適温で行ないます。
ボウルに移して残りの牛乳を足し、塩と胡椒で味を調整したら冷蔵庫でよく冷やします。

小サイズの新じゃがを流水で洗い、皮ごと薄くスライスします。
サラダ油を熱して新じゃがのスライスをかりっと揚げてポテトチップスを作り、軽く塩をふっておきます。

スープ皿に冷たいスープを注いでポテトチップスを浮かべます。
黒胡椒を挽いてプレッツェーモロ(イタリアンパセリ)の粗みじん切りを散らし、仕上げにフレッシュな香りのエキストラヴァージンオイルを垂らせば出来上がり。

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2 件のコメント:

  1. こんにちわ☻
    わたしも先日ポタージュスープを作ったばかりです。
    おいしいですよね 𓌈
    新ジャガで作るとサラッとしたスープになりますか?
    今度は 新ジャガで作ってみようと思います𓎩

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    1. いつもありがとうございます。
      先日のパスタもそうですが、本来ポタージュのようなスープは貯蔵もののじゃがいもの方が向いていると思います。
      でも旬の時期にはあえて新じゃがで。
      水分が多く粘りが少ない分さらっと仕上がります。

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