2016年2月27日土曜日
Spaghetti con il Baccala e Pomodoro 真鱈とケイパーのパスタ トマトソース
独特の熟成味のあるタラは、ちょっと香辛料を利かせたトマトソースと相性抜群、ケイパーの苦味も加えてシンプルだけど奥行きのある味わいに仕上げます。
魚編に雪と書いて鱈=タラ。
言うまでもなく冬の味覚を代表する魚、鍋で美味しいですよね。
淡白でさっぱりしているとか言われますが、ほどよく熟成が進んだものはむしろクリーミーというかまったりした独特の旨みがあります。
身はぷりっとしてほろほろと崩れるほど軟らかく、鍋はもちろんのこと蒸しても焼いても揚げても旨い。
好きな魚介類をいくつか挙げるなら、青魚ではサバにイワシに秋刀魚、脂の乗ったマグロに鰹に寒鰤、さっぱりとした白身が旨いスズキや鯛、タコにヤリイカにアオリイカに...もう全部美味しそう。笑
そして忘れちゃいけないのが鱈。
回転寿司などでよくある写真入りのメニューを思い浮かべながらやるとつい忘れそうになるんですが、タラはとても足が早く刺身や寿司ネタ用に流通させるのが難しいんです。
刺身で食べられるのは氷蔵の状態でも数時間以内と言われているので、これはもう漁師や港町に暮らす人たちだけの特権でしょう。
確かに魚介類にとって鮮度は大事なんですが、じゃ釣れたて獲れたての新鮮そのものの魚が一番美味しいかというと、実は全然味がしないので美味しくないんです。
活き造りなんかもこりっとした歯ごたえは楽しめますが、味そのものは薄くてあまり美味しくないと感じたことがあるはずです。
魚は死後、時間の経過とともに体内の酵素によってタンパク質の分解が始まり、それがイノシン酸やグルタミン酸といった旨み成分へと変化、やがて美味しい食べ頃を迎えるというわけです。
この現象は科学的に言えば腐敗へと移行する過渡期にあたります、でも食べものに相応しい表現で言えば熟成です。
適度に熟成し刺身で食べ頃でいられる時間は魚の種類によって異なり、タラはさきほどのように僅か数時間、足が早いと言われるサバは二日、タイやカレイ、ヒラメなどで十日前後、マグロに至っては牛肉のように一ヶ月近くも熟成させる場合があります。
さて、鱈はイタリア料理でもお馴染みの魚ですが、そもそも地中海には生息していないのでイタリアでは獲れません。
イタリア料理に使うのは鮮魚ではなく、北欧のノルウェーなどで水揚げされたタラを塩漬けして干したバッカラと呼ばれる外来の保存食品で、これを一日から二日かけて水で戻して使います。
バッカラは鮮魚ではないけどイタリアでもやっぱり冬の味覚。
そして北から南までイタリア全土で定番食材なので、こんなこてこての南イタリア風のパスタにも使われます。
Ingredienti (per 2 persone)
スパゲッティ | 250g | ||
塩ダラ切身 | 3切 | ||
強力粉 | 適量 | ||
ホールトマト | 1缶 | ||
にんにく | 2片 | ||
玉ねぎ | 1/2個 | ||
塩漬けケイパー | 大さじ2 | ||
乾燥オレガノ | 小さじ1 | ||
ローリエ | 1枚 | ||
白ワイン | 適量 | ||
オリーブオイル | 大さじ4 | ||
塩胡椒 | 適量 |
※分量は一応の目安なので味見しながら作ってください
Preparazione
フライパンを弱火にかけてオイルをしき、みじん切りにしたにんにくと玉ねぎをソフリットしていきます。塩ダラはひと口サイズに切り分け、塩胡椒で下味をつけて粉をまぶし、炒めた香味野菜をちょっと脇に寄せて空いたスペースでソテーし、一旦取り出しておきます。
タラから出たゼラチン質がフライパンの底につくので、ワインを注いで旨みを木べらではがして、ホールトマト、みじん切りにしたケイパー、ローリエを加えて15分ほど煮込みます。
途中でオレガノをふりいれ、味を見て塩胡椒で調整します。
ソテーしたタラをソースに戻して馴染ませたら、表示の時間よりも短く茹でたパスタをフライパンに移してソースを吸わせながらアルデンテにもっていきます。
皿に盛り付けて黒胡椒を挽きかけ、仕上げに香りの良いオリーブオイルをまわしかければ出来上がり。
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