2017年6月10日土曜日

Pasta con Polpo e Fave 真蛸とそら豆のパスタ

塩茹でにした旬のそら豆とみずみずしい新にんにく、時期を同じくして美味しくなってくるタコを一緒にソテーして、煮崩れた空豆がそのままソースになる季節の恵みが詰まった初夏のパスタ。
甘くスパイシーな風味のフェンネルシードと仕上げに散らすバジリコの香りでもう夏を待ちきれない気持ちにさせてくれる一皿です。

ソラマメの値段がだいぶこなれてきましたね。
国内ではいちばん出荷量が多い鹿児島県産のものがかなり早い時期から出まわるんですが、千葉や茨城あたりの産地のものが出始めると値段もぐっと安くなって、いよいよ夏も近いなぁという雰囲気になります。
そら豆は独特の香気と後味がありビールのお供にもぴったり。
だからあまり春先の頃から食べたい感じもないし、夏豆の呼び名もあるぐらいなのでやっぱり初夏の風物詩なんですね。
他にも蚕豆や天豆、野良豆、一寸豆などいろいろな別名がありますが、地方名だったり呼び名がたくさんあるというのは昔から人々に親しまれ身近な存在だったことの証。
旬が短くちょっと儚い感じが、季節を愛でる日本人の感性をくすぐってきたからこそなのでしょう。

空豆という名前の由来は鞘がぴんと上を向いてつくから。
豆が膨らんで実が入ってくると自重でだんだん垂れ下がってきますが、こうなったらそろそろ収穫なので家庭菜園などで空豆を栽培してる方はいちばんわくわくする瞬間です。
収穫が待ちきれずに思わず喉がごくりと鳴っちゃいそうになりますが、まずは塩茹でにしてビールですよねぇ。
また鞘ごと炙って蒸し焼きにした焼き豆も旨いですが、こちらはビールでもいいけど冷えた日本酒も欲しくなる味です。

そんな和のイメージのそら豆ですが、原産地は地中海沿岸から中東など西アジアにかけての地域で、日本に伝わったのは奈良時代。
ヨーロッパや中東では空豆を食用としてきた歴史も古く、古代エジプトや古代ローマ時代にまでさかのぼるそうです。
ヨーロッパのそら豆は日本のものと比べて鞘が細長く、豆もひとまわり小粒なのが特徴ですが、糖度が高くえぐみが少ないため生で食べられるところが日本のそら豆との大きな違いです。
陽光を浴びるのが大好きなイタリア人は、爽やかなピクニックシーズンには赤ワインとペコリーノチーズと生のそら豆を持って出かけて屋外で半日過ごしたりします。
ただ、旬が短いためイタリアでは乾燥そら豆もよく利用されます。
プーリア州ではその乾燥そら豆を水で戻して地元産のオリーブオイルと撹拌して作るピュレが名物料理になっています。
これに茹でたチコーリアを添えたものが前菜の定番。
他の野菜と一緒に食べたりもしますし、ソースの代わりに肉や魚料理の下に敷いたものもいかにもプーリア料理らしい光景です。

さて、今日のパスタはピュレではないですが、火が通りやすいそら豆がとろとろに煮崩れたものがソースになった南イタリアっぽい一皿。
そら豆と相性のいいタコ、そして魚介が入るのに意外かもしれませんが空豆といえばのペコリーノチーズも隠し味に使います。
オリーブオイルとみずみずしい新にんにくの風味もきいて、日本人にはこのままでも十分美味しく感じられますが、さらにフェンネルシードの香りを加えるとぐっとイタリア料理っぽくなりますよ。

Ingredienti (per 2 persone)

 
スパゲッティ(2.0mm)250g
蒸しタコ100g
そら豆(鞘付き)1kg
新にんにく2片
オリーブオイル大さじ4
ペコリーノ5g
フェンネルシードひとつまみ
バジリコの葉10枚
レモン1/4個
適量
黒胡椒適量
そら豆の茹で汁レードル4杯

※分量は一応の目安なので味見しながら作ってください

Preparazione

タコは小さめのぶつ切りに、新にんにくは薄くスライスし、フェンネルシードはすり鉢ですり潰しておきます。
そら豆は鞘から取り出し黒い点がない側に包丁で切れ目を入れます。

2%の塩水を沸かし、そら豆を3分から4分ほど茹でます。
そら豆は穴あきレードルですくってザルにあげて粗熱をとり、指で押し出して切り込み部分から中の豆を取り出します。
茹で汁は捨てずに取って置きます。

フライパンを弱火にかけて新にんにくの香りを出し、ぶつ切りのタコとそら豆を加えて中火でさっとソテーしてから、そら豆の茹で汁を加えて煮含めていきます。
加熱でどうしてもタコの身が縮んでしまいますが、出汁をとるぐらいのつもりで構わず煮ていき、水分が減ってきたら茹で汁を継ぎ足し、豆がほろほろに煮崩れてきたら一旦火を止めます。
パスタがソースの汁気をかなり吸うのでそれを見越して緩めの状態で、フェンネルシードを加え塩胡椒で味を調整します。

硬めに茹で上げたスパゲッティをフライパンに移して、中火でソースの旨みをパスタに吸わせるようにマンテカーレしていきます。
もう一度味見をして塩で調整し、火を止めてペコリーノを加えます。
皿に盛ってスライスしたレモンを添え、黒胡椒を挽きかけバジリコの葉を手でちぎって散らします。
仕上げにオリーブオイルをまわしかければ出来上がり。

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