2017年6月24日土曜日
Pici all'Aglione 自家製ピチ 新にんにくのアリオーネソース
よく日本のうどんに似ていると形容されるピチですが、手でころころと延ばして作るので手延うどんのように太さや食感が均一でないところが家庭的で素朴な魅力溢れるパスタです。
イタリアのトスカーナ州というと肉料理のイメージが強いですよね。
トスカーナ風アンティパストといえば地元産の生ハムやサラミの盛合せと決まっているし、コロンナータという地で作られる豚の背脂の塩漬けラルドは世界のグルメも唸る逸品、牛肉を粒胡椒と赤ワインで煮込んだビーフシチューペポーゾやフィレンツェ風ローストポークのアリスタも令名を馳せる逸品です。
猪や鹿などいわゆるジビエのローストや煮込みも絶品、贅沢にジビエを細切れにしたラグーをパッパルデッレのソースにしたりもします。
鶏レバーペーストのクロスティーニ、トリッパのフィレンツェ風煮込みやランプレドットなどの内臓料理も充実、カットステーキをルッコラとオリーブオイルとパルミジャーノで食べるタリアータも定番です。
そしてトスカーナらしい肉料理のきわめつけといえば、なんといってもビステッカアッラフィオレンティーナですよね。
トスカーナの肉料理はとにかく奥が深くてシンプルかつ豪快です。
そんな肉づくしなところも確かにトスカーナ料理の一側面なんですが、一方でトスカーナ料理とはもともと農家の料理がベースになっているとよく言われます。
例えば精進料理のような豆料理。
いんげん豆のスープにショートパスタを浮かべたパスタエファジョーリや小鳥風というネーミングの白いんげん豆のトマト煮込み、ひよこ豆のチェチーナなどはまさにトスカーナらしい典型的な田舎料理。
豆料理以外でも、硬くなったパンや雑草(のような野菜)を使ったり、少量の具材でもお腹が膨れやすいシチューのような煮込み料理が多く、二日目のカレーみたいに翌日また煮込んだという意味のリボッリータ、パッパ(パン粥)、野菜シチューの真ん中に卵を割り入れたグラタンのようなアクアコッタ、硬くなったパンを水で戻してサラダ仕立てにしたパンツァネッラなど著名な郷土料理がずらり。
映画トスカーナの休日でフランシスことダイアンレインが隣人を招いてふるまった手料理の中にも出てきます。
お店みたいに黒板にチョークで書かれたお品書きに注目です。
パスタはどんな感じかというと、トスカーナ州はイタリア中北部に位置することもあり、伝統的にはトルテッリとか幅広のパッパルデッレなど主に軟質小麦と卵で作る手打ちパスタが中心。
今日のピチはトスカーナ州の南部の山あいの地域が発祥で、軟質小麦と塩と水だけで作る、卵が入らない質素な手延べパスタです。
ピチの食べ方(ソース)のいちばんの定番は今日のアリオーネソース。
ぱっと見はごく普通のトマトソースにしか見えないのですが、玉ねぎの代わりが全部にんにくというぐらいたっぷりにんにくが入ったソースで四人前のソースを仕込むなら丸ごと一個にんにくが入ります。
さぞかしパンチのきいた味かと思いきや、新にんにくを使ってるせいかむしろまろやかで家庭的な懐かしい感じの味。
美しい田園風景が続く初夏のトスカーナの香り漂う一皿です。
Ingredienti (per 2 persone)
per i Pici | |||
薄力粉 | 250g | ||
オリーブオイル | 小さじ1 | ||
ぬるま湯 | 100ml | ||
塩 | 小さじ1 | ||
per il Sugo | |||
ホールトマト | 1缶 | ||
新にんにく | 6片 | ||
オリーブオイル | 大さじ4 | ||
ペコリーノ | 適量 | ||
唐辛子 | 1/2本 | ||
セージの葉 | 5枚 | ||
塩 | 適量 | ||
黒胡椒 | 適量 | ||
パスタの茹で汁 | レードル2杯 |
※分量は一応の目安なので味見しながら作ってください
Preparazione
小麦粉、塩、オリーブオイルをボウルに入れて指で混ぜ合わせ、生地の硬さを見ながらぬるま湯を足していき手で捏ねます。生地がまとまってきたらまな板の上に移して10分ほど捏ねます。
ラップで包んで30分以上寝かせます。
まな板に打ち粉をして生地を麺棒で伸ばして厚み8mmほどにします。
これを包丁で幅8mm程度の棒状に切り分けます。
一本づつ手に取り打ち粉をしていないまな板の上でころころ転がしたり引っ張って伸ばしたりしながら5mm程度の紐状にし打ち粉をします。
新にんにくは細かいみじん切り、唐辛子は種を取って輪切りにします。
フライパンを弱火にかけてオリーブオイルをたっぷりしき、新にんにくをソフリットして香りを出し、ちぎったセージと唐辛子も加えます。
にんにくが色づき始めたらすぐにトマトを加えます。
トマトを潰しながら中火で10分ほど煮込み塩で味を調えます。
湯を沸かして塩を加え、ピチを4分程度茹でます。
途中、茹で汁をフライパンに加えてのばし、茹で上がったピチも加えてソースを吸わせながら和え、もう一度味見をして塩で調整します。
皿に盛って黒胡椒を挽きオリーブオイルをまわしかけます。
仕上げにたっぷりのペコリーノチーズを削りかければ出来上がり。
関連記事 - ピチにも合うイタリア中北部のパスタソース
Spaghetti all'Amatriciana 復興のシンボル スパゲッティアマトリチャーナ |
Spaghetti Cacio e Pepe チーズと胡椒のスパゲッティ カチョエペペ |
La Carbonara ローマの下町風 カルボナーラ |
Tagliatelle al Ragu alla Bolognese ラグーのパスタ ボロネーゼ タリアテッレ |
0 件のコメント:
コメントを投稿