2020年6月21日日曜日
Sarde Marinate con Finocchio 入梅鰯のマリネ フェンネルの香り
大きくて肉厚な身は切らずに半身のまま盛りつけるのがちょっと贅沢、安価でも脂がしっとり乗って値段以上に価値ある一皿です。
関東が梅雨入りして10日ほどが経ちましたね。
梅雨とは、夏の太平洋高気圧と冬のオホーツク海高気圧との間にできた気圧の谷が梅雨前線となり、日本列島付近に停滞する気象現象。
初夏の頃にこのような気圧配置が現れ何日か雨が続く見込みになると、それをきっかけに気象庁が梅雨入り宣言を出します。
梅雨の期間は例年6月上旬から7月下旬までの約40日間。
意外と長いので、同じ梅雨の期間であっても梅雨入り初期と終盤とでは気温や雨の降り方が結構違います。
入梅直後の頃だとまだ北の高気圧が勢力を保っているため、梅雨前線を南に押し下げたり消滅させたりということを繰り返します。
つまり、最初のうちは降っても大したことなかったり、案外晴れる日が多かったりするし、梅雨寒といって気温の低い日も多くなります。
気温が上がって蒸し蒸しするようになったり、雨の降り方が本格化するのはむしろ7月に入ってから。
梅雨=6月というイメージがありますが本番はむしろ7月なんですね。
ただ、今年はめずらしく梅雨入り早々激しく降ってましたけどねぇ。
さて、そんな梅雨の頃に旬を迎える食材のひとつがイワシ。
入梅鰯という季節限定の特別な名前までつけてもらっています。
本来は季節だけでなく産地も特定されていて、この時期に千葉の銚子で獲れたマイワシのことを入梅鰯と呼んできました。
銚子沖ではちょうど梅雨のこの時期に北からの親潮と南からの黒潮とがぶつかり合い、さらに利根川から栄養豊富な清流が流れ込んで餌となるプランクトンがよく育つため、この時期にここで獲れるイワシは丸々と太って脂が乗り美味しいというわけです。
とはいえ、今では入梅鰯の名も全国区になり、どこで獲れたイワシでも入梅鰯という名で呼ばれることが多くなりましたよね。
イワシはイタリア料理でもおなじみの食材で、このブログでもこれまで幾度となく取り上げてきました。
カタクチイワシを含め17回、そのうちマリネは9回も作ってます。笑
やっぱり新鮮なイワシは刺身料理に限りますもんねぇ。
マリネとは食材を酸味のあるドレッシングに漬け込んだ料理のことで、魚に限らず肉や野菜もマリネします。
魚のマリネの場合はいきなりドレッシングに漬けると臭みが出るので、通常、3つの工程を踏みます。
まずは塩漬け工程=ソットサーレ。
塩で〆めることで身の水分量を減らし、水分と一緒に臭みも抜きます。
次に酢漬け工程=ソットアチェート。
ヴィネガー(酢)の酸で生魚を殺菌しつつ風味づけをします。
ここまでは日本の寿司ネタの光りもの(酢締め)とほぼ同じです。
国や文化は違えど、考えることは一緒なんですねぇ。
そして最後がオイル漬け工程=ソットオーリオ。
身の表面をオイルで覆うことで酸化や劣化を防ぎ保存性を高めます。
これは日本の酢〆にはない工程ですが、イタリアではオリーブオイルは風味づけのため料理の仕上げにまわしかけたり、調味料のようにパンに垂らしかけて食べるなど、何にでもたっぷり使います。
つまり、日本のサラダ油とはそもそもの用途が違うんですね。
日本では油を料理の仕上げにかけたりしないですもんねぇ。
さて、少しづつ趣向を変えながら過去何度も作ってきたイワシのマリネですが、今日はフェンネルの爽やかな香りをプラスしてみました。
日本では、オレガノやタイム、ディル、セージなどのハーブがある程度定着した一方で、フェンネルだけはなぜか定着しませんでした。
ホームセンターや園芸店でもなかなか売っていないため、イタリアから輸入した種を撒いてベランダで育てたものを使います。
イタリアではフェンネルは肥大した白い株元を野菜のように食用にすることが多いのですが、ディルに似たヒゲのような葉も独特の香りがあり魚介類の臭み消しなどに使われます。
シチリアの有名なイワシと茴香のパスタは、イワシの臭みを消すためにフェンネルの葉が大量に使われています。
Ingredienti (per 2 persone)
マイワシ(大) | 3尾 | ||
にんにく | 2片 | ||
新玉ねぎ | 1/4個 | ||
ミニトマト | 5個 | ||
プレッツェーモロ | 5枝 | ||
フェンネルの葉 | 4枝 | ||
ローリエ | 1枚 | ||
レモン | 1/4個 | ||
ワインヴィネガー | 1/2カップ | ||
オリーブオイル | 大さじ4 | ||
粗塩 | 適量 | ||
黒胡椒 | 適量 |
※分量は一応の目安なので味見しながら作ってください
Preparazione
イワシは頭を落として腹を開きワタを取り除いて流水で洗います。薄皮を剥いて両面にたっぷりの塩をふり30分ほど冷蔵庫で〆めます。
イワシから水分が出てきますが、そのとき魚臭さも一緒に抜けるので、出てきた水分は捨てて流水で洗い流し、水気をふきとり塩抜きを兼ねてヴィネガーに10分ほど漬けます。
にんにくと新玉ねぎは薄くスライスに、プレッツェーモロ(イタリアンパセリ)は粗みじん切りに、ミニトマトは縦半分に切り、フェンネルの葉は手で適当にちぎっておきます。
イワシの漬け汁(ヴィネガー)を捨てて身を洗わずにオリーブオイルを注ぎ、にんにく、玉ねぎ、ミニトマト、プレッツェーモロ、ローリエ、フェンネル(半量)を加えてオイル漬けにして冷蔵庫で馴染ませます。
漬け汁(オリーブオイル)は捨てて、中身だけをこんもりと皿に盛り、新しいヴァージンオイルをまわしかけて黒胡椒を挽き、残り(半量)のフェンネルの葉を適当にちらします。
櫛形に切ったレモンを添えれば出来上がり。
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