2020年2月1日土曜日
Alici Marinate 片口鰯のマリネ
出会いものにつき鮮度の良いものを見つけたら即買い、目が黒く透明で身体が銀色にきらきら光っていれば刺身やマリネにできますよ。
今日から2月ですね。
東京でもとうとう雪が降り、その後は少し暖かい日が続いていますが、本来なら一年でいちばん寒い季節。
この時期の鮮魚売場は他の季節と比べるとかなり殺風景で、干物などの保存食品や、薄塩を施したタラや鮭、ボイルしたカニ、剥き牡蠣などの加工されたものが中心になります。
生鮮ものでは旬のブリやスルメイカの入荷が多く、全体的に売りものが少ないので相対的にこれらが多くの売場面積を占めてたりします。
あとは一年中獲れるのがサバやイワシ、アジ、マダイなどで、その日に入荷があれば日替わりでちらほら混じるといった感じです。
その、通年目にするイワシですが、どれも同じように見えますが微妙に違う三種類のイワシがいるのはご存知でしょうか。
流通量がいちばん多いのがマイワシという種類。
顔がまるくておちょぼ口なところがニシンに似て(ニシン科なので)、身体の両側に斑点模様がある、おなじみのイワシです。
二束三文の大衆魚だった昔と違い、今は刺身用としての需要があるため価値が高まり、新鮮で品質の良いものが店頭に並びます。
お値段も昔と比べるとそこそこ普通だったりします。
醤油をぱっとはじくほど脂の乗ったイワシの刺身、美味しいですよね。
このブログでもオーソドックスなマリネのほか、柑橘ソースのマリネや真っ白に脂の乗った入梅鰯にミントを添えたもの、ラヴィゴットソースを添えたマリネ、ピスタチオと香草パン粉を散らしたシチリア風など、イワシの刺身料理は何度も作ってきました。
マイワシの次に見る機会があるのがウルメイワシ。
次といっても数は多くなくたまに見かける程度ですが、姿形や大きさがマイワシとよく似ているため、もしかするとそれと気づかずに買ってたなんてこともあるかも。
ウルメイワシはマイワシのような身体の斑点模様がなく、メタルっぽいぎらぎらした光沢があるのが特徴です。
味は淡白で脂の乗ったマイワシが好きな方には少し物足りないかも。
そして最後の一種類が今日のカタクチイワシ。
カタクチイワシは成魚でもマイワシやウルメイワシよりふたまわりほど小さいので、容易に区別がつくかと思います。
口が大きくて下顎が出っ張り、口角が上がってるのでにんまり笑ってるかのようなユニークな顔をしています。
背中の色が黒いためセグロイワシと呼ばれたり、他にも地方によってはヒコイワシ、シコイワシなどと呼ばれたりしています。
カタクチイワシは鮮魚ではほとんど見ることがないんですが、煮干しやしらす干し、おせち料理の田作り、アンチョビなどの原料になるため、加工されたものが家庭でもおなじみの魚です。
日本では最も漁獲量が多い魚がこのカタクチイワシだと言われていて、年間を通じて水揚げがあるものの、身が柔らかく漁で傷がついてしまうことがほとんどだったり、鮮度落ちも非常に早いのと価格も安いので、鮮魚で流通させるメリットがあまりないんです。
ただし鮮度が維持しやすい冬場には稀に店頭に並ぶことがあります。
豆アジみたいな感じで小さいのがトレーにたくさん乗ってパックされ、刺身用とはどこにも書いてないので、生で食べたい場合は可能かどうか自分で見極める必要があります。
目が白く濁ってたり血がにじんでるのは厳しいですが、黒く透き通って艶々していて、魚体に傷や破れが少なく、銀色にきらきら光っていればたぶん大丈夫です(自己責任でお願いします)。
そして生の刺身よりはマリネにした方が多少は安心です。
マリネは日本の酢〆めと似た調理法で、イワシをはじめアジやサバなど青背の魚を酢で〆めた光ものは寿司店でもおなじみですよね。
この、〆めるというのは、魚体に含まれる水分量を減らして傷みにくくするとともに、殺菌効果で保存性を高める調理法。
酢で〆めるなどといいますが実際に〆めてるのは酢というより塩です。
さて、イワシは洋の東西を問わず安価な大衆魚という位置づけ。
そのため、イタリアでも高級なリストランテでイワシ料理が提供されることはあまりないですが、産地の南イタリアに行けば海辺のローカルな料理店で新鮮なイワシのマリネやフリットが味わえます。
日本はまだちょっと寒いですが、まもなく立春で暦の上ではもう春。
ぽかぽかした陽気の日には、春の南イタリアに想いを馳せながらこんな一皿をつまみにワインでもいかがですか。
Ingredienti (per 2 persone)
カタクチイワシ | 好きなだけ | ||
白ワイン | 適量 | ||
粗塩 | 適量 | ||
黒胡椒 | 適量 | ||
にんにく | 1片 | ||
オリーブオイル | 適量 | ||
レモン | 1/4個 | ||
プレッツェーモロ | 2枝 |
※分量は一応の目安なので味見しながら作ってください
Preparazione
カタクチイワシは指の腹で優しく洗いウロコを落とします。頭を切り落とし、お腹を開いて掃除し、中骨を手で引っ張ってするっと外し、背びれを落として半身に切り分け薄皮を剥きます。
流水で洗い、たっぷりの粗塩をふって冷蔵庫で30分ほど置きます。
水分と一緒に魚臭さも抜けます。
塩を白ワインで洗い流し、ヴィネガーに5分ほどひたします。
にんにくをスライスし、ジップロックにオリーブオイルとともに入れ、そこにイワシの身も加えて冷蔵庫で1時間ほどマリネします。
漬け汁は捨ててイワシだけを皿に盛り、黒胡椒を軽く挽きかけ、櫛形に切ったレモンを添えて、粗みじん切りのプレッツェーモロ(イタリアンパセリ)を散らせば出来上がり。
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