2016年12月10日土曜日

Fonduta alla Valdostana 冬山の郷土料理フォンドゥータ ヴァルドスタ風

フォンティーナチーズをバターや牛乳とともにじっくり温めて溶かし、チーズフォンデュのようにソースにクロスティーニをひたしていただく冬山の素朴な家庭料理フォンドゥータ。
アルプス山脈伝いにフランスやスイスと国境を接するイタリア最北西端ヴァッレダオスタやピエモンテ地方の伝統料理です。

ヨーロッパ大陸の真中を東西に横切るヨーロッパの屋根アルプス山脈。
とりわけその北西部にはアルプス最高峰のモンブランやモンテローザ、マッターホルンといった4000m級の名峰が連なっています。
その西アルプスの尾根伝いに国境を接しているのがスイス、フランス、イタリアの三カ国で、国境に近い高原地帯は夏は涼しくて過ごしやすいですが冬は完全に雪に覆われてしまう寒冷な土地柄。
チーズフォンデュはそんな地域で育まれてきた冬の郷土料理です。
日本でも一時期ちょっと流行しましたが、西欧料理にしてはめずらしく鍋料理のようにみんなでつついて食べられるので、ホームパーティーを盛り上げてくれる楽しい一品。
お洒落なイメージが先行しがちですが、実際は古くなって風味の落ちたチーズを白ワインで溶いて温め、やはり古くて硬くなったパンを絡めて食べるという残りもの一掃的な貧しい家庭料理なんです。
そして雪深い厳冬期に身体を温めてくれ体温を維持してくれるところが理にかなった高カロリーな料理でもあります。

チーズフォンデュのソースには通常スイス産のグリュイエールチーズやエメンタールチーズが使わるんですが、イタリアのフォンドゥータではヴァッレダオスタ州で作られるフォンティーナチーズを使います。
タイトルにあるヴァルドスタ風とはヴァッレダオスタ風という意味。
イタリア北西部の冬季トリノオリンピックが開かれたピエモンテ州よりさらに北西、アルプスの山中に孤立するように位置するピエモンテ州の出張所みたいな小さな自治州がヴァッレダオスタ州。
フォンティーナチーズが特産品でもちろんDOP指定されています。

美しいアルプスの名峰に囲まれた爽やかな夏の高原で、のびのびと放牧された牛から搾った牛乳がフォンティーナチーズの原料となります。
ウォッシュチーズのにように表皮を塩水で洗いながら熟成させる工程によりナッツのような香ばしい風味と蜂蜜のような甘みが生まれます。
熟成期間は三ヶ月程度と短めですが、その年の冬には食べられるようになるため寒くて長い冬の間の保存食として利用されてきました。
現在でもスキー客が多勢訪れる冬に消費量が増えるそうです。
冬に食べる山のチーズってほんとに美味しいですよねぇ。

フォンドゥータはチーズフォンデュのように何種かのチーズをミックスしたりはせずフォンティーナチーズを単体で使います。
また、ワインは加えずに牛乳でのばし卵黄やバターが入ります。
ソースの入ったポットをじっくり温めていくと、乳製品の芳醇な薫りが部屋中に漂うというなかなかゴージャスな一品。
家族が集まる冬の夜の食卓やクリスマスのホームパーティーにお勧め。
タンニンのきいた赤ワインを温めたホットワインのお供にも。

Ingredienti (per 6 persone)

フォンティーナチーズ300g
バター30g
牛乳1/4カップ
小麦粉大さじ1
卵黄2個
トリュフオイル適量
適量
黒胡椒適量
ナツメグ少々
バゲット1本

※分量は一応の目安なので味見しながら作ってください

Preparazione

フォンティーナチーズは皮の部分を取り除き、薄めにスライスしてから小さなキューブ状に切り分け半日以上牛乳にひたしておきます。

小鍋を弱火にかけてバターを溶かし小麦粉を加えて混ぜ合わせます。
小麦粉はチーズが分離しないよう乳化剤の役目をしてくれます。
牛乳にひたしておいたチーズを牛乳ごと加え、ひとまわり大きなボウルなどに湯をはって弱火で湯せんにかけながらチーズを溶かします。
次に卵黄を溶いて加えていきますが、一気にいくと固まってしまうので火を止めて小鍋を安定した台の上に置き、全体をかき混ぜながら卵黄を少しづつ加えていきます。
塩胡椒で味を調え、ナツメグとトリュフオイルを加えて香りを立てたらチーズソースは出来上がりです。

次にクロスティーニを準備します。
バゲットを厚めにスライスしてひと口サイズの角切りにします。
鉄のフライパンに少量のオリーブオイルをしいて、焦げ目がつく程度にかりかりに炒っていきます。
オイルにハーブやにんにくの香りをつけておいてもいいですね。

チーズソースをテッラコッタのポットに移して、卓上で固形燃料などでゆっくりと加熱します。
クロスティーニ、温野菜などを並べて出来上がりです。
チーズフォンデュ専用のフォークでクロスティーニや温野菜を刺して、チーズソースにひたしながらいただきます。

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