2018年2月18日日曜日

Polpette di Carne in Fricassea 白いミートボールのフリカッセーア

いわゆる火が通ると白くなる鶏や豚が主体の挽肉をミートボールにしてバターで香ばしく焼きつけ、ゆるくのばしたベシャメラでことこと煮た白い煮込み料理フリカッセーア。
いつもはトマトで煮込むイタリアのミートボールですが春が待ち遠しい季節に嬉しいのがこんなクリームシチューみたいな一皿です。

挽肉の料理が好きという人は結構多いですよね。
そのまま火を通すとぽろぽろとばらける性質を利用してドライカレーや麻婆豆腐、そぼろ、ミートソースなどの料理に使われますし、丸めたりいろんな形に成形できるのでハンバーグやメンチカツ、ミートボール、ソーセージなど形のある食べものにすることもできます。
なかでも日本人が大好きな挽肉料理といえば、真っ先に思い浮かぶのがハンバーグでしょう。
味はしっかり肉の味なのにステーキより軟らかくてジューシー。
それに値段もステーキより安いというのが人気の理由ですかね。

日本人は欧米人に比べて顎の力が弱いので、食感がわりとしっかりある硬めの肉に豪快にかぶりついてわしわし食べたりするのが苦手。
ステーキを食べるにしても軟らかい霜降り和牛を好みますし、味よりもまず軟らかいかどうかが料理の評価を左右する感じです。
だからテレビのグルメ番組などで、リポーターが肉料理をひと口食べて最初に発するコメントはほぼ100%「軟らかっ」ですもんねぇ。
ハンバーグはそんな日本人の嗜好にぴったりですぐに普及しました。
ナイフとフォークを使わなくても箸で容易に切れるので、給食やお弁当などにも使いやすかったでしょう。
おまけに照焼きやおろしポン酢といった和風ソースとも相性がいいので幅広い年齢層から支持される人気メニューとして定着しました。

ところでステーキやハンバーグって開拓時代の古き良きアメリカの料理というイメージがありますよね。
日本にはステーキやハンバーグを専門に扱うチェーン店もありますが、ディズニーランドの左側地区みたいな内外装が楽しいびっくりドンキーをはじめビッグボーイ、ブロンコビリー、テキサスなどで提供しているアメリカンスタイルのものに馴染みがあるからでしょう。
でもビーフステーキはともかくとして、ハンバーグステーキというのはアメリカも含めて海外ではそれほど一般的ではないんですね。
ハンバーグはドイツ系移民がハンブルグ風のステーキとしてアメリカに持ち込んだものですが、それがアメリカ風にアレンジされ誕生したのがトランプ大統領も大好物というハンバーガー。
今ではアメリカンフードを代表する一品になっていますよね。

一方、イタリア系移民が持ち込んだ料理もアメリカ風にアレンジされ、独自の進化を遂げてアメリカ風のイタリアンへと発展しました。
サラミやオニオン、マッシュルームなど具沢山のピザやスパゲッティにタバスコをかけて食べる、日本人にもちょっと懐かしいアレです。
ミートボールをトマトで煮込んでスパゲッティにかけたものも典型的なアメリカ風イタリア料理のひとつで、映画カリオストロの城でルパンと次元が取り合いしたのがそれだし、ゴッドファーザーでもファミリーの幹部のひとりクレメンザがアルパチーノ演じるマイケルコルレオーネにこのパスタの作り方を教えるシーンが登場します。
ゴッドファーザーで描かれているのは第二次大戦後のニューヨーク郊外のイタリア系移民社会。
オリーブオイルの輸入で財をなしニューヨークマフィアを組織するようになったのがマーロンブランド演じるドンコルレオーネ。
彼も彼の妻のカルメラもシチリア出身で、こてこての南イタリア料理をアメリカ風にアレンジしたものが作品中にちょいちょい登場します。

さて、イタリア風のミートボールは日本の軟らかいハンバーグとは違い肉の密集度が高くずっしりとした歯ごたえがあります。
玉ねぎやつなぎは入れないことが多いのと、粘りが出るまでよく捏ねて成形するからですね。
イタリアも他の欧米諸国と同様に肉が主食なので、ミンチ肉であっても肉を食べてる感がないともの足りないのでしょう。
つなぎの代わりに刻んだパセリや松の実、たっぷりのパルミジャーノを混ぜ込んだりして風味よく仕上げます。

Ingredienti (per 2 persone)

豚挽肉500g
1個
パルミジャーノ40g
プレッツェーモロ10枝
バター80g
薄力粉40g
牛乳500ml
ナツメグ少々
ローリエ1枚
セージ2枝
適量
黒胡椒適量

※分量は一応の目安なので味見しながら作ってください

Preparazione

プレッツェーモロ(イタリアンパセリ)を細かく刻みます。
パルミジャーノは粉状に削っておきます。
大きめのボウルに卵を割り入れ、豚挽肉、パルミジャーノ、ナツメグ、パセリ、塩胡椒を加え手で粘りが出るまでよく捏ねます。
少し置いて馴染んだらピンポン玉ほどの大きさに丸めていきます。

深鍋を火にかけてバターを溶かしセージの葉を加えます。
バターがふつふつしてきたら小麦粉に潜らせたミートボールを置き入れ中強火で焼き目をつけていきます。

ミートボールを一旦取り出し、鍋に残った旨みバターにふるいにかけた小麦粉を加えて弱火にし、焦がさないよう木べらでかき混ぜます。
牛乳を少しづつ加えながらダマにならないようかき混ぜていきます。
途中から木べらを泡立て器に持ち変えると作業しやすいです。

好みの緩さになったらローリエ、ナツメグひとつまみ、塩を加えて味を調え、ミートボールを戻し入れて10分ほど煮込めば出来上がり。

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