2018年7月1日日曜日

Linguine con le Vongole Grandi e Basilico 夏浅蜊とバジリコのリングイネ

本土ではあまりお目にかかれない大粒で希少な北海浅蜊を贅沢に使い、とろりと乳化させた貝のスープをリングイネに絡めた至福の一皿。
春はとうに過ぎたのに今頃まだアサリですかって話ですが、北海浅蜊は短い夏の産卵を控え今が旬にして禁漁前の季節限定の味、春の浅蜊には合わせることのなかったバジリコが香る夏仕様のヴォンゴレです。

貝といえば一般的には季節は春ですよね。
まぁ、すべての貝がそうだというわけではないですが、身近なアサリやハマグリをはじめホッキ貝にトリ貝にアオヤギといった二枚貝の多くは晩春から初夏にかけてが産卵期にあたり、その前にたくさん餌を食べて栄養をため込もうとするので春に身が太って味が良くなるんです。
身が大きいだけでなく旬の時期には他の季節と比べコハク酸と呼ばれる貝類特有の旨み成分が何倍にもなるため味も濃厚といいことづくめ。
これはもう貝を食べるなら春に限りますね。

ところで梅雨も明け7月に入った今は二枚貝の季節ではないですよね。
今頃まだアサリのパスタですかと突っ込みが入りそうですが、それほど産卵を終えたばかりのアサリは痩せ細って旨みに乏しいんです。
アサリのパスタなどは人気メニューなのでお店のグランドメニューにも通年あるかもしれませんが、夏なのにヴォンゴレを注文したりしてると季節感も知識もない客だなと思われるのは間違いありません。
でもそれは本州以南の話。
北海道ではちょうど今頃アサリが旬を迎えています。
市場ではエゾアサリまたは北海アサリなどと呼ばれる大型のアサリで、普通のアサリとはいろいろ違うため区別してそう呼ばれます。

まず目を引くのが大きさで、普通のアサリの倍はあろうかというぐらいひとまわりもふたまわりも大きく迫力があります。
これは、本土のアサリが若く小さいうちに獲って出荷されるのに対し、北海道では大きく育つのを待って出荷してるため。
冬に成長が止まるなど育つのに時間がかかることに配慮し、漁獲対象は5年もの=殻長4cm以上と決められています。
ちなみに一般に流通している本土のアサリは2歳ぐらい。
アサリの寿命は8年以上とも言われてるので2歳はまだまだ幼貝。
長い歳月をかけてじっくりと成熟した北海浅蜊は身が肥えて味も濃厚で幼いアサリとはひと味もふた味も違うというわけです。

大きさの次にひと目見て違うなと思うのがその地味な色。
普通のアサリは茶色や青、白、黒などの色柄模様があってカラフルだしそれぞれの貝によって模様もまちまちで個性豊か。
でも北海アサリは茶色一色でなんとも地味、ぱっと見これがアサリだとわからないので何て名前の貝かなとラベルを見てしまうほどです。
それと、色柄模様がないからよけいにそう感じるのかもしれませんが、貝殻の頂から同心円状と放射状にわりと深くはっきりした溝があるのも北海浅蜊ならではの特徴のひとつ。
大きさに加えこの深い溝がより一層迫力を感じさせてくれます。

さて、そんな北海アサリの旬は春ではなく初夏。
本土では産卵に適した気候が春と秋の二度あるのに対し、冷涼な気候の北海道では夏が唯一の産卵シーズン。
産卵に向けて身が太って美味しくなるのがちょうど今頃なんですね。
それに北海道では資源保護にも配慮し、漁獲できるサイズの規制のほか産卵期にあたる夏は禁漁期間となるため、今がいちばん食べて美味しく且つ今しか食べられない季節限定の味なんですよねぇ。
お勧めは濃厚な貝の出汁を残らずパスタに吸わせて食べるヴォンゴレ。
そして春のヴォンゴレにはまず合わせることのないこの季節ならではのバジリコを合わせて、初夏らしい仕立てでいただきます。





Ingredienti (per 2 persone)

リングイネ250g
北海アサリ350g
にんにく1片
白ワイン1/2カップ
オリーブオイル大さじ4
バジリコの葉20枚
適量
黒胡椒適量
パスタの茹で汁レードル2杯

※分量は一応の目安なので味見しながら作ってください

Preparazione

鍋に海水程度の濃さの塩水を作って浅く張り、アサリを重ならないよう置き入れて蓋で暗くして2時間ほど砂抜きをします。
砂抜き後は流水で殻をこすり合わせて洗い、ザルに上げておきます。

オリーブオイルをたっぷりしいたフライパンにみじん切りのにんにくを加えて弱火にかけ、香りが立ったらアサリを置き入れて白ワインを注ぎ蓋をして貝が開くまで中火から強火で蒸していきます。
身が硬くなるので開いたアサリは一旦取り出しておきます。

アサリから出た水分とワインとでそこそこ汁気が多くなっているので、少し煮詰めてからパスタの茹で汁を加えフライパンを小刻みに揺すってソースを乳化させます。
パスタを表示より短かめに茹で上げてフライパンに移し入れ、ソースの旨みをパスタに吸わせながらマンテカーレします。
アサリから結構塩気が出ますが、味が足りないようなら調整します。

バジリコを手で細かくちぎって加え、取り出しておいたアサリも戻してもう一度さっと和えます。
皿に盛ってさっとオリーブオイルをまわしかければ出来上がり。

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