2018年6月24日日曜日

Carpaccio di Pesce Spada alla Messinese メカジキのカルパッチョ メッシーナ風

初夏の近海ものの生メカジキを薄く削ぎ切りにして、刻んだバジリコとケイパーのソースでいただくシチリア風メカジキのカルパッチョ。
脂が乗った冬のメカジキも美味ですが、オリーブオイルでいただくならさっぱりしたこの時期のものに限ります。

英語でSwordFish、イタリア語だとPesceSpada。
どちらもメカジキの呼び名で直訳すると剣の魚という意味。
角のように大きく伸長した上顎が西洋のフェンシングで使う剣のように見えることからついた名前です。
メカジキとはその名のとおりカジキの仲間。
他にマカジキやクロカジキ、シロカジキ、バショウカジキなどの種類がいて、これらを総称してカジキマグロと呼んでいます。
カジキマグロの仲間はみな角のように長く突き出た上顎を持ち、大きくぴんと立った背びれと三日月型に反ったマグロのような尾びれがあり、シャープな流線型の魚体をしています。
なかでもカジキらしくて格好いいのがMarlinの英名を持つマカジキに、背びれがドラゴンの翼のようなSailFish=バショウカジキ。
トローリングなどで狙う大物釣り=スポーツフィッシングのターゲットとして多くの釣り人の憧れの的でありマリンのシンボル的な存在。
海辺のカフェやレストラン、マリンショップなどの壁にカジキマグロの絵やオブジェがよく飾ってあったりしますもんね。

ちなみにこのカジキマグロという呼称ですが、分類上はマグロとは全く別種なんですが、魚体の大きさや姿形、肉質や食味などがマグロとよく似ていることから、昔から慣例的にそう呼ばれてきました。
最近ではカジキマグロという呼び名は間違いでカジキと呼ぶのが正しいみたいな風潮もあるようですが、それはちょっと野暮ってもの。
分類上アサリとは別種の貝がなんちゃらアサリって名前だとか、鯛とは無関係なのになんちゃらダイみたいな例はいくらでもあるし、そもそもただのカジキよりカジキマグロと呼ぶ方が断然格好いいですもんね。

カジキマグロのなかでも食べて美味しいのがマカジキとメカジキ。
前者は漁獲量が少なく商用としての需要が大半ですが後者のメカジキは流通量も多くスーパーなどでも普通に目にします。
南国の海にいるイメージですが遠洋漁業に加え日本近海でも漁獲され、主に宮城県や和歌山県などで水揚げされる重要な水産資源。
今日の生メカジキも和歌山県産です。
市販では冷凍の切身を目にすることが多いかと思いますが、冷凍品でもわりと値段が高く、生のメカジキだとさらにそれより値が張りますのでちょっとした高級魚の部類に入ります。
身は白に近い淡いピンク色でくっきりとした血合いが入るのが特徴的。
血合いにクセはなく、鮮度の良い生メカジキなら刺身で、加熱調理では照り焼きやムニエル、フライなどで美味しいですよね。
産地では秋から冬が旬と説明していて、実際冬のメカジキは脂が乗って美味しいですが、海水温が上昇する晩春から夏にかけては産卵のために沿岸付近まで回遊してくるため近海ものの生メカジキのシーズン。
冬とはまた違ってあっさりとした美味しさです。

一方、イタリアではメカジキといえばシチリア。
漁場となるのが、イタリア本土のカラブリア半島とシチリア島を隔てるメッシーナ海峡。
広大で水深もたっぷりあるティレニア海とイオニア海が狭く浅い海峡でつながっていることから、潮流が渦を巻き複雑にぶつかりあったりする海の難所にして一級漁場。
産卵が近くなる初夏の頃に、メカジキがこの海域に寄ってくるところを狙って出漁するのがシチリアの季節限定のメカジキ漁。
イタリアではメカジキの旬は夏なんですねぇ。

今日のカルパッチョはバジリコとプレッツェーモロなどのハーブを粗く刻んでケイパーとともにオリーブオイルと合わせたシチリア風ソース。
あっさりした初夏のメカジキとの相性は抜群です。




Ingredienti (per 2 persone)

メカジキ(刺身用)100g
にんにく1片
バジリコの葉10枚
プレッツェーモロ5枝
塩蔵ケイパー大さじ1
オリーブオイル大さじ2
レモンの搾り汁小さじ1
適量
黒胡椒適量

※分量は一応の目安なので味見しながら作ってください

Preparazione

にんにくは芽をとってスライスします。
バジリコとプレッツェーモロ(イタリアンパセリ)、ぬるま湯につけて塩抜きしたケイパーをざく切りにします。
ボウルにレモンの搾り汁と塩、ハーブ類、にんにく、オリーブオイルを加えてよく混ぜ合わせてソースにします。

メカジキはマグロやカツオと同様に身が軟らかいため、刺身にする場合厚みのある平造りにするのが一般的。
薄く切るカルパッチョの場合も、あまり薄いと歯ごたえがなくなるため斜めに削ぐようにして平造りよりもやや薄めぐらいに引きます。

平皿にソースを少量しいてスプーンの背でのばします。
そこにメカジキの身を並べますが、同じ向きに整然と並べるのではなく皿の外側からパズルをはめるように隙間なく並べていきます。
上からソースをまわしかけ、指の腹で軽く押してなじませます。
仕上げに黒胡椒を軽くひきかければできあがり。

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