2018年7月21日土曜日

Melanzane Marinate 夏茄子のマリネ

ぴかぴかに輝く旬の茄子をからっと素揚げにして甘酢風ドレッシングをまわしかけ、冷蔵庫でしっとり味を馴染ませた夏茄子のマリネ。
イタリア料理ではめずらしく砂糖を使うところがシチリア風、暑くてもさっぱりいけるよう甘酸っぱいアグロドルチェに仕上げた前菜です。

毎日暑い日が続きますね。
最高気温30度超が真夏日で35度を超えると猛暑日。
聞いただけでぞっとしますよね。笑
とくにオフィス街を歩いていると地面からの照り返しがきついと感じることがあると思いますが、実際、アスファルトの道路やコンクリートは熱しやすくて冷めにくい性質があります。
夏の道路の表面温度はなんと60度を超えるそうですよ。
しかも夜になっても温度がさほど下がらない。
土地面積の大半が舗装された道路やビルなどからなる都市部では、このコンクリートなどの蓄熱や輻射熱により周辺地域よりも気温が高くなるいわゆるヒートアイランド現象が起きます。
どおりでオフィス街は郊外より暑く感じるし、夜の街で飲み屋をハシゴしていても涼しいどころかむわっと蒸し暑いわけですね。

イタリアで最も暑い地域といえば最南端に浮かぶ地中海最大の島にして目と鼻の先はもうアフリカというシチリア。
夏はアフリカからシロッコと呼ばれる乾燥した熱風が吹き付けるため、文字通りヒートアイランド=熱島なんですよね。笑

ただ、暑くて乾燥してても土地が肥沃だってところがすごいんです。
茄子やトマトなどの野菜は遠くローマやフィレンツェなどの大都市でも支持されていて、野菜売場にシチリア産の野菜があれば高くてもそちらから売れていくというほど。
また、オレンジやレモンなどの柑橘類ではシチリア産がイタリア全土の生産量の七割を占め、柑橘類にとどまらずサクランボやアプリコット、桃など多種多様な果物がたわわに実るフルーツ王国。
もちろん葡萄の生産も盛んでこちらは主にワインの原料、シチリア州はヴェネト州やプーリア州と並ぶワインの一大産地となっています。
乾燥した気候はオリーブの栽培にも適していて、収穫されたオリーブは食用やオリーブオイルの原料になりますし、同じく乾燥した気候で育つ硬質小麦はパスタの原料になります。
ピスタチオやアーモンドなどナッツ類の産地としても有名ですよねぇ。
もちろん農作物だけでなくマグロやメカジキ、イワシ料理など海の幸もいかにもシチリアらしさを感じるものがたくさん。
まさにシチリアは食の宝庫なんですねぇ。

さて、シチリアが一大産地の特産品がこれだけあるなか、シチリア風と名前のついた料理に大概使われているものといえば茄子。
それほど茄子=シチリアというイメージが強いんです。
でも茄子は生粋のイタリア野菜ではなくインドが原産の外来野菜。
そういえばトマトやパプリカも今じゃイタリア野菜の代表みたいですがコロンブスが南米からヨーロッパに持ち込んだ外来野菜。
ナスは南米産ではないのでこれらとはルートが違い、アラブ経由でまずシチリアに伝わり、そこからヨーロッパへと広まりました。

シチリアの茄子料理というと有名なのが茄子とバジリコのトマトソースにリコッタサラータを散らしたノルマ風パスタに、トマトで甘酸っぱく煮込んだカポナータ、茄子やトマトやチーズをグラタンのように重ねて焼いたパルミジャーナ、茄子で具材をくるっと巻いてオーブンで焼いたインヴォルティーニなどがあります。
どれも茄子を使ったイタリア料理では代表的なものばかり。
茄子が西欧に伝来した背景もそうですが、有名な茄子料理のほとんどがシチリアの郷土料理というあたりが茄子=シチリアのイメージを作っているんですね。

茄子は夏野菜なのでその季節のものしか市場に出回らないイタリアではこれらはすべて夏の料理。
茄子は油との相性がすこぶる良いこともあり、ここに挙げた茄子料理はすべて茄子を素揚げしてから調理します。
暑くて食欲がないのに油で揚げるのかと思われる人もいるかもですが、むしろ灼熱の島では夏を乗り切るスタミナをつける必要があります。
シチリアではイタリア料理ではめずらしく砂糖を使った料理がしばしば見られますが、甘酸っぱいアグロドルチェに仕立てた今日のマリネは、暑くても比較的食べやすい一品に仕上がっています。

Ingredienti (per 4 persone)

ナス3本
にんにく1片
唐辛子1本
バジリコ20枚
松の実大さじ1
オリーブオイル適量
ワインヴィネガー大さじ3
砂糖小さじ2
適量
黒胡椒適量

※分量は一応の目安なので味見しながら作ってください

Preparazione

にんにくは芽を、唐辛子は種を取り除き粗みじん切りにします。
ボウルに塩胡椒、砂糖、ワインヴィネガー、松の実、刻んだにんにくと唐辛子を入れて混ぜ合わせ、ドレッシングを作っておきます。

ナスは厚めの輪切りにして水にひたしておきます。
深さのあるフライパンを火にかけてオリーブオイルを熱し、こんがりと色づくまでナスを揚げていきます。

イタリア料理だからと、なんでもかんでもオリーブオイルを使うというわけではなく、逆に揚げものに使うと重たくなってもたれてしまうのであまり使わないのが定石です。
今日はドレッシングにオイルを使わないレシピなのでオリーブオイルの香りを足すために揚げ油として使っています。
サラダ油とオリーブオイルを混ぜたもので揚げてもいいし、サラダ油で揚げてドレッシングに少しオリーブオイルを混ぜてもいいと思います。
意図を理解したらあとはお好みでアレンジしてください。

素揚げしたナスを皿にどっさり盛ってバジリコの葉をちぎって散らし、上からドレッシングをまわしかければ出来上がり。
すぐに食べてもいいですが少し置いて味を馴染ませるとなお美味。
夏なので冷蔵庫で少し冷やしていただくのがお勧めです。

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