2018年8月18日土曜日
Fedelini Freddi con Pesche e Basilico 桃とバジリコの冷製フェデリーニ
きんきんに冷たくしていただく冷製パスタはおもてなしの国ならではの和製イタリアン、料理としての完成度も年々高まり今ではれっきとした夏の風物詩ですね。
夏のイタリアンといえば何を思い浮かべますか。
カラフルな夏野菜にとろけるチーズ、新鮮なタコやイワシやムール貝、にんにくの香りとたっぷりのオリーブオイル、といったのがきらきらの典型的な夏のイタリアンのイメージのひとつですよね。
でも、からっとした暑さの地中海性気候と違い、湿度が高くて蒸し暑い日本の夏にはきんきんに冷えた素麺のようなものが嬉しい。
そう、イタリア料理だと冷製パスタですよね。
おなじみの「冷やし中華始めました」ではないですが、巷のイタリアンレストランでも夏になると店先にのぼりを立てて冷製パスタ始めましたアピールを競い合います。
レシピはとくに決まりもなく、ごくシンプルなものから具沢山なもの、ウニやアワビなどの高級食材を使ったりドライアイスで涼を演出したり店によってアイディアいろいろ。
あちこちの店の冷製パスタを食べ比べてみたくなりますね。
本場イタリアで修行を積んできたような意識の高いシェフともなれば、本来どんな地方のどんな料理をやりたいとか目指すところやこだわりがあると思います。
冷製パスタなどという和製イタリアンは店のポリシーにそぐわないから本音はやりたくないとか内心思ってるかもしれません。
でも、お店はお客様あってのものでありビジネスなんですよね。
シェフの流儀に客の方から合わせてくれるようなイタリアンの巨匠ともなれば話は別ですが、そんなのは10年早いってもの。
ていうか普通は一生かかってもその域に到達できないですよね。
作り手の好みを押し売りするだけでは商売としては成り立たないので、理想を掲げる以前にポリシーを多少曲げてでも客の求めるものを出していかなきゃ、客からの支持は得られません。
とりわけ夏の冷製パスタは需要が見込める季節メニュー。
暑い中わざわざ足を運んでくれたお客様がどんなものを求めているかは考えればわかることだし、おもてなしの心はサービス業の基本です。
その、おもてなしの心が根底にある和食の世界では、暑い夏には五感で涼を感じてもらうため、いろいろと工夫が凝らされます。
例えば、宴席の空調はあえて少し高めに設定して、代わりに氷細工など見た目にも涼しげなオブジェを配置したり、風鈴や水のせせらぎの音で耳からも涼を感じてもらったり、料理の彩りや香り、食感でも歯切れがいいとか喉越しのいいもので涼しく感じさせてくれますし、手にとる器や箸の質感や温度に至るまで随所に涼の要素を取り入れます。
日本のイタリアンやフレンチが本場より美味しいなどと言われるのは、季節感を大切にしその季節に相応しいおもてなしの心で料理と向き合いこのようなきめ細やかな工夫や配慮が施されているからでしょう。
日本で生まれた和製イタリアンの冷製パスタならなおさらです。
冷製パスタでオーソドックスなのはやはりフレッシュトマト。
煮込んで作るトマトソースとは趣がまったく違って、火を通さないので生のトマト本来の甘みや酸味もフレッシュなまま味わえます。
フレッシュトマトは具として使うだけでなく潰してソースにもします。
トマトをごろごろ(もしくはミニトマトを半分など)にカットしたら、そのうち1/3ほどはフォークの背で潰すなどして果汁を出します。
そこにレモン果汁やヴィネガーなど酸味のあるものとオリーブオイルとにんにくを加えて攪拌したものが基本のソースになります。
バジリコやオレガノの香りを足したり先日のパンテッレリア風のようにシチリア産のケイパーの苦味を加えると抜群に旨いです。
さて、残暑の頃に美味しいのがフルーツを使った冷製パスタですね。
定番は今日のように冷たくマリネした桃の冷製パスタ。
真夏の太陽がぎらぎら輝く時期はスイカやキュウリのように水っぽくて薄味のものが美味しく思えたんですが、今頃の時期になると桃のようにねっとりして甘ったるい香りのものが無性に食べたくなります。
桃が盛んに出まわる時期もちょうど今頃ですしね。
いつまでも続く残暑にうんざりしてそろそろ我慢の限界なんてときは、こんな桃の冷製パスタのおもてなしで残暑を乗り切りましょう。
Ingredienti (per 2 persone)
フェデリーニ(1.2mm) | 200g | ||
白桃 | 2個 | ||
レモン | 1個 | ||
バジリコ | 20枚 | ||
にんにく | 1/4片 | ||
オリーブオイル | 適量 | ||
塩 | 適量 | ||
黒胡椒 | 適量 |
※分量は一応の目安なので味見しながら作ってください
※通常の温製パスタよりもポーションは少なめにしています
Preparazione
ごく少量のにんにくをみじん切りにして、ボウルにレモンを搾り入れてレモン果汁とにんにくを合わせます。塩胡椒とオリーブオイルも加えよく攪拌して冷蔵庫で冷やします。
桃は室温で十分に追熟させたものをあらかじめ冷蔵庫で冷やしておき、皮を剥いて切り分けたらボウルに加え冷蔵庫で馴染ませます。
桃が熟れすぎて軟らかくなった部分や種のまわりの部分を手で潰して、果汁も残らずソースに混ぜます。
バジリコの葉もこのタイミングでソースに加えます。
パスタを茹でるための湯を沸かします。
細いパスタを使うのは、茹で上げたパスタを冷水にさらすためパスタとソースを合わせてもパスタがソースを吸わないので、パスタとパスタの間にソースがよく絡むようにするためです。
湯に加える塩もいつもより多めにします。
パスタの水切りが不十分なままソースと合わせると、ソースが水っぽくなって味が薄まるためです。
細いフェデリーニは表示時間通りに茹で、茹で上がったらザルに上げて冷水にさらして熱をとります。
できるだけパスタの水をしっかり切ってからボウルに移し入れソースと合わせます。
皿に盛って軽く黒胡椒を挽き、レモンを添えバジリコの葉を飾ります。
香りのよいヴァージンオイルをまわしかければ出来上がり。
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