2019年1月13日日曜日
Mozzarella Fritta con Prosciuto 生ハムとモッツァレッラのフリット
こんがりきつね色に揚がるのと油の中でチーズが破裂するタイミングは紙一重の我慢比べ、小腹がすいたときのおやつやワインのお供に嬉しい熱々とろりの一品です。
熟成させないフレッシュチーズの代表モッツァレッラ。
ナポリが州都のカンパーニャ州が発祥で、チーズというより搾りたてのミルクやヨーグルトに風味が似ていて出来たてほやほやを新鮮なうちに食べるタイプのチーズです。
熟成させてないため薄まった牛乳のようでちょっと頼りない味ですが、ほんのりと漂うミルクの匂いが無垢な赤ちゃんのよう。
生のままカプレーゼなどのサラダで食べると美味しいですよねぇ。
そんなモッツァレッラチーズは一体どんな風に作られてるかというと、水牛や牛の乳に凝固剤を加えて加熱していくとだんだんと分離してきてカードと呼ばれる乳脂肪の固形物が浮いてくるので、それを濾し取って熱い湯の中で引っ張ったりちぎったりしながら練ります。
ちょっと日本の餅つきにも似ていますが、この引きちぎるという動作=モッツァーレがモッツァレッラの語源になっているわけです。
十分に練り上がったら手でつるんと丸く押し出して整形し、薄い塩水に漬けて出来上がりです。
せっかくのフレッシュチーズなのでフレッシュなまま食べてこそという側面もありますが、モッツァレッラの真骨頂はもうひとつあります。
そう、ご存知のとおり、加熱すると溶けてよく伸びるということ。
ピッツァマルゲリータにはトマトソースとバジリコとモッツァレッラが乗ってるわけですが、高温の石窯で短時間さっと焼いただけでチーズが糸を引くように伸びて、視覚的にも食欲をそそりますよね。
そして不思議なことに、熱でとろり溶けたモッツァレッラは生のときは感じなかったチーズらしいこくのある風味に変化します。
石窯から出てきたばかりのチーズがふつふつしているナポリピッツァ、想像しただけで涎が出てきちゃいますね。
熱で溶けるチーズなら別にモッツァレッラでなくてもチーズなら何でもいいのでは、と思われてる方もいるかもしれませんが、実はチーズには熱で溶けるものと溶けないものがあるんです。
チーズは大別するとナチュラルチーズとプロセスチーズがありますが、一度熱して溶かしてから加工されるプロセスチーズは熱で軟らかくなることはあっても溶けることはありません。
ナチュラルチーズも溶けるもの溶けないものがあり、モッツァレッラと同じフレッシュチーズのリコッタやカッテージチーズなど凝固剤に酸を使っているものは溶けません。
パルミジャーノやペコリーノといった熟成期間の長いチーズは、溶けることは溶けるんですが硬質チーズなのでやや溶けにくい部類。
溶けやすいのがフォンデュータという北イタリア版チーズフォンデュに使われるフォンティーナや青黴チーズのゴルゴンゾーラ、イタリアではめずらしいカマンベール風の白黴チーズのトミーノなど。
でもいちばんよく溶けのはなんといってもモッツァレッラ。
溶けるだけでなく糸を引いて伸びるところが最大の特徴です。
熱い湯の中で引っ張ったり伸ばしたりする製造工程=モッツァーレが、こうした特徴を作り出してるんですねぇ。
さて、熱で溶けやすい=フリットにすると破裂しやすいということ。
ちょっと我慢比べのようでもありますが、難しいのはそこだけで多少の破裂はご愛嬌です。
衣はかりっと香ばしくチーズはフレッシュ感を残しつつとろりと溶け、フレッシュと熱で溶けたときのいいとこ取りのよう。
味付けは揚げたての熱々のところにぱらぱらと塩をふるだけ。
小腹がすいたときのおやつやワインのつまみにもってこいの一品です。
Ingredienti (per 2 persone)
モッツァレッラ | 100g | ||
生ハム | 80g | ||
小麦粉 | 適量 | ||
卵 | 1個 | ||
パン粉(細挽き) | 適量 | ||
サラダ油 | 適量 | ||
オリーブオイル | 適量 | ||
岩塩 | 適量 | ||
黒胡椒 | 適量 | ||
プレッツェーモロ | 5枝 |
※分量は一応の目安なので味見しながら作ってください
Preparazione
モッツァレッラはひと口サイズに切り分けます。生ハムは大きいものは半分ほどの大きさにカットし、モッツァレッラを包むように巻きます。
少し下味をつけてもいいですが生ハムの塩気だけでも大丈夫です。
ボウルに卵を割り入れてカラザを取り除きよく攪拌します。
パン粉をバットに広げます。
イタリアでは細挽きのパン粉を使うので、普通のパン粉しかない場合は目の細かいザルで漉して細かくしておきます。
深さのあるフライパンにサラダ油を注ぎ、香りづけでオリーブオイルを少々足して火にかけます。
オリーブオイルだけで揚げるとべちゃっとなって食味も重くなるので、香りづけ程度に足すだけにします。
ハムで巻いたチーズに小麦粉をまぶして余分な粉をはたきます。
卵液にくぐらせてパン粉をまぶし、高温の油に落としていきます。
油の温度が一気に下がらないよう少しづつ揚げます。
チーズが溶けると衣の隙間から溢れて出て破裂するので、頃合いを見てなるべくきつね色に揚げつつ手際よく短時間にさっと引き上げ、新聞紙などの上にとって油を切っておきます。
冷めないうちに皿に並べ塩胡椒をふり、プレッツェーモロ(イタリアンパセリ)の粗みじん切りを散らしかければ出来上がり。
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