2019年1月5日土曜日

Nervetti Lesso Rifatto in Stracotto 牛すじ肉のレッソリファット

おでんやカレーでおなじみの牛すじ(アキレス腱)でブロードをとり、残ったすじ肉を香味野菜とトマトでとろとろに軟らかく煮込みなおした牛すじ肉のストラコット、というかレッソリファット。
イタリアでは軟らかく茹でたスジを冷やしてサラダにしたりしますが、ぷるぷるのコラーゲンはやはり味のしみた煮込みで美味しいですね。

新しい一年が始まりました。
旧年を総括する毎年恒例の漢字一文字は悲しいことに「災」でしたが、今年は新天皇陛下の即位や新元号制定といった祝賀ムードのイベントが予定されていたり東京オリンピックに向けても徐々に機運が高まるなど明るい話題に事欠かない一年になりそうですよね。
どさくさに紛れて消費税増税も予定されていますが、景気回復のためにそこは日本という国が超えなくてはならないハードルのひとつ。
そういうことも含め是非とも良い一年になって欲しいものですね。

さて、年のはじめはお節料理やお雑煮、蟹やお寿司といった純日本風のご馳走が食卓を彩りますので、そろそろ洋風の味も恋しくなる頃。
寒いのでどうせならじっくりことこと煮込んだポトフやシチューなどの煮込み料理がいいですよね。
イタリアには煮込み料理の種類(呼び名)がめっちゃたくさんあって、地方によって微妙に違う似て非なるものも数多く存在します。
例えば海鮮鍋のような料理は通常ズッパディペッシェと呼ばれますが、日本でも知名度のあるナポリのアクアパッツァマルケのブロデットをはじめリグーリアのチュッピン、ブリッダ、南イタリアのグァゼット、魚介より肉のイメージの方が強いトスカーナ州にもカッチュッコというどれもほぼ似たような海鮮煮込み料理が違う名前で存在します。

一方、本来は肉食文化の国なので肉の煮込みになるとバリエーションがぐっと豊富になって、ピエモンテ地方の豪快な茹で肉料理ボッリートをはじめ、ミラノ料理の仔牛のすね肉を骨髄ごと煮込んだオッソブッコに骨付き豚肉とキャベツの煮込みカッスーラ、トスカーナ地方のもう一度茹でたという意味の二日目のシチューのようなリボッリータに黒胡椒がぴりっときいたビーフシチューのようなペホーゾなんかが有名。
牛の第二胃ハチノス(トリッパ)をトマトで煮込んだフィレンツェ風の名物料理は、フィレンツェ風だけでなくローマ風もあります。
フィレンツェ、ローマ、ナポリ辺りは歴史的に内臓料理が豊富ですが、とくにもつ料理で有名なのがローマの下町地区。
牛テールを煮込んだコーダアッラヴァッチナーラや乳飲み仔牛や仔羊の小腸を煮込んでリガトーニなどのパスタソースにするのがパイアータ、あとはコラテッラという豚のいろいろもつ煮込みもあります。
もうちょっと全国区の料理では、イタリア版の肉じゃがなどと呼ばれるスペツァティーノ、炭火でじっくり煮込むのが炭が語源のブラザート、同様にストーブが語源のストゥファート、過度に煮込んだという意味のストラコットなどなど。
きりがないのでこのへんでやめときます。

北イタリアでは牛すじは出汁をとるのに使うかぷるぷるに軟らかく煮たゼラチン状のものを冷たいサラダで食べたりするんですが、年末年始はトルテッリーニという詰め物パスタを澄んだブロードに浮かべた料理を食べるので、ブロードをとったあとの牛すじ肉が残ります。
出涸らしの残りものも無駄なく食べるのがイタリア料理の真骨頂。
牛すじのサラダは夏に食べるものなので、冬はビーフシチューのような煮込み料理にリメイクするのがお勧めです。

軟らかくなるまでとことん煮込むのでストラコットと呼んでもいいし、ブラザートでもストゥファートでもいいんですが、残りもののリメイク料理にそうそうたるメイン料理の名前をつけるのも憚られるというか、ちょっと名前負けしてしまう感じもありますよね。
実際、牛すじ肉の煮込み料理というのは、賄い料理なんかで作ることはあっても、お店で出すような料理としてはほとんど聞きません。
そこで、もっとしっくりくる呼び名がレッソリファット。
Lesso=茹でた肉を Rifatto=作り直した、という意味です。
賄い料理のような今日のクチーナポーヴェラにぴったりです。
味のしみたぷるぷるのコラーゲンがたまりませんね。

Ingredienti (per 10 persone)

牛すじ肉1kg
にんにく2片
玉ねぎ大1個
じゃがいも2個
にんじん1本
ホールトマト1缶
赤ワイン1カップ
オリーブオイル適量
バルサミコ酢適量
ローリエ2枚
適量
黒胡椒適量

※分量は一応の目安なので味見しながら作ってください

Preparazione

出汁をとったあとの牛すじ肉を食べやすい大きさに切り分けます。
新しいすじ肉を買ってきて使う場合は、流水で洗い何度か茹でこぼして余分な脂と臭みを落としてから使います。

にんにくはみじん切り、玉ねぎは薄くスライス、じゃがいもは皮を剥きひと口大に切り、にんじんは乱切りにします。
深鍋を強火にかけて熱してからオリーブオイルをしき、中火に落として玉ねぎとにんにくを透明な茶色になるまで炒めます。
すじ肉を加えてまわりを香ばしく焼きつけていきます。
デミグラスソースやビーフシチューのようなブラウンソースに仕立てるにはこの工程が重要となります。

鍋に赤ワインを注いで軽くフランベし、水、ホールトマト、ローリエ、にんじん、塩少々を加えて煮込んでいきます。
煮崩れしやすいじゃがいもは時間差で加えます。
途中で味を見ながらバルサミコ酢、塩胡椒も加えます。
出汁をとった残りなら1時間、新しいすじ肉は2時間ほど煮込みます。
デミグラスソースのように茶色くなって、白いすじの部分がとろとろに軟らかくなれば出来上がり。

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3 件のコメント:

  1. 美味しそうです!こういう料理を見せていただくと、冬が終わってほしくないなぁと思ってしまいます(笑。これを作ってみたいです。せっかくなのでブロードを取るところから始めたいのですが、ブロードを有効利用できるおすすめ料理はありますか?また、ブロードは保存できるものなのでしょうか。

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    1. いつもありがとうございます。
      私は早く冬が終わって欲しいです。笑
      牛のブロードはイタリアンならやはりトルテッリーニインブロードではないでしょうか。
      他ではポトフや韓国風の鍋のスープにもいいと思いますし、この料理にも当然使っています。
      レストランでは各種料理に使う目的でストックをとり、冷蔵庫に常時何種類も保存しています。

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  2. ありがとうございます。冷蔵庫に保存、やってみます。

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