2020年2月23日日曜日
Calamari Crudi con Salsa Verde ヤリイカのクルード 大葉のサルサヴェルデ添え
ねっとり軟らかいのにぱつんと歯切れがよく上品な甘みがあるところはさすがヤリイカ、イタリア風のお刺身も日本人の口によく合います。
旬のピークを少し過ぎてシーズン終盤にさしかかってくる頃にようやく店頭でも見かけるようになってくるヤリイカ。
いちばん美味しいのはなんといっても真冬の厳冬期ですが、ヤリイカはその頃はわりと深場にいるため漁獲量はそれほど多くないんです。
そのうえ、冬の懐石料理を構成するのにヤリイカのお造りは欠かせないことから、高級料亭や割烹から引き合いが途切れず、一般のスーパーの店頭にはなかなか並ばないんですね。
たまに見つけることはあっても、一杯のイカがこんなにするのかと躊躇するぐらい、いいお値段がついてますよね。
いやいや、いつも安く売ってるからよく買って食べてるよっていう方、それはヤリイカではなくてスルメイカでは。
日本近海に80種類ほどいるといわれるイカ。
そのなかでも年間を通して水揚げがあり、漁獲量が最も多くて私たちの食生活に欠かせないのがおなじみのスルメイカ。
スーパーの店頭でも見ない日がないぐらいです。
ヤリイカもスルメイカも寿命は一年。
それなのにスルメイカが通年漁獲されるのは、群れによって産卵時期がまちまちだからで、冬に生まれたグループの場合は翌夏から秋にかけて日本海で水揚げされますし、春生まれのグループは冬に東北や北海道で揚がり、秋に生まれたグループは夏という具合です。
一方、ヤリイカのライフサイクルは春を起点とした一年。
春に孵化した稚イカは夏の頃は人指し指ほどの大きさしかないものの、夏を越して秋口にはヒイカぐらいのサイズになります。
これが網にかかることがあり、旬の走りの小ヤリとして出まわるので、冬まで待ちきれない人たちにとっては嬉しい秋の便りとなります。
大きく成長した大人のヤリイカは体長40cmほど。
餌が豊富な秋に一気に大きくなり、冬に成イカになります。
冬場は先にも書いたように深場にいてあまり獲れないのですが、春先になると産卵のために浅場に寄り付くようになり、漁獲量がぐっと増えて値段も手頃になってきます。
店頭でよく目にするようになるのがこの頃で、価格もこなれてくるので一般消費者も買いやすくなりますが、それもそう長くは続きません。
産卵期が過ぎると死んでしまうため、打上げ花火のフィナーレのごとくシーズン最後に市場を賑わせた後は店頭からぱったりと姿を消し、次の世代のイカたちが成長する来シーズンまで入荷がなくなります。
ヤリイカがスルメイカと大きく違うのは、加熱調理しても硬くなったりもっさりしたりしないところ。
ヤリイカは地中海にも生息しているためイタリア料理で使われる筒型のイカはもっぱらヤリイカなんですが、ペスカトーレやフリットのイカはしっとり軟らかくて美味しいですよね。
ヤリイカの凄いところはまさにそこなんです。
家庭などでヤリイカの代わりにスルメイカで作ってもいまいち美味しくできないというのは、要はそういうことなんですね。
そして、刺身で食べるヤリイカはもっと美味。
スルメイカも刺身で食べる分には硬くもなくそこそこ美味しいですが、比べてしまうとやはりヤリイカの方が格上。
ヤリイカの刺身は、見た目も美しいしねっとりして軟らかいのに噛むとぱつんと歯切れがよく、上品な甘みもあってこのうえなく美味。
新鮮な魚介がどこでも手に入るのは日本ならではで、日本人に生まれてつくづく幸せだなぁと思います。
さて今日はそんなヤリイカのイタリア風お刺身=クルードにグリーンのサルサヴェルデを添えた一皿。
サルサヴェルデはイタリアンパセリをベースに生にんにくやケイパーをペースト状にしたソースで、パセリの香りと舌にちょっとぴりっとくる辛みがあり、肉料理や魚料理に添える万能ソース。
今日はイカの刺身と相性がいい大葉も加えて、イタリア風なのにどこか和風のお刺身っぽさを感じる一品に仕立てました。
Ingredienti (per 2 persone)
刺身用ヤリイカ | 中2杯 | ||
粗塩 | 適量 | ||
黒胡椒 | 適量 | ||
レモン | 1/4個 | ||
per la Salsa Verde | |||
プレッツェーモロ | 5枝 | ||
大葉 | 5枚 | ||
にんにく | 1/2片 | ||
アンチョビ | 1/2尾 | ||
塩漬けケイパー | 大さじ1/2 | ||
ワインヴィネガー | 小さじ1/2 | ||
オリーブオイル | 大さじ2 | ||
塩胡椒 | 適量 |
※分量は一応の目安なので味見しながら作ってください
Preparazione
まずはサルサヴェルデを用意します。プレッツェーモロ(イタリアンパセリ)の葉と大葉、にんにくを刻んでハンドブレンダーで他の材料とともに撹拌します。
ペースト状や今日のようなソース状など緩さはお好みで。
密閉すれば冷蔵庫で数週間は日保ちします。
ヤリイカの軟骨を外し、脚をワタごと引き抜いて目から上を切り落とし胴と脚を流水でよく洗います。
エンペラを手でちぎって外し、胴体の薄皮を剥いて包丁で開いて一枚のシート状にし、薄いのでそのままお刺身サイズに切り分けます。
今日は胴体だけを使いますが脚とエンペラも同様に食べてもいいですし別の料理に使ってもいいです。
皿にヤリイカを並べて粗塩を指でぱらぱらとかけて黒胡椒を挽きかけ、さっとオリーブオイルをまわしかけます。
サルサヴェルデと櫛切りのレモンを添えれば出来上がり。
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