2020年2月15日土曜日
Pasta al Sugo di Pesce Spada alla Eoliana 冬カジキとケイパーのパスタ エオリア風
シチリア近海に浮かぶ小島で収穫されるケイパーが潮の香りをプラス、これが入るとたちまち地中海風の味に仕上がります。
世界三大漁場のひとつとして知られる三陸沖合いの金華山沖。
魚種が豊富で漁獲量が多い超一級漁場であることから、ノルウェー沖、カナダのニューファンドランド島沖と並んでそう呼ばれています。
ちっぽけな島国の日本には世界三大なんちゃらなど無縁の話だと思ってしまいますが、日本にもそんな凄いところがあるのかと思うとなんだか嬉しくなりますよね。
金華山沖の魚種が豊富な理由ですが、まずは親潮と黒潮がぶつかり合う潮目であることが挙げられます。
水温の低い寒流に生息する魚と、温暖な海域を好む暖流の魚が混在するため、必然的に獲れる魚の種類が多くなります。
また、このような潮目は餌も豊富で魚たちが居つきやすいんですね。
そして、もうひとつの理由がリアス式海岸の特徴でもある、切り立った山々が海のすぐ近くまで迫っている地形によるもの。
森のミネラルをたっぷり含んだ河川の水が淀む間もなく海へ流れ込み、海水と混ざりあうことで世界有数と言われるほどの植物プランクトンの発生地になっていて、この海域一帯が非常に栄養豊富なんです。
だからこの海域で獲れるサザエやアワビなどは味が濃厚で美味しいし、牡蠣や帆立貝などの養殖にも適してるんです。
プランクトンを食べる小さな生物や魚たちも成育がよく、それ目当てにもう少し大きな魚や回遊魚の群れもやってきます。
イワシの群れがやって来れば今度はそのイワシを目当てに、より大型のカツオやマグロなどもやってきます。
春に回遊してきたイワシやサバ、カツオなどの群れは、ひと夏をここで過ごしてしばらく居座り、餌をたっぷりと食べ丸々と太って東北の夏の食卓を潤してくれます。
秋にはサンマもやってきます。
もちろん東北だけでなく多くは豊洲市場へも運ばれるので、日本全体にとって非常に重要な漁場といえます。
どうでしょうか、ここまで聞けば日本の金華山沖という漁場がどれだけ凄いかおわかりいただけたでしょうか。
その金華山沖で漁を行う港のひとつが、東北有数の漁港気仙沼。
メカジキの水揚げでは国内シェア七割超という一大産地です。
店頭では冷凍の切身を一年中見かけると思いますが、旬の冬ともなるとしっとり艶々で薄いピンク色をした生のメカジキも並びます。
今日のメカジキも気仙沼産の生メカジキ。
値段は冷凍のものよりお高いですが、味の良さは断然です。
一方、イタリアではメカジキの旬(というか漁期)は夏です。
産地はシチリアが有名で、漁場となるのがブーツの先端にあたる本土のカラブリア半島とシチリア島を隔てるメッシーナ海峡。
産卵期が近くなると沿岸付近に寄ってくるので、狭く浅い水路のようなメッシーナ海峡に入ってきたところを狙うのがイタリア流です。
そしてメカジキと並ぶ今日のもうひとつの主役がケイパー。
シチリア周辺に浮かぶ小島が主な産地で、メッシーナの北西に点在するサリーナ島をはじめとするエオリア諸島は品質の良いケイパーが採れる産地として有名です。
不思議な形をしたケイパーですが、潮風にさらされ乾燥した海辺などで育つ花の蕾で、自生しているのを人の手で摘み取ります。
日本では酢漬けにしたものが一般的で、スモークサーモンに添えるのも酢漬けですが、イタリア料理には塩漬けのものを使います。
風味が全然違います。
ケイパーは食材というより調味料のように使われることが多く、独特の苦みがあるため今日のようなオイルソースと相性がよく、魚介料理では生臭さを消して旨みを引き立ててくれます。
ケイパーがたっぷり入ったメカジキのオイルソースは、夏のバカンスで訪れるシチリアの味。
これが入るとたちまち地中海風の味に仕上がるので、これからの季節はシチリア産の塩蔵ケイパーを冷蔵庫に常備しておくと便利ですよ。
Ingredienti (per 2 persone)
スパゲッティ | 220g | ||
生メカジキ切身 | 140g | ||
ミニトマト | 5個 | ||
にんにく | 2片 | ||
塩蔵ケイパー | 大さじ2 | ||
オリーブオイル | 適量 | ||
白ワイン | 1/2カップ | ||
乾燥オレガノ | 適量 | ||
塩 | 適量 | ||
黒胡椒 | 適量 | ||
パスタの茹で汁 | レードル2杯 |
※分量は一応の目安なので味見しながら作ってください
Preparazione
カジキはひと口サイズに切り分け、にんにくはスライス、ミニトマトは半分にカットします。塩漬けケイパーはぬるま湯にひたして塩抜きしておきます。
フライパンを弱火にかけ、たっぷりのオリーブオイルとにんにくを加えじっくりと香りを出します。
カジキを加えて中火でソテーし、白ワインを注いで強火でアルコールを飛ばしたら、火を弱めてケイパー、トマトを加えます。
塩と胡椒、オレガノを加えて味を調整します。
並行して深鍋に湯を沸かしてパスタを茹でます。
パスタの茹で上がりが近くなったら茹で汁をレードルですくって加え、フライパンを小刻みに揺すってソースを乳化させます。
パスタを表示より短かめに茹で上げてフライパンに移し入れ、ソースの旨みをパスタに吸わせながらマンテカーレします。
もう一度味を見て足りないようなら塩で調整します。
皿に盛ってヴァージンオイルをさっとまわしかければ出来上がり。
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いつも参考にさせて頂いております。
返信削除近所の魚屋で三陸のカジキマグロを見つけ、やってみました。
美味しくできて、家族の評判も良好でした!
ありがとうございます!