2020年3月28日土曜日

Carpaccio di Orata con Salsa ai Fiori di Ciliegio 桜鯛のカルパッチョ 桜の香りのソース

魚体が美しい桜色の婚姻色に染まった真鯛を刺身に引いて、桜の香りのソースでいただく桜鯛のカルパッチョ仕立て。
今年はちょっとお花見を楽しめそうもない状況ですが、日本人にとってやはりこの季節は桜の花を愛でて春の訪れを喜び祝いたいものです。

世の中が大変なことになってしまいましたね。
発端はC国B市にある研究施設。
C国内唯一のバイオセーフティレベル4(BSL-4)の施設です。
バイオセーフティーレベルとはそこで扱うことのできる病原体に応じた格付けのことで、レベル1からレベル4までの4段階があります。
人から人へ感染し治療法や予防法が確立されていないエボラ熱やコロナウイルスのような病原体を扱えるのが最高格付けのレベル4。
このような研究施設は当然ながら、世界最高水準の安全対策が施され、地震や台風などの自然災害や地域紛争など不測の事態にも堅牢であり、あらゆるリスクに対して対策が取られていなければならず、ヒューマンエラーなども許されない前提で運用されています。

そんな世界最高水準であるはずの研究所から図らずしも漏れ出たのが、おそらく分子構造の組み替え中だった未知の新型コロナウィルス。
それが瞬く間に全世界に拡がりパンデミックに陥ってしまいました。
まるでSF映画そのものです。
アウトブレイク、コンテイジョン、感染列島といったそのジャンルでは有名な映画や、最近ではドラマでも石原さとみ主演のアンナチュラルや山下智久主演のインハンドでも感染症の脅威がテーマに取り上げられていたので記憶に新しいところです。

これから地球は一体どうなってしまうんでしょうか。
もしどこかの小国で行政の中枢や医療関係者から大量の感染者が出たり国民の大半が死亡すれば、その国家はもはや機能しなくなります。
つまり今ここで対処を誤れば国の一つや二つが簡単に消失してしまう、いやこのまま人類が滅亡するかもしれないぐらい、今は重大な過渡期にあるといえるのではないでしょうか。
一生の思い出となるはずだった大切な記念行事は中止を余儀なくされ、多くの人は収入が途絶えて生活を圧迫され、たくさんの企業が倒産して世界経済は再び長い停滞期に向かうでしょう。
おりしも2020年は言わずもがな東京オリンピック開催年。
あっさりと延期が決まりましたが1年後は大丈夫とは限りません。
そして新年度や新学期が始まる来週を目前に、いよいよ首都東京封鎖=ロックダウンが現実味を帯びてきました。

研究施設のリスク管理やコンティンジェンシーはどうなっていたのか、これらの責任はいったい誰がどうとるのか、そのすべてが曖昧のまま、発端となったC国政府は被害者のような顔をして平然としています。
そんな暴挙を国際社会は容認してはいけません。
あらゆる手を尽くして追及し、原因を明らかにし再発防止を徹底させ、世界の人々が安心して暮らせる国際秩序を構築しなければなりません。

さて、そういうわけで今年はもうお花見の開催が難しい状況です。
せっかく厳しい冬の寒さに耐えて、暖かくなってここぞとばかりに花を咲かせてくれているのに、誰にも見てもらえず一瞬で散っていく桜。
考えただけで切ないですよね。
桜の花を愛でながら春の訪れを喜び祝うというのは日本人の心であり、日本人が大切にしてきた伝統文化のひとつ。
家に引きこもっていても、せめてお花見気分を味わいたいものです。
でも、公園など公共の場所に咲いている桜の枝を持ち帰ったりするのは犯罪ですし、桜切る馬鹿梅切らぬ馬鹿という諺がありますが、桜の木は傷ついた箇所から腐敗が進んでしまうため、絶対にやめてくださいね。
どうしてもという場合は花屋さんで売ってるので買ってきてください。

でも、料理に使うなら桜の花を塩漬けにした便利な商品があります。
塩漬けの花にそのままお湯を注いで桜茶として飲むこともできます。
桜の香りがしてとても美味しいです。
料理に使う場合は少し水に浸して塩気を抜きます。
これを彩りに添えればまさに桜の花を鑑賞している気分になれますし、刻んで桜色のソースにすればほんのり桜の香りが立つ優れものです。
今日はそんな桜の香りのソースでいただく真鯛のカルパッチョです。
この時期の真鯛は産卵シーズンを目前に控えて、普段は赤っぽい魚体が鮮やかな桜色の婚姻色に染まります(発色するのは雌の鯛です)。
ちょうど桜の開花に合わせるかのようでなんともドラマチック。
そして産卵前のため身が肥えて美味しい旬の時期とも重なるため、春の雌の鯛には桜鯛という季節限定の呼び名もついてます。
日本人の桜の花に対する思いや美的センスが伝わってきます。

Ingredienti (per 2 persone)

天然真鯛(桜鯛)150g
にんにく1/4片
桜の花の塩漬け10輪
オリーブオイル大さじ2
粗塩適量
黒胡椒適量
レモン1/4個

※分量は一応の目安なので味見しながら作ってください

Preparazione

桜の花の塩漬けは水にしばらく浸して塩抜きをします。
水気をよく切って、飾りに乗せる分を取りおます。
残りは、茎を除いて包丁で叩いて刻みます。
レモンを搾って果汁をボウルに入れ、にんにくのみじん切りと塩胡椒、刻んだ桜の花を加えて混ぜ、オリーブオイルを加えて攪拌します。

鯛は柵取りして刺身包丁で尾の方から薄く削ぎ切りにしていきます。
皿に鯛の刺身を並べていきますが、同じ向きに整然と並べるのではなく皿の外側からパズルをはめるように隙間なく並べていきます。

桜ソースを刺身全体にまわしかけ、指の腹で軽く押すようにぺたぺたと馴染ませます。
仕上げに桜の花を配置し、黒胡椒を軽く挽きかければ出来上がり。

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5 件のコメント:

  1. 初めてコメントさせていただきます。
    ベルリン在住の音楽家です。
    いつもレシピを参考に、豊かな食卓を演じさせていただいています。
    最近更新されていませんが、お元気でいらっしゃいますでしょうか。
    また素晴らしいレシピを楽しみにしています。

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    1. 温かいコメントを頂き、また、いつもブログをご覧いただきありがとうございます。
      年末年始等を除いてほぼ毎週末更新してきたこのブログですが、現在はちょっと中断しております。
      ご心配をおかけし申し訳ありません。
      イタリアや日本も含め世界中が新型コロナウィルスの感染拡大で大変な状況のなか、いつも書いてるような季節の素材の話、イタリアや日本の料理文化や習慣などをテーマにした能天気なブログ記事を書く気になれないためしばらく更新を控えております。
      やめてしまうつもりはありませんので、引き続きよろしくお願いいたします。

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  2. abebeさん、でもこのような時こそ自宅で美味しいものを作って家族で楽しくいただく良い機会だとも思います。
    こちらこそどうぞよろしくお願いいたします。
    楽しみにしています。

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  3. こんにちは。
    abebeさん、気掛かりでおりましたがお元気そうで何よりです!
    自粛生活で落ち着いて料理ができるので、季節の食材を使ったレシピを参考にさせていただいています!
    私も楽しみにしております!

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    1. 富士市のOsteria Luce様でしょうか?
      いつもインスタではお世話になっております、コメントありがとうございます。
      なかなかブログを更新する気になれない日々が続いておりましたが、いつのまにか春が終わってしまいそうなので、今週末は久しぶりに記事をアップしてみようと準備していたところです。
      今後ともどうぞよろしくお願いいたします。

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