2020年3月21日土曜日

Insalata di Mandarini Cinesi con Miele 山独活と金柑のマリネ

深みのある橙色が宝石のように美しい旬の金柑をちょっと蜂蜜を加えた甘いドレッシングでマリネした金柑のサラダ仕立て。
フェンネルやセロリの代わりがしゃきしゃき食感の山うどや新玉ねぎ、さらにケイパーの苦みを添えればほんのり春の味がする一皿です。

冬から春にかけて柑橘類が旬を迎えていますね。
愛媛みかんや有田みかんなど昔からあるおなじみのみかんは温州みかんという品種で、冬の果物の代表。
箱で買ってきて玄関などの寒い所に置いておき、こたつにあたりながら食べたりしましたよね。
冬は他にもりんごや洋梨、いちごなども出まわりますが、風邪の予防に効くビタミンCをたっぷり含む果物を食べるのは理に適っています。
柑橘類は基本的に冬に果実が成りますが、栽培に適しているのは温暖な土地で、和歌山県や愛媛県、静岡県などが主な産地。
これらの産地では同じ柑橘類のレモンの栽培も盛んで、爽やかな酸味でまるで夏の果物のようなイメージもありますが、旬はやはり冬です。

一方、みかんなどが旬のピークを過ぎる春から初夏の頃に出まわるのがみかんよりもふたまわりほど大きな柑橘類。
夏みかんやはっさく、デコポン、日向夏、甘夏といった品種がちょうど今頃店頭を賑わせています。
これらも柑橘類なので冬に実が熟しますが、収穫してすぐは酸っぱくて食べられないので、しばらく貯蔵して甘くなってから出荷されます。
食べ頃=旬が少しずれるのはそのためです。
糖度が高く雑味の少ないフルーツが全盛の昨今はニーズに応えて新しい品種が続々と開発されていますが、古い世代にとっては甘さが控えめで適度な酸味や苦みのある昔ながらの品種も捨てがたいんですよねぇ。
このブログでも、ちょうど昨年の今頃、甘夏とセロリのサラダ仕立てを載せていますが、冬のシチリア料理として知られるオレンジのサラダを日本の古き良き懐かしい甘夏を使って作ることで、その土地その季節の素材で味わう日本らしいイタリア料理に仕上がりました。

さて、柑橘類は主に果物として食用にするもののほか料理の風味づけに使うものがあり、後者を香酸柑橘というカテゴリに分類しています。
柚子や酢橘、かぼす、沖縄のシークァーサーなどがそうです。
ゆずは果皮が黄色に熟したものを収穫する冬に流通しますが、秋刀魚の塩焼きや松茸の土瓶蒸しに添えるスダチやカボスは秋に流通します。
夏から秋にかけて熟す前の青い果実を収穫するからで、その方が香りが良く、熟してしまうと風味が変わってしまうそうです。
シークァーサーも青いので熟す前の果実を若獲りしたものです。
いずれも爽やかな香りと酸味が特徴で、ジュースに使われたり、季節の料理に風味を添えてくれる名脇役です。

金柑も実はこの香酸柑橘に分類されています。
金柑は料理の風味づけというより食用にするイメージですが、甘露煮やコンポートなどで甘く加工されることが多いので、そのまま果物として食べるイメージがないからでしょうか。
最近では、完熟金柑などのネーミングで果皮ごと生で食べられることをアピールして売られていることもあり、確かにそのまま丸ごと食べてもとても美味しいです。

今日使った金柑もそんな丸ごと食べられるタイプ。
果肉はそれほどでもないですが果皮に甘みと適度な酸味、苦味があり、かじると柑橘類特有の爽やかな香りが立ち込め、そしてどこか懐かしい味がして、非常に美味です。
種が一つか二つぐらい入ってるのですが、これでもし種が無いとしたら近年の傾向からしても人気を博すんじゃないかと思えるほどです。

今日その金柑に合わせたのが、こちらも旬を迎えている山菜の山うどと新玉ねぎで、冬のシチリア料理で知られるオレンジのサラダに使われるフェンネルの株元やセロリ、赤玉ねぎの代わりにこれらを使います。
山うども新玉ねぎも白いですが、金柑の鮮やかなオレンジ色が印象的な構成にするために白いものを合わせて、ケイパーのくすんだグリーンを僅かに添えてみました。
金柑は煮たりせず生のまま使います。
味の方ですが、オリーブオイルとヴィネガーでマリネしたときに金柑の甘みだけではちょっと物足りない感じでしたので、蜂蜜で甘みを補い、バランスをとっています。
金柑の果皮と、山うどやケイパーの苦みがほんのり春の味。
合わせるワインはやはりシチリアワインがおすすめです。

Ingredienti (per 2 persone)

金柑120g
山うど1/2本
新玉ねぎ1個
塩蔵ケイパー大さじ1
にんにくごく少量
蜂蜜小さじ1
オリーブオイル大さじ3
白ワインヴィネガー大さじ1
適量
黒胡椒適量
プレッツェーモロ5枝

※分量は一応の目安なので味見しながら作ってください

Preparazione

金柑は流水で洗って横半分にカットします。
山うどは皮を剥いて食べやすい長さの短冊状に切り、すぐ変色するので酢水にさらしておきます。
ケイパーはぬるま湯につけてしばらく塩抜きします。
新玉ねぎはスライスして水にさらします。

ドレッシングを準備します。
にんにくをすりおろし、ボウルにヴィネガー、蜂蜜、オリーブオイル、塩、黒胡椒、にんにくを加えてよく攪拌します。

山うどと新玉ねぎの水気をよく切り金柑とともにドレッシングで和え、冷蔵庫でしばらくなじませます。
皿に盛りプレッツェーモロ(イタリアンパセリ)のみじん切りを散らしかければ出来上がり。

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