2020年3月14日土曜日

Frittata di Bianchetti 白魚のフリッタータ

かつて江戸前の春告魚と呼ばれた春の風物詩シラウオを溶き卵と合わせスキレットで片面だけ焼き上げた白魚のフリッタータ。
ずっしり焼き固めつつも表面はふんわり下町伝統の白魚の玉子とじ風、これをキッシュのように三角に切り分けて前菜でいただきます。

シラウオを使った料理の記事はこのブログでは二度目になります。
前回は釜揚げの白魚をオリーブオイルと刻んだバジリコでマリネして、食べる直前にレモンをたっぷり搾って食べる一皿
白魚のリグーリア風というネーミングでした。
なんかついこの間のような気がしますが載せたのは2016年3月。
もう4年も前のことです。
時の経つのは早いですね。笑

先ほど江戸前の春告魚と書きましたが、前回の記事にそのへんのことを詳しく説明してるので、ほぼ再掲になりますが以下に載せてみます。

"こいつぁ春から縁起がいいわい"という有名なセリフがあります。
落語か何かだったかなと思いきや、これは歌舞伎のセリフ。
三人吉三廓初買という演目の大川端の場の有名なワンシーンで、冒頭のセリフはこうなってます。
"月はおぼろに白魚の篝(かがり)も霞む春の空..."。
これはどんな意味なんでしょう。
行間を補足しながら解説してみます。
気候が春めいてきて海や川の水温が上昇し、夜に気温が下がったときに水面から水蒸気が立ち昇り、水辺の空気が霞んで月がおぼろに見えたり大川(現在の隅田川)の白魚漁の篝火もゆらゆらと霞んで見える。
あぁそういえば大川の白魚漁は春の到来を告げる風物詩だったな、まだ肌寒いけどいつのまにか春が来てるんだなぁ。
こんな感じです。

そうなんです、江戸時代には東京湾でもシラウオが獲れたんです。
隅田川が海に注ぎ込み海水と混じり合う汽水域あたりが漁場。
漁期は春で、篝火を焚いて光に集まる習性を利用して獲っていました。
かつてシラウオ漁を行っていたのが佃島の漁師たち。
佃島は当時人工的に埋め立てられた小島で、徳川幕府が大阪から漁師を呼び寄せてシラウオ漁の特権を与え、そこに住まわせたそうです。
ずいぶんな待遇ですが、そこまでしたのは、江戸の人口が急激に増えて食料供給を担う漁師が不足したからだとか。

それにしてもさすが技術立国の日本、江戸時代の頃には海を埋め立てる土木技術が確立されていたんですねぇ。
江戸時代に最初に埋め立て事業が行われたのが丸の内から八重洲界隈の地区、そうです、なんと今の東京駅周辺あたりなんです。
そのへんまで埋立地だったとはさすがに知りませんでした。
言われてみれば八重洲に洲という字がつくのでそんな感じもします。
大手町や銀座、日比谷公園あたりも埋立地で、築地界隈や永代橋のある茅場町から門前仲町にかけての一帯、都営新宿線の森下から東大島間と東西線の木場から南砂町間に挟まれている地域ももともと海でしたが、この時代に埋め立てられました。
佃島から今は陸続きの月島や勝どき、晴海、芝浦や豊洲、天王洲などはもう少し時代が下り明治以降に埋め立てられたものだそうです。
ゆりかもめやりんかい線、首都高速道路といった交通網が整備されたりホテルやオフィスビル、商業施設などができて都市として発展してきたのなんてほんと最近になってからの話です。

さて、今は東京湾でシラウオは獲れませんが、月もおぼろに霞む春には全国から水揚げされた旬のシラウオが豊洲市場に集まってきます。
島根の宍道湖、茨城の霞ヶ浦や北浦などが産地として知られてますが、なかでも日本一の水揚げを誇るのが青森県は小川原湖。
国内漁獲量の7割を占める一大産地で今日のも青森産。
シラスに似ていますがシラスはイワシの稚魚、シラウオはこう見えてもれっきとした成魚でシラウオという種類の魚です。

イタリアではシラスが定番の食材ですので、シラウオのイタリア料理はシラス料理を踏襲したものになります。
おなじみのパスタフリッテッレマリネ炙ったパンに乗せたブルスケッタなんてのもいいですが今日はフリッタータ。
本場のフリッタータはふわとろとは真逆で、両面をしっかり焼いてずっしりと焼き固めた厚焼き卵のように作りますが、今日は表面に浮いたシラウオの質感を残した片面焼き。
江戸下町情緒漂う玉子とじ風の仕立てです。

Ingredienti (per una Frittata di 12cm di Diametro)

シラウオ(釜揚げ)30g
卵(大玉)3個
にんにく1/2片
新玉ねぎ1/4個
牛乳50ml
オリーブオイル適量
適量
黒胡椒適量
プレッツェーモロ3枝

※分量は一応の目安なので味見しながら作ってください

Preparazione

にんにくは包丁の腹で潰し、新玉ねぎは粗みじん切りにします。
卵をボウルに割り入れ空気を含ませるようにかき混ぜます。
シラウオと牛乳を加え塩胡椒で下味をつけておきます。

5インチのミニスキレットを中火にかけプレヒートします。
煙が立ち上るようになったら水を数滴垂らしてみて、ころころと水玉ができてはじくようになれば十分にプレヒートできています。
次に油返しです、たっぷりのサラダ油を注いで内面全体に行きわたらせオイルポットに戻します。
弱火にしてオリーブオイルをしき、にんにく、玉ねぎをソテーしてからにんにくを取り出し、卵液を注ぎ入れてざっくりかき混ぜます。

蓋をせずに10分ほど焼いて表面がやや固まってきたら火を止めます。
そのまま余熱で5分ぐらい火を通せば焼けば出来上がり。
頃胡椒を挽きプレッツェーモロ(イタリアンパセリ)の粗みじん切りを散らし、キッシュのように三角に切り分けていただきます。

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1 件のコメント:

  1. 茹でたブロッコリーも刻んでいれてみました。
    美味しく作れました!
    いつもありがとうございます!

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